スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

農林水産大臣賞典帝王賞&社会契約論の帰結

2024-06-27 19:21:06 | 地方競馬
 昨晩の第47回帝王賞。マースインディは藤田凌騎手から笹川騎手に変更。
 ディクテオンは発馬後の加速が鈍く,発馬後の正面ではほかの馬たちから離されました。逃げたのはライトウォーリアで2番手にバーデンヴァイラーとキングズソード。4番手にグランブリッジとウィルソンテソーロ。6番手にサヨノネイチヤ。7番手にノットゥルノ。ディクテオンはその後ろまで追いついてきました。9番手にセラフィックコールとメイショウハリオ。3馬身差でトランセンデンスとヒロイックテイル。3馬身差の最後尾にマースインディ。前半の1000mは63秒8のミドルペース。
 3コーナーではライトウォーリアとバーデンヴァイラーが併走に。外を回って追ってきたのがキングズソードで内を回って追ってきたのがグランブリッジ。ウィルソンテソーロとノットゥルノがその後ろから。直線の入口では前の2頭の外を回ったキングズソードが単独の先頭に。ウィルソンテソーロが追って2番手に上がりましたが,この2頭の差は詰まらず,直線先頭のキングズソードが優勝。ウィルソンテソーロが1馬身4分の1差で2着。大外から追い込んできたディクテオンが1馬身差で3着。
 優勝したキングズソードJBCクラシック以来の勝利で大レース2勝目。そのときは重賞未勝利での優勝。その後の3戦は5着,5着,4着でしたが,大きく離されていたわけではありませんので,巻き返しは可能と思われました。思いのほかペースが上がらなかったので,先行したこの馬に有利になった面はあったと思います。距離も本来はもっとあってもいいというタイプなのかもしれません。母の父はキングヘイローアストニシメントエベレストの分枝で8つ上の全兄に2017年のプロキオンステークスを勝ったキングズガード
                                        
 騎乗した藤岡佑介騎手はフェブラリーステークス以来の大レース5勝目。帝王賞は初勝利。管理している寺島良調教師はJBCクラシック以来の大レース2勝目。

 ホッブズThomas Hobbesの社会契約論は,社会societasを構成する人びとが自らの意志voluntasで自然権jus naturaeを放棄し,それを社会に委ねることになっています。したがって社会が有する自然権は膨大で,社会を構成する人びとが有する自然権は皆無です。このために社会は社会を構成する人びとに対して,どのようなことでも命じる権利を有することになります。つまりホッブズの理論で社会が現実的に成立するとすれば,その社会はきわめて強権的な社会であることになります。
 スピノザの理論がこのような社会が成立することから逃れているのかといえば,そんなことはありません。これが問題として残されます。というのも,スピノザの考え方では自然権は放棄することができない権利ですから,社会を構成する人びとにもそっくりそのまま残されているでしょう。これはスピノザ自身が書簡五十でいっていることであり,スピノザはそこで間違ったことを伝えているわけではありません。しかし自然権が放棄できないものであるとすれば,社会というのは.その諸個人の権利をまとめて所持する人びとの集合体を意味し,かつ人びとはその権利の執行を社会に一任することになるのですから,その社会の権力はどのような法lexにも縛られないし,人びとはその権力に従わなければならないということになるでしょう。つまり出現する社会,これは国家Imperiumといってもいいですが,その現実は,ホッブズが示しているものとそう大差はない,もっといえばほぼ同じであることになります。
 スピノザのように自然権を放棄できないものと規定したとしても,結局のところ国家が至高の権力を有して,市民Civesに対してどのようなことでも命じることができるようになってしまうのは,僕の考えでいえば,社会契約論を引き継いだことによる必然的な帰結です。つまり,もしも社会契約論を用いて社会の成立を説明すると,社会契約論をどのような仕方で用いるとしても,必然的にnecessario強権的な社会が出現することになるのだと僕は考えます。スピノザは後の『国家論Tractatus Politicus』では,社会契約論をまったく使用せずに国家を説明していますが,それは,社会契約論を用いた説明の必然的な帰結を避けるためではなかったかと僕は考えています。

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