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【仏の衰退、ルペン氏が独自通貨導入を訴えなくなったことからも分かる…】フランス国民にとっての脅威はロシアではなくインフレのほうだ④

2022-04-23 17:21:38 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 明日24日の次期大統領の決選投票を前に、内外のメディアが、フランスについていろいろと論いているところですが、前述のように、かの国は変わりようがない・・・というより、少し前、厳密には前回2017年の大統領選の頃よりも国力を低下させていることからしても、今後はいっそう衰退していく、ウクライナ情勢などとは無関係に―――とみるべきでしょう(?)。

 上記のようにいえる根拠が、このたびの上記選挙に立候補しているマリーヌ・ルペン国民連合党首が、前回は主張していた共通通貨「ユーロ」圏からの離脱と独自通貨(新フランス・フラン?)の導入を今回はまったく?訴えていないこと。これ、無茶、つまり、そんなことをしたらフランスはますます厳しい状況に陥るってことが、ようやく?ルペン氏らにも分かってきた、ということなのでしょう。

 そのあたり、本ブログ風に手短に解説すると・・・フランスはユーロ圏においてはおおむね「平均的」(ユーロ圏における国債価格の高い順[長期金利の低い順]を示す不等式「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」で仏は中間くらい)な位置にいる(いた?)のが、経済の構造的な低迷ぶりのせいで、いまや平均ラインを下回ってしまった可能性もあります。よって、かりにフランスがユーロから独自通貨に切り替えたところで、それはユーロよりも弱い通貨となるでしょうから、ただでさえ赤字傾向の同国の国際収支はいっそう悪化して・・・となるのがオチでしょう。通貨安でユーロ圏への輸出振興?無理無理、軍需セクター以外に、かの国の産業で競争力がある分野はほとんどないのだから。

 であれば・・・まだ(ドイツ等の自分よりも強い国々の経済力の信認で裏付けられる)ユーロ圏に留まった方がマシ、ということで、しばしば「極右」などと表現され、その点から反ユーロ・反EUに思える?ルペン氏までも、これらから脱して一国(独自通貨)でやっていくのは不可能だから、せいぜいその枠内でできることを、となって、先述のようなエネルギーインフレの鎮静化にフォーカスした政策を提唱することにした、と思われます。もっともその実現には、欧州へのエネルギー供給大国であるロシアとの関係改善が必須条件となるから、同じ「枠内」で、どこまでできるかは分かりませんが・・・

 といったように、上記投票の結果は注目はされるものの、次期大統領が誰になるかにかかわらずフランスの将来には―――少なくとも経済には―――明るい材料が見当たらない印象です。そのあたりはユーロ圏、さらに欧州全体も同じ。それは、こちらの記事に書いたユーロ圏の構造的な問題があるところに、今後、ドイツもフランスも(対ロの観点から)軍事予算を拡大するであろうこと等からさらなる財政悪化が見込まれること(インフレが高進するしかないこと)、そしてロシア産エネルギーから割高な他国産エネルギー等に切り替えることでエネルギーコストの上昇が懸念されること、などなどのため。これらのダメージを和らげるなら、ルペン氏の訴え(ロシアと[フランスを含む]NATOとの戦略的和解等)が現実とならなければなりませんが、はたしてフランス国民がこれを選択するでしょうか・・・

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