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【ECBの債券購入プログラム、拡大の一途…】欧州もまた分断と混とんに向かう①

2020-12-17 01:25:02 | ヨーロッパ
 アメリカに続き、欧州もまた分断と混とんに向かうしかなさそうですね・・・

 欧州では規模の拡大がもはや止まらなくなってしまったようです・・・っても、ここでのいう規模の拡大とは、欧州中央銀行(ECB)の金融政策「パンデミック緊急購入プログラム」(Pandemic Emergency Purchase Program:PEPP)のこと。

 ご存じのように、今年の春、欧州では新型コロナウイルスの感染が一気に拡大し、なかでもその深刻度の大きかったイタリアをはじめとする国々ではロックダウンなどによって経済が大ダメージを被り、対策のための財政資金の調達難に陥りました。そこで3月から開始されたのがこのPEPP・・・という名のECBの金融緩和策。これ、すでに昨年11月から再開されていた債券購入プログラムに加えて導入されたもので、当初の規模は7500億ユーロ、そして終了目途は今年末までとされていました。それが今年の6月には6000億ユーロ上乗せ、期限も来年6月末までに延長され、さらに今月、そのスケールは5000億ユーロ増額、そして実施期間は9か月間延長されて2022年3月まで、となっています。ということで、PEPPはたった9か月で総額1.85兆ユーロというスゴい規模に膨れ上がってしまいました・・・

 さて、このECBの債券購入プログラム、その本質的な目的は、EU加盟国のうちの重債務国の国債をECBが(高値で)購入することで、これらの国々の資金調達コストを下げてあげようとすること。以前から何度も指摘しているように、金融(ECB)・通貨(ユーロ)は統合されているのに財政は不統合のEU圏では、各国の国債価格(利回り)はそれぞれの経済力を反映する結果として「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」(国債価格の高い順[利回りの小さい順])の序列になっています。となると、ECBとしてはどうしても全体の平均あたり(つまりフランスあたり)を意識した金融政策を志向せざるを得ませんが、その場合、ドイツ等にしてみれば金利が低すぎてバブル気味、他方でフランス「未満」の国々にとっては金利が高すぎて財政運営が厳しくなる、となりがちです。う~ん、どうしたものか・・・って感じですが、いまのECBは、前者よりも後者つまりスペインイタリアなどを救うほうを選んでいるわけです。まあ・・・かの国々がデフォルト等をしたときのリスクの大きさを考えると、それもやむを得ないだろうな、とは思いますが・・・

 ということで始められたのが上記の債券購入プログラム・・・という、実質的にはECBによる上記不等式において序列が低い国々の・・・「財政ファイナンス」(国債の中銀による直接引き受け)といえるでしょう。これ、再開が昨年11月であったことからも分かるように、コロナ禍だから、ってことで開始されたわけではなく、上記のような構造的な原因に基づいているわけで、きっとコロナ禍が終息しても、定期的に行われるでしょう、EU圏の財政不統合が続く限り・・・

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