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【仏大統領、イタリア等の財政資金を独が払え、と主張?】金融財政、統合かバラバラか:コロナ禍で決断を迫られるEU⑤

2020-04-19 00:12:56 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 今月17日の英フィナンシャル・タイムズのインタビューで、フランスエマニュエル・マクロン大統領は、新型コロナウイルス感染拡大で厳しい経済状況下にあるイタリアやスペインの支援に必要なおカネを調達するには、上記した「コロナ債」のような欧州連合(EU)加盟の共通債以外の手段はない、と熱く語りました。そして同時に、こうして集めたおカネは、各国の経済規模に基づいて案分するのではなく、ニーズのある個別の国々に渡るべきだ、とも・・・

 このマクロン氏の言葉は、EUの現行の2つの枠組みが、こうした非常時には機能しないことを明らかにしてくれています。つまり、1つめの欧州安定メカニズムESM)は、融資を受けるかわりに守らなくてはならない条件がキツ過ぎて、そのおカネを財政規律等がユルいイタリアギリシャのような国が借りることは実質的には難しい、ということ。2つめは、欧州中央銀行(ECB)の資産購入プログラム(≒量的緩和策:QE)がキャピタル・キー(ECB出資割合)に基づくため、他国と比べ、より多くの国債等を買い入れて財政資金を低利でファイナンスしてほしいニーズが大きな上記債務国には十分なマネーが供給できない、といったことです。前回までに指摘した、EUの根幹をなすESMとECBの上記の制度上の不備が、マクロン氏の上記イラだちによって、またも露わになったわけですが、それもこれもEUの通貨金融統合・財政不統合に根差すものであるわけで・・・

 さて「コロナ債しかない」というフランス大統領の訴えを、ドイツやオランダなどは当然、突っぱねることでしょう。その理由も前述のとおりで、「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」(国債価格の高い順[国債利回りの低い順]を示す不等式)により、かの国々にとってコロナ債のようなEU共通債は自分たちだけで国債を振り出すよりもコストが高いためですが、このほどマクロン氏が、調達した資金は(比例配分ではなく)ニーズのある国にあてがうべき、なんて明言したものだから、ドイツなどは、ますますこの構想には乗れなくなったはず。ようするにこれフランスに、イタリアやスペインやギリシャ(と、ついでにオレたちフランス?)などの財政資金をドイツ(の納税者)が払え!と言われたようなものだからです。したがって、いったんこの要求を受け入れたら、ドイツらは、コロナ禍の今回だけにとどまらず、今後、何かにつけて仏西伊などにタカられかねません。なので同国・・・のメルケル政権は、フランスらにどれほど非難されようと、共通債構想には反対し続けるしかないでしょう、選挙民の支持をつなぎとめるためにも・・・

 まもなく(23日)開催されるEUテレビ首脳会議では上記コロナ債も議論されることでしょう・・・が結論は上記のとおり、すでに見えています(?)。よって、同会議直後から、前記した独国債と伊国債などとのスプレッド(利回り差)はさらに拡がっていくだろうと推測されます。これにECBが十分な対処をすることができないのは上記のとおりで、このままだと本当にイタリアなどはデフォルトしてしまうかも!?・・・

 ・・・ってのは、さすがにマズいので、前述、そして上記のESMマネーの融資条件の大幅緩和とイタリア等へのディスバース、そしてESM債の大量発行とECBによる同債券の買い支えが行われる・・・ことになるのではないか、というのが、繰り返しになりますが、個人的な予想です。

(続く)

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