スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

別府八湯ゆけむりカップ&哲学的肯定

2017-12-05 19:09:51 | 競輪
 別府記念の決勝。並びは田中‐中村の千葉,竹内‐坂口の中部,古性に大塚,岩津‐橋本の瀬戸内で木暮は単騎。
 田中がスタートを取ってそのまま前受け。3番手に岩津,5番手に木暮,6番手に竹内,8番手に古性という周回に。残り3周のホームに入ると早くも古性が上昇。バックでは田中の外で併走になりましたが,田中が引かなかったので叩けず,再び下げました。残り2周のホームで竹内が上昇。田中を叩いて誘導を斬って前に。3番手に田中,5番手に岩津,7番手に木暮,8番手に古性の一列棒状でバックを通過。打鐘が入ったところで古性が発進。竹内を叩いてかまし先行になりましたが,大塚がマークしきれず,番手に竹内,坂口の後ろは田中で降りた大塚はその後ろ。中村は大塚の後ろになってバックへ。大塚の後ろから岩津が発進すると合わせて田中も発進。さらに竹内も番手から発進と捲り合戦。これを制したのは田中で,直線で先頭に立つとそのまま後ろの追い上げを凌いで優勝。マークの形になった大塚が4分の3車身差で2着。大塚の後ろになった中村が1車輪差で3着。
 優勝した千葉の田中晴基選手は2月に国際競技支援競輪での優勝があり,GⅢは2勝目ですが記念競輪は初優勝。このレースは混戦模様のメンバー構成になったために,うまく立ち回ることができた選手が最も優勝に近いだろうくらいのことしか予想できず,だれがそういうレースをできるのかということを想像するのも難解でした。古性が早めに抑えにきたときに,突っ張ってそれを許さず,再び下げさせたのが最大の勝因ではないでしょうか。おそらく自力型では最も力がありそうな古性がそれで余分な力を使うことになりましたし,竹内ラインの後ろであれば,捲るだけの力はあったということだと思います。大塚がマークできなかったためとはいえ,絶好の展開となった竹内にとっては残念な結果でしょう。捲り合戦になるのは目に見えているので,後ろが近付く前に発進するべきだったと思います。

 ゲーテJohann Wolfgang von Goetheは『若きウェルテルの悩み』をはじめとした芸術作品において,自然を賛美する多くの個所を残しています。よってゲーテが自然,もっと限定的にいえば物体corpusの多様性を肯定していることは疑い得ません。スピノザの場合,第一部定理三二系二から,物体の多様性を是認しているということは分かりますが,それをゲーテと同様に肯定しているということは,これだけでは不明であるかもしれません。しかしスピノザの哲学はこれを肯定します。あるいは肯定しなければなりません。これは哲学的肯定であって,ゲーテの肯定とは趣が異なるかもしれませんが,少なくともスピノザが物体の多様性をどのような意味においても否定することはないのであって,よってそれは肯定されなければならないということは示すことができます。
                                     
 まず,自然の多様性は第一部定理一六によって是認されます。したがって物体の多様性も基本的にはこの定理Propositioによって是認されているということになります。しかるにこの定理でいわれている神の本性divinae naturaeというのは,第一部定理三四によって神のpotentiaであると解されなければなりません。よって神の力によって発生するものを,全体として否定するならそれは神の力を絶対的に否定することと同じです。また,神の力によって生じる無限に多くのinfinitaもののうちのいくつかのものについては否定するというなら,これは神の力を部分的に否定しているのと同じことになります。
 このことは,自然のうちに存在する個物res singularisあるいはもっと特定して物体は,その物体という様態的変状modificatioに様態化した神であるということからなおのこと明らかでなければなりません。このことから,ある特定の物体についてそれを否定するということは,その物体という様態的変状に様態化した限りでの神を否定するということですから,これは神を部分的に否定していることになるからです。
 ところが神は自己原因causa suiとして必然的にnecessario存在するものであり,また第一部定理一一第三の証明あるいは第一部定理一五から明白なように,それが存在しないなら何も存在し得ないものです。よって部分的にであれ神を否定することは,すべてのものを否定することと等しいのです。
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