スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

農林水産大臣賞典東京ダービー&前振り

2024-06-06 19:23:31 | 地方競馬
 昨晩の第70回東京ダービー
 好発はムットクルフェでしたが逃げたのはアンモシエラ。2番手にサトノエピックで3番手にティントレットとラムジェット。2馬身差でシシュフォスとシンメデージー。7番手にイチニチシャチョウ。2馬身差でイモノソーダワリデ。9番手にハビレとオーウェル。11番手にムットクルフェ。12番手にボンドボーイとフロインフォッサル。14番手にクニノトキメキとマコトロクサノホコ。3馬身差の最後尾にキタノヒーロー。前半の1000mは64秒0の超スローペース。
 3コーナーではアンモシエラとサトノエピックは併走で直後にラムジェット。3馬身差でティントレットが追走し直後にシシュフォスとシンメデージー。直線の入口では前の2頭がラムジェットに2馬身ほどの差をつけましたが,直線に入るとまたラムジェットが差を詰めてきて,内で競り合う2頭を差すと抜け出して快勝。競り合いを制したサトノエピックが6馬身差で2着。アンモシエラが2馬身差で3着。
 優勝したラムジェットはユニコーンステークスからの重賞連勝で大レース制覇。デビュー戦でまったく走る気を見せず,離された最後尾から直線だけで前をいく馬すべてを差し切った馬で,その時点でスター候補生になりました。2勝目をあげるのに3戦を要しましたが,それ以降は負け知らずでここまで来ました。反応は鈍いけれども脚は長続きするという内容での重賞連勝ですから,もっと強くなる余地があるように思えます。現状は距離が長い方がレースはしやすいのではないでしょうか。母の父はゴールドアリュール。祖母が2009年に関東オークススパーキングレディーカップ,2010年に名古屋大賞典スパーキングレディーカップ,2011年にTCK女王盃エンプレス杯スパーキングレディーカップを勝ったラヴェリータ。Ramjetはジェットエンジンの一種。
 騎乗した三浦皇成騎手は2022年のJBCスプリント以来となる大レース3勝目。管理している佐々木晶三調教師は2015年の中山大障害以来となる大レース制覇。このレースは今年から重賞になりましたので,両者ともに初勝利です。

 観想するcontemplariという思惟作用をどのような意味で用いればよいかは概ね決定することができましたので,再び國分の議論に戻ります。
                                        
 國分は第三部定理五五を,ひとつのクライマックスといっていました。もっともそれは,具体的な感情論の最後の部分に当たるという意味合いでしかないのですが,だからといって,第三部定理五三で自己の能力potentiamを観想するといわれるとき,それを第三部定理五五の前振り,つまり能力は観想されるが無能力impotentiaは表象されるということだけの意味として理解するわけにはいかないといっています。人間が自己の能力を観想することは,第四部以降にも重要な場面で『エチカ』の中に登場します。現実的に存在する人間が自己の能力を観想することによって生じる喜びlaetitiaは,第三部諸感情の定義二五にあるように,自己満足Acquiescentia in se ipsoといわれるのですが,第四部定理五二は,理性rationeから生じる自己満足は最高の満足であるといっていますし,第五部定理二七では,第三種の認識cognitio tertii generisから自己満足が生じ,これが精神mensの最高の満足であるという意味のことがいわれています。ですから,現実的に存在する人間が,自身の能力を観想することが,スピノザの哲学において重要な思惟作用であるということは疑い得ません。
 ただし,第三部定理五三で実質的に自己満足が言及されるとき,それが第三部定理五五の前振りのような形になっていることにも意味があるのだと國分はいっています。これはまさに観想するということが表象するimaginariということでもあり得るということと関連するのです。理性から生じたり第三種の認識から生じるのであれば,それは十全な認識です。つまり自己の能力というのを正しく認識した上での自己満足です。しかし現実的に存在する人間は,自己の能力を表象する場合もあるのであって,これも第三部諸感情の定義二五によって自己満足といわれるのですが,これは表象しているのですから,自己の能力を正しく認識した上での自己満足ではありません。あるいは同じことですが,自己の能力を見誤って認識した上での自己満足です。こうした自己満足はきわめて危険な自己満足なので,スピノザはあえてこういう文脈にしていると國分はいっています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする