スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ユングフラウ賞&精神の弱さ

2018-02-14 19:02:33 | 地方競馬
 桜花賞トライアルの第10回ユングフラウ賞
 先手を奪ったのはエターナルモール。向正面では後続に2馬身から3馬身くらいのリードをつけての逃げになりました。2番手にはポッドジゼルとストロングハート。4番手にシェーンリート,グラヴィオーラ,ヨシノファルコンの3頭。この後ろは差が開いてゴールドパテック,ハタノサンドリヨン,クロスウィンド,リンノストーン,ベニアカリ,ピースフルジョイの順で追走。最初の600mは36秒2のハイペース。
 3コーナーを回るとストロングハートがエターナルモールとの差を詰めにかかり単独の2番手。外から捲るように追い上げたグラヴィオーラがポッドジゼルと並び,その後ろからゴールドパテック。ハイペースで逃げたエターナルモールも最後は14秒台と一杯になっていましたが,追い上げてきた馬たちも差し届くほどの脚は使えず,逃げ切ったエターナルモールが優勝。直線の入口では外に膨れるところをみせたグラヴィオーラがそれでもストロングハートは捕えて1馬身半差の2着。ストロングハートが2馬身半差の3着に粘り,ゴールドパテックは4分の3馬身差で4着。
 優勝したエターナルモールは昨年7月にデビュー。2戦目で初勝利をあげ船橋に遠征した3戦目で2勝目。東京2歳優駿牝馬は大敗したものの先月の浦和開催で3勝目。4勝目で南関東重賞初制覇となりました。ここは前走で浦和を経験していた強みが出たという感もありますが,2着,3着,4着と実力上位と目された馬が入っていますので,評価しないというわけにはいかないと思います。桜花賞は枠順の有利不利が大きいコース設定ですが,内枠の方を引ければチャンスもあるのではないでしょうか。父はエスポワールシチー
 騎乗した短期免許期間中の吉原寛人騎手ゴールドカップ以来の南関東重賞制覇。ユングフラウ賞は初勝利で南関東重賞は23勝目。管理している大井の宗形竹見調教師は第2回以来8年ぶりのユングフラウ賞2勝目で南関東重賞もこれが2勝目。

 スピノザは第三部定理二六備考で,高慢superbiaは狂気の一種と断じています。ですから第三部諸感情の定義二八のように,自分について正当以上に感じている人はすべからく狂気に陥っているといえます。同時に,第四部定理五七備考に示されているように,他人を正当以下に評価することによって,相対的に自身を過大評価している人間も,狂気に陥っているといわなければなりません。つまり排他的感情によって排他的思想を有し,このためにその対象となっている個人あるいは人間集団を過少に評価する排他主義者は,狂気の人であるとスピノザはいっていると解して構わないのです。よって,もしふたりの人間あるいはふたつの人間集団が,互いに互いを過少に評価して,一方が他方を,また他方が一方を排斥しようとしているなら,これは狂気と狂気がぶつかり合っているといえるでしょう。このふたりあるいはふたつの人間集団を融和に導くのが著しく困難であるということが理解できると思います。
                                
 さらに,排他主義者が狂気の人であるということは,別の観点からもいうことができます。それが第四部定理五七でいわれている,高慢な人間の特質proprietasです。ここから分かるように,高慢に隷属している排他主義者は,自身の排他的思想に同調する人のことを愛し,それを否定する人のことを憎むのです。そしてこの定理Propositioでいわれている寛仁generositasは,第三部定理五九備考でいわれている「精神の強さfortitudo」という能動的な欲望cupiditasのひとつです。したがって理性ratioに従う自由の人homo liberはこの欲望を必然的にnecessario有することになります。ですから,高慢な排他主義者は,単に排他的思想の対象者を憎むというだけでなく,自由の人のことも憎むのです。
 「精神の強さ」は勇気animositasと寛仁に分類されています。すでに示したように,排他主義者は勇気については誤謬errorを犯しています。そして寛仁についてはそれ自体で憎むような人なのです。いい換えれば「精神の強さ」とは正反対の感情affectusあるいは性質を有している人だといって間違いありません。あえていいますが,排他的思想をふりかざす人は,その当人の「精神の弱さ」を証明しているようなものなのです。これも狂気のひとつといえるのではないでしょうか。
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