浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

コーチ・カーター

2010-03-14 23:18:23 | DVD、映画
非常勤講師として母校である県立高校の教壇に立ってたことがあります。1年だけね。まぁー、僕みたいな人間が教壇に立っていいのかよ、と思ってたんだけどね。

担当していたクラスは体育コースというクラスの英語の授業。

体育コースというのは基本的に部活動なんかで推薦を受けて入ってきたクラスで申し訳ないけど勉強が出来る生徒はそんなにいない。

ある生徒なんかはカタカナの「ヲ」が書けなかったし、数学の先生に言わせれば九九を全部言えるのは半分くらいかもしれない、ということだった。(えーっと高校生ですよ)

あるとき、野球部の生徒がこう言った。

「俺は甲子園行ければ学校なんてどうでもいいんだ。」


そういうことを「コーチ・カーター」という映画を観ていて思い出した。

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治安のよくない町の人々の唯一の娯楽は地元高校のバスケ部。そこに赴任してきたコーチは以前、その高校にいたスター選手。バスケットで奨学金をもらい、大学に行き、今では地元でスポーツ店を経営している。彼は選手たちに約束をさせる。「2.3以上の成績を維持しろ。授業はすべて必ず出席し、常に一番前の席に座れ。」

名コーチの指導によりチームは快進撃。しかし連勝を続けていたのに、コーチは体育館を封鎖しリーグ戦をキャンセルさせる。なぜなら選手たちが約束を守らなかったから。

成績目標を達成するまで図書館で勉強させる。コーチは言う。

「この学校の卒業率は50%、半分の生徒が退学する。しかも大学に行けるのはクラスに1人だけだ。」

生徒が聞く。「じゃあ俺たちはどこに行けるんですか?」

「統計によればこの町の18歳から24歳までの男性の33%は、、、刑務所に行く」


バスケで大学に行けるのは一握り、その中からプロになれるのも一握り。多くの選手は高校を出てバスケットコートではなく社会で生きていく。

このテーマによって単なるスポーツ感動映画に終わらず現代アメリカ映画になっている。

うーん、いい映画でしたね。

はい、泣きました。弱いんです、スポーツ物。

なんたって稀代の演説俳優サミュエル・L・ジャクソンがよかった。コーチの演説が体育館の中で響く響く。僕に権利があるならぜひこの役にアカデミー賞を上げたいね。

DVDで観たんだけど特典の「カットシーン」もよかったなぁ。特に「いつか買う豪邸」のシーンは本編に入れたほうがよかったと思うよ。

コーチは選手のことを「gentlemen(諸君)」と呼ぶんだよね。しっかりと敬意を払っている感じでそれにつれて選手がプライドと敬意を持ち始めるのが非常によかった。

あ、ちなみにこれ実話だそうです。



「甲子園に行ければどうでもいい」と言った生徒に僕は「まぁまぁがんばってね」としか言えなかった。もし今の僕なら何か違うことを言えるだろう。

結局、甲子園に行くことの無かった彼はいま何をしているんだろう?
コメント (2)
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