スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

叡王戦&分割

2019-04-12 19:17:56 | 将棋
 6日に台北で指された第4期叡王戦七番勝負第一局。対戦成績は高見泰地叡王が0勝,永瀬拓矢七段が3勝。
 事前の振駒で先手になり5時間の持ち時間を選択したのが永瀬七段。角換り早繰り銀を目指しました。後手の高見叡王は腰掛銀から早い段階で自陣に角を打ち,その角を攻めの主軸として8筋を詰めることに成功。先手は角を温存したまま後手の角を目標に攻める展開。やはり8筋の応接の方が大きく,後手が有利に進展していきました。
                                        
 後手が6五の歩を取り込んで先手が逃げずに取った局面。後手はその前に角を切って攻めていってるので,ここで決めてしまいたいところ。そのためには☖6四歩と打つのがよく,☗6六玉と逃げたとき☖6九飛と下から王手。☗6七歩と受けたときに☖5四桂と王手に打てば先手は☗同銀と取るほかなくそこで☖同歩と取っておけば先手は窮していました。
 実戦は☖6四銀と打ちました。これにも☗6六玉ですがこれは歩を打つのに比べて後手の持駒から銀が減っています。銀を打ったのは☖5五金と王手銀取りに打つ狙いでしたが☗5七王に☖4五金と取ったとき,☗3四角という王手金取りの返し技が発生。ここから☖4三歩☗4五角は必然でしょう。
                                        
 第2図は後手が寄せ損ねた形。なので☖5四銀と辛抱しておくのはあったかもしれません。後手は駒は不足していますが先手も後手玉をすぐに寄せるのは簡単ではないからです。
 実戦は☖5五飛の王手角取りから攻め続けましたが,これは詰めろが続かなくなり先手の勝ち筋に入りました。
 永瀬七段が先勝。第二局は明日です。

 間接無限様態といわれるのですから,それが無限infinitumであることは当たり前と思われるかもしれません。ですがここではそれが重要なのです。というのは,僕はあるものが無限であるなら,それは部分に分割することはできないと考えるからです。いい換えればそれはそのうちにあるものを内部と外部に区分することはできないということであり,X属性の無限に多くのinfinita個物res singularisによって構成されるのがX属性の間接無限様態であるなら,X属性の個物Aと個物Bは内部と外部に区分することができないということが直ちに結論できると僕は考えているのです。
 無限であるものを部分に分割することができないということは,スピノザ自身が是認することだと僕は考えます。スピノザは第一部定理一三で,絶対に無限な実体substantiaは分割されないといっています。このことは第一部定理一二を受けていわれていると解釈するべきなので,たとえば絶対に無限な実体,これはDeusのことですが,その神を属性attributumによって分割することはできないという意味である,あるいは少なくともそういう意味を含んでいると理解しなければなりません。つまり神は,たとえば延長の属性Extensionis attributumと思惟の属性Cogitationis attributumとに分割することはできないということがいわれているのだという解釈です。この場合には,無限であるものが分割されないということより,絶対に無限なものは分割されないという意味合いになるでしょう。
 ですが続く第一部定理一三系では,物体的実体substantia corporeaは実体である限り分割されないといわれています。物体的実体というのはスピノザの哲学においては延長の属性のことを指します。つまりここでは個別の属性,あるいはその属性によって本性essentiaを構成される個別の実体について言及され,それが分割不可能であるといわれているのです。そしてそれがなぜなのかといえば,第一部定理八によって,実体は無限であるからなのです。
 この論証Demonstratioが成立するためには,一般に無限であるものは分割不可能であるということが成立するのでなければなりません。だから実体や属性だけでなく間接無限様態の場合にも,それは無限である限りは適用されなければならないのです。よって間接無限様態は部分に分割できません。
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