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【米国民はドル預貯金よりも「紙おむつ」投資をするべき?】インフレに苦しむ米国民を救うのは中国か②

2021-05-09 00:08:07 | アメリカ
前回からの続き)

 前回、アメリカではインフレがいよいよ顕著になってきている様子をご紹介しました。直近(今年3月)のCPI(消費者物価指数)は前月比0.6%、前年同月比2.6%もの上昇となっています。もっとも、ここで真に注視するべきは、インフレ率ではなく、実質金利(=名目金利-予想インフレ率)のほうになります。たとえインフレ率が年10%(≒現在1ドルのものが1年後は1.1ドル)であっても、金利が同11%(≒現在1ドルのドル預金が1年後は1.11ドル)であれば、実質の金利はプラス1%だから、10%は高いように見えても,市民生活にはそれほど大きなダメージが及びません。ようするに、実質金利がゼロを上回っている限り、インフレ率の大きさとは無関係に、人々は物価上昇の害悪を回避できる、といったことになりますが・・・

 ・・・って、いまのアメリカの危機の本質は、そこです。つまり・・・こちらの記事に書いたように、遅くとも昨春あたりには明らかな実質マイナス金利の状態が現出し、これが現在まで継続し、しかもこのマイナス幅が(インフレ率の上昇で)いっそう拡大していきそうだ、ということです。たしかに、アメリカでは、ここ10年ほどをみても実質利回りがマイナスになることがありました(たとえば、2013年の春には、現在と同じくインフレ率が年2.5%、一方で[長期]金利は年1%台後半となっていた)。しかし、マイナスの期間は数か月程度で収束してきています(2013年の夏には長期金利がインフレ率を上回った)。これに対して今回は・・・上記のとおりです。そして、もはやアメリカには、これを抑止することができない―――具体的には、インフレに追いつかせるべく金利を引き上げたいが、FRB(米中銀)にはこれができない―――はずです。そんなこと、すなわち金融引き締めをFRBがしたら、今度は金利が制御不能に急騰し、リスク資産(株、債券、不動産、商品などなどの)バブルがたちまち崩壊して金融危機が勃発してしまいますからね。実際、5日、FRBのクラリダ副議長は、現行の超緩和的な金融政策の縮小については「議論するべき段階ではない」と語っていますから、つまりはそういうことでしょう。かくしてアメリカは、バブル膨張(≒1%の富裕層の利益)のほうを優先し、インフレ抑圧(≒99%の一般国民の利益)は断念した、という次第です・・・って、本ブログではずっと前から予想してきたとおりの展開ですが・・・

 となると、米国民としては、自身の生活をインフレから守らないとならなくなります。ここで着目するところは、やはり利回りでしょう。このあたりを上記から年率で高い順に並べると・・・紙おむつ(8.7%[この1年間の価格上昇率])>CPI(2.6%)>ドル預金(1.6%[長期金利])>ドルのキャッシュ(当然0%)、となるわけで、「紙おむつ」・・・に象徴されるモノを、いまこの瞬間に買っておく、というのが、いちばん賢い投資・・・というか消費行動になることが分かります。なので、米国民の皆さんには、預貯金(≒米国債投資)なんぞをせず、「紙おむつ」を買って備蓄しておくことを強く推奨したいですね。そして米ジョー・バイデン政権は、同様の理由から、国民に対して、ドル現金支給策ではなく、「紙おむつ」とか「食料品」といった現物の支給策を実施するべきでしょう。そのほうが、実質利回りの観点から、国民の利益が大きくなるためです。

 う~ん、でもこうして米国民が「紙おむつ」(モノ)の投資・消費にマネーを振り向けたら、肝心の米国債におカネが十分に回らなくなって、金利上昇圧力が高まってしまいそうですが・・・

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