桂歌丸が亡くなった。
(個人的な考えなんだけど、僕は極力、落語家に「師匠」とつけず、とびっきりの親愛と心からの敬意を込めて呼び捨てにしたいと思っている。そもそも僕は入門したわけでもないし、落語がなんたるかもわからない門外漢なんで僕なんかが「師匠」と呼ぶ資格はないと思う。だからどうか呼び捨てにすることをお許し頂きたい。もちろん、他の人(落語家でない人)が敬意を込めて「師匠」と付けることを否定するつもりは毛頭無いです)
僕は落語はそれなりに好きだけど、それでも「生で高座を見た落語家」というと数えるほどしかいない。桂歌丸はそのうちの一人。
いつみたのかな、と思ってこのブログを読み返すと2011年の正月の浅草演芸ホールだった。→「そうだ、寄席に行こう」
(しかし、過去を振り返るのにブログってのは本当に便利だ)
この時、桂歌丸はトリで、「鍋草履」というネタをやった。これがまたすごくてねぇ。。もちろんネタ自体は、鍋に草履が入ってる、という決して大ネタというわけではないんだけど、やっぱり彼の持つ芸のすごみ。ぐぐっと圧倒されてしまうような芸ではなくて、ホール中に桜吹雪が舞うような、おめでたいという概念が形になったような。。あの雰囲気だけは忘れられない。とにかく「いやぁ、正月から良いもん見せてもらったなぁ」と心底思った。
生で見る前に、彼の「ねずみ」という噺も動画で見たことがあったんだけど、これもとっても面白かった。おそらく、桂歌丸という方は、とてもキッチリされた方なんだろうと思う。この「ねずみ」という噺には大工の左甚五郎が登場する。この左甚五郎の職人気質というかきっちりとした感じが桂歌丸本人によく合っていて、僕はこの噺がとっても好き。
機会があれば、もう一度みてみたいと思っていたけど(少なくとも現世では)、それは叶わなくなってしまった。それは残念。
ところで、「地獄八景亡者戯」という噺があります。これは主に上方(関西)で演じられることが多い噺で、死んだ人間が死者の国に行く場面が出てくる噺。この噺のおもしろいところは、その年亡くなった人の噺なんかをどんどん放り込めるところ。
例えば2013年に僕がきいた桂雀々の高座では、
「ちょうど今、マンデラ元大統領も着いたとこですわ、ああ、なんか変な手話の人もついてるなぁ」(覚えてます?)
みたいなこと言ってた。ちょうどマンデラ元大統領が亡くなった年だったからね。
この噺の中で、地獄の一丁目は繁華街で映画館から歌舞伎座から寄席まで何でもある。「アイドルグループの公演はYKB49が大人気、焼き場四十九日ね、のどが渇いたらカフェもあります、ハカーバックス、略してハカバ」なんて感じ。
歌舞伎座では市川團十郎が初代から十二代まで全員集合でやってるし、寄席では昭和の四天王と志ん朝、談志、大名人が揃ってる。そこに桂米朝の張り紙、「おい、米朝はまだ生きてるがな」「へい、前売り券で」というのがお決まりだった。(まだ米朝が生きている頃ね)
今年の年末には誰か「地獄八景亡者戯」で桂歌丸ネタを入れてくれないかなぁ。。「そろそろ笑点の時間ですよ、大丈夫、まだ司会しか来てませんが」とかね。
あっちの世界で、また機会があったら生で観たいな、と思ってます。
そういえば、以前読んだこの本も面白かった。
「歌丸ばなし」
(個人的な考えなんだけど、僕は極力、落語家に「師匠」とつけず、とびっきりの親愛と心からの敬意を込めて呼び捨てにしたいと思っている。そもそも僕は入門したわけでもないし、落語がなんたるかもわからない門外漢なんで僕なんかが「師匠」と呼ぶ資格はないと思う。だからどうか呼び捨てにすることをお許し頂きたい。もちろん、他の人(落語家でない人)が敬意を込めて「師匠」と付けることを否定するつもりは毛頭無いです)
僕は落語はそれなりに好きだけど、それでも「生で高座を見た落語家」というと数えるほどしかいない。桂歌丸はそのうちの一人。
いつみたのかな、と思ってこのブログを読み返すと2011年の正月の浅草演芸ホールだった。→「そうだ、寄席に行こう」
(しかし、過去を振り返るのにブログってのは本当に便利だ)
この時、桂歌丸はトリで、「鍋草履」というネタをやった。これがまたすごくてねぇ。。もちろんネタ自体は、鍋に草履が入ってる、という決して大ネタというわけではないんだけど、やっぱり彼の持つ芸のすごみ。ぐぐっと圧倒されてしまうような芸ではなくて、ホール中に桜吹雪が舞うような、おめでたいという概念が形になったような。。あの雰囲気だけは忘れられない。とにかく「いやぁ、正月から良いもん見せてもらったなぁ」と心底思った。
生で見る前に、彼の「ねずみ」という噺も動画で見たことがあったんだけど、これもとっても面白かった。おそらく、桂歌丸という方は、とてもキッチリされた方なんだろうと思う。この「ねずみ」という噺には大工の左甚五郎が登場する。この左甚五郎の職人気質というかきっちりとした感じが桂歌丸本人によく合っていて、僕はこの噺がとっても好き。
機会があれば、もう一度みてみたいと思っていたけど(少なくとも現世では)、それは叶わなくなってしまった。それは残念。
ところで、「地獄八景亡者戯」という噺があります。これは主に上方(関西)で演じられることが多い噺で、死んだ人間が死者の国に行く場面が出てくる噺。この噺のおもしろいところは、その年亡くなった人の噺なんかをどんどん放り込めるところ。
例えば2013年に僕がきいた桂雀々の高座では、
「ちょうど今、マンデラ元大統領も着いたとこですわ、ああ、なんか変な手話の人もついてるなぁ」(覚えてます?)
みたいなこと言ってた。ちょうどマンデラ元大統領が亡くなった年だったからね。
この噺の中で、地獄の一丁目は繁華街で映画館から歌舞伎座から寄席まで何でもある。「アイドルグループの公演はYKB49が大人気、焼き場四十九日ね、のどが渇いたらカフェもあります、ハカーバックス、略してハカバ」なんて感じ。
歌舞伎座では市川團十郎が初代から十二代まで全員集合でやってるし、寄席では昭和の四天王と志ん朝、談志、大名人が揃ってる。そこに桂米朝の張り紙、「おい、米朝はまだ生きてるがな」「へい、前売り券で」というのがお決まりだった。(まだ米朝が生きている頃ね)
今年の年末には誰か「地獄八景亡者戯」で桂歌丸ネタを入れてくれないかなぁ。。「そろそろ笑点の時間ですよ、大丈夫、まだ司会しか来てませんが」とかね。
あっちの世界で、また機会があったら生で観たいな、と思ってます。
そういえば、以前読んだこの本も面白かった。
「歌丸ばなし」