スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ミリオンダラーマン&憎しみの虜

2018-03-10 19:03:44 | NOAH
 不沈艦が1982年に全日本に移籍したとき,超獣が全日本で活躍していました。そしてこのふたりがタッグを結成。その後,1985年のブロディの新日本移籍に伴ってハンセンのパートナーは不在になりました。このときにハンセンのパートナーに抜擢されたのは人間魚雷ではなくテッド・デビアスです。
 デビアスはどちらかといえば堅実なレスラーで,シングルプレーヤーとしてトップを取るというタイプとはやや違った面がありました。ただ,ハンセンとのタッグは大成功で,タッグ王者にもなりましたし,世界最強タッグ決定リーグ戦での優勝も果たしています。
 しかし1987年にデビアスはWWFで仕事をするようになり,来日することができなくなりました。ゴディがハンセンのパートナーになったのはこの後のことです。WWFでのデビアスはミリオンダラーマンを名乗り,嫌味な金持ちのキャラクターを演じました。1990年の全日本と新日本,そしてWWFとの合同興行のときにはこのキャラクターで来日し,試合もしています。
 どういう理由だったか不明ですが,1993年に全日本プロレスに再登場しました。このときはゴディはすでに殺人医師と組んでいて,ハンセンはダニー・スパイビーと組むケースが多かったのですが,スパイビーは線が細いところがあり,デビアスがまたハンセンと組みました。9月には川田利明田上明のチームを破って世界タッグの王者になっています。
 このチームでこの年の世界最強タッグリーグ戦に出場ということになったのですが,シリーズの開始直後に怪我という理由で帰国。その後は来日していません。これは不可解な離脱ですが,このときと以前とでは全日本のプロレスに大きな変化があり,デビアスはそれについていくことができなかったのではないかと僕は推測しています。
 この影響で馬場とハンセンが組み,翌年の夢のカードへと続いています。デビアスが全日本での仕事を継続していたら,三沢光晴が馬場から3カウントを奪う日は,もっと遅くなっていたのかもしれません。

 排他的思想を有する人は,すべからく憎しみodiumに隷属した人です。他面からいえば,自身で気付かないうちに憎しみの虜となっている人が,排他的思想を主義として主張し,またその思想の下に行動を起こすのです。
                               
 このとき,排他的思想を産出しやすい感情affectusのひとつが不安metusであったのは,不安と希望が表裏一体の感情であるがゆえに,不安は希望spesによって排除されやすいという特質proprietasを有しているからでした。そのメカニズムがどうなっているかという僕の見解はすでに示した通りですし,またそのメカニズムが排他的思想をより強固なものとして再生産していく仕組みをもっていることもすでに示したところです。では排他的思想を産出しやすいもうひとつの思想として憤慨indignatioをあげるのがなぜであるかといえば,他人に対して憤慨する人は,その憤慨を正当なものであると思いやすいという事情があるからです。すでに示した例でいえば,BというジャーナリストがAという権力者に対して批判的論述をするとき,Aの支持者であるCがBに対して憤慨する場合,もしもBが単にAを貶めようとしてAに対する批判を展開しているとみられるなら,CのBに対する憤慨は,CがAの支持者であるか否かと無関係に,正当な憤慨であると解する人が多いのではないかと僕は述べました。しかし実際には憤慨には正当も不当もなく,第三部諸感情の定義二〇にみられるように,それは他者に対する憎しみodiumですから,第四部定理四五によって一律的に善bonumではあり得ないのです。ところが,第三部定理二二のような様式によってある人が他者に対して憤慨するとき,その人はそれが正当な感情であると認識しやすいのです。正当であると解するならばその人はその感情を排除しようとはしないのは当然です。よって他者に対する憎しみの虜になりやすいのです。
 なぜ憤慨という感情が正当であると認識されやすいかといえば,それが憎しみの一種である限り,一般に憎しみがどのように正当と解されやすいかということを探求するのがその端緒となるでしょう。ただしこれは,単にそれを感情としてだけみるとかえって分かりにくくなります。なぜなら憎しみは悲しみtristitiaの一種であるからです。

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