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浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

「不思議な少年」は本当にすごいんだってば

2012-12-20 16:10:37 | 
大掃除というわけでもないんだけど家の片づけをだらだらしています。テレビを買い替えようと思っているので。テレビ周りにおいてある本棚を整理しようとして、古い本なんかは処分しようとしている。昔はせっかく買った本を処分するのが惜しかったんだけどスペースにも限りがあるのでそうもいかない。

で、古い本とか整理していたら改めて見つけて読んでしまう。

その中で、何度もすげー!と言い続けている本。


不思議な少年(1) (モーニングコミックス)

この漫画は本当にすごいですよ。

話としては一話完結もので、不思議な少年が世界中の、そして色々な時代の人間たちをただ見つめているというもの。明らかに手塚治虫の「火の鳥」に似ていると思う。

何度か「どわっ」と泣きそうになる。

もうね、ぜひだまされたと思って読んでみていただきたい。とにかく一話一話の完成度が高いし、全体のバラエティの豊富さがすごい。ドラマティックな話もあるし、SFもあるしホラーもある。恋愛もののあるし青春ものもある。同じ作品で話毎にこれだけバラエティがあるというのもすごい漫画だと思う。

これだけバラエティが豊富だと必ず好みに合う話があると思うんです。僕がどわっと来る話が他の人にはピンと来なかったり、逆に僕がピンと来ない話でも他の人がグッと来ていたりするから。たとえば僕は「レスリー・ヘイワードと山田正蔵」という話がぴんと来なかったんだけど、J郎さんはこれがいいと言っていた。

各巻の僕がどわっと来た話。

1巻
「エミリーとシャーロット」

これはすごいですよー。人は変わることが出来るのか。幸せを追い求めるということはなんなのか。これだけで浦沢直樹なら20巻くらい描くと思いますよ。

2巻
「ソクラテス」

すげーよ。ソクラテスと現代を繋いじゃうんだから。史上最高にキュートに描かれたソクラテスだと思う。

「タマラとドミトリ」

ああ、美しい話しだったなぁ。


3巻
「末次家の三人」

僕にとってのベストはこの話。普通の家族、普通のお父さんの話が数千年の人類史と一気につながってしまう。この力量と言うのはすごい。
この3巻は他の話もすごくて僕としては一番すごいと思う巻です。

4巻
「水晶玉の猿」

唯一、「不思議な少年」を出しぬきかねない人間が出てくる話。

6巻
「NX-521236号」

最高。少年時代に星新一で育った人間としてはこういう話そりゃ好きですよ。

「ムメキクと周平」

ああ、いい話だったー。これも浦沢直樹なら30巻は続けるね。

7、8巻は買ってない。しばらくこの漫画の存在忘れたので買い忘れてたよ。速攻発注しました。

本当にすごい漫画なんだってば。ぜひ読んでいただきたい。基本的に一話完結だからすぐ読めると思うし。

すごいなぁと思うのは、どの話も大河ドラマほどのスケールがあって広げようと思えばいくらでも広げられると思う。それを一話(前後編のもあるけど)できちっと終わらせているのが本当にすごい。この切れ味ね。凡庸な作家なら一つの話をもったいぶって20巻30巻と続けたくなると思う。

ここに「火の鳥感」を感じるんだよなぁ。

火の鳥だってさ、たとえば未来編なんて近未来から始まり、人類が滅亡し、いったんナメクジが進化して文明を作り、それが滅び、やっと哺乳類が進化し、人類が生まれる、という数億年間の話なんです。つまり、人類の滅亡から再誕生までを描いているというスケールの大きさなんだけど、これをなんと一巻でやってるんだよ。すごいよ!何度も名前出して申しわけないけど浦沢直樹が鉄腕アトムの「地上最大のロボット」の回を「PLUTO」というタイトルでリメイクした。これね、元は1回のエピソードなんだよ、たぶん50ページも無い話しだろう。それをリメイクして8巻ものにしているわけだから。

ちょっと話しがずれた。

年末年始、もしお暇でしたらぜひ「不思議な少年」を読んでみてください。ぜったい面白いから。

食べ物漫画で妄想キャスティング

2012-12-18 20:47:50 | 
食べ物漫画っていろいろあるけど、僕が単行本を買い続けているのはこの2作。




年末だからかどちらも最新刊が出ました。

特に「きのう何食べた」の最新刊はいいよ~。二人して実家行く話、知り合いに晩御飯ご馳走になってふとした大きな話を聴いてしまう話はどちらもいい。ほろりとする、という単純な話ではなくて、心がなんだかざわつくというか。

この漫画を僕は結構頻繁に読み返しています。レシピ本としてね。ちょっとした副菜作るのに便利だから。なかなか食べ物漫画で詳細は作り方が描かれているのは少ないし、メインのおかずにならない副菜となるともっと少ない。

食べ物漫画って最近はドラマになる事多いじゃないですか。「深夜食堂」もドラマになったし「孤独のグルメ」も「花のズボラめし」も。

個人的な感想を言うとドラマ「深夜食堂」は悪くない。「孤独のグルメ」は主人公のキャラクターがなぁ。松重豊というのがね。悪くないんだけど漫画のイメージだともう少しスマートな、誰だろう、えーっと中井喜一が良かったな。

「きのう何食べた」がもしドラマ化するならだれがいいだろう、と考える。

まず、筧史朗。これは僕は竹之内豊にお願いしたい。ちょっと神経質な感じも出ていくないですか。年齢もはまる。福山雅治も考えたけど神経質さがちょっと足りない。堤真一だとちょっとゲイっぽさが無いし。

そして矢吹賢二。むずかしいねえ。オダギリジョーになよなよやってもらえたらいいと思うんだけどちょっと若いか。ほっとくと大泉洋になりそうな感じなんだよなぁ。悪くないんだけど。。
知名度があまりないけど北村有起哉はありかもね。


この人。

・佳代子さん

作中、唯一頻繁に出てくる女性なのでいい女優さんを使いたいところですね。60歳くらいであっけらかんとしているお母さんと言うと。。風吹ジュンとかどうかな。


・小日向さん

この人は「ゲイなら誰もがいいと思うルックス」をしているわけだよね。えーっと阿部寛。ビッグネームすぎて難しければぐっさんで。

・ジルベール

これは松山ケンイチでしょー。ちょっと無精ひげにしてもらって「デトロイトメタルシティ」の時のテンションでやってくれればいいと思うよ。

・オサム先生

ドランクドラゴン塚地でファイナルアンサー。


あ、このキャスティングなら結構観たいな。

松ケンに振り回される阿部ちゃん(あるいはぐっさん)は見どころだわー。

アウトロー

2012-11-11 18:18:24 | 
僕の生まれ育った町は昔(僕の母が子供の頃)は田んぼしかない田舎町だった。

その町が工業地域として生まれ変わったのは僕の母がちょうど就職する頃。なので僕が生まれた頃には農業と工業の町になっていた。

そんなもんだから僕の同級生で大学に行かない友達とかは地元の工場に勤めている人が多い。

僕の妹の旦那なんかはそんな感じ。高校を出て地元の工場に勤めている。彼は今まで地元の町以外に住んだことはない。本州から出たこともないし飛行機に乗ったことも無い。あまりアクティブな人間ではないので、休日は家にいて二人の娘と遊んでいる。

誤解しないんで欲しいんだけど、そういう人生がダメだと言っているわけではない。そりゃ確かに地理的な行動範囲は狭いかも知れないけど、家を建て娘も二人いてはっきり言ってある部分、うらやましい人生だと思う。行動範囲が広くたってその土地土地をただ通り過ぎるだけであれば大した意味はないかもしれない。僕のことだ。

たぶん、福島県相馬町の若者の多くもそういう感じなんじゃないかと思う。

中学高校とやんちゃで、大学行くことなんて頭に無くて、地元で働く若者。僕の同級生と違うことは勤めた先が原子力発電所だということ。


東日本大震災前から福島原発で働いていて、その後も働いている人たちのインタビューを基にしたノンフィクション。

取材対象はいわばやんちゃな人たち。高校もまともに行っていないしそのあとの人生も決してほめられたものではない。もちろん原発で働いている人たちがみなそういうやんちゃな人たちではないだろう。でも、そういう人もいる、という意味で取材対象は選ばれているんだと思う。

ここで唐突に「K-19」という映画の話をしたい。

これは1961年、ソ連の原子力潜水艦が事故を起こし、メルトダウン直前になった時の話。もちろん事故自体は最悪のもの。そもそも原子力潜水艦という存在すらどうかと思うし、度重なる整備不良、何も考えてない政府、と最悪なことが重なっている。でも、乗組員たちはメルトダウンを必死で止めようとする。一つの考えとして、「そんな潜水艦が悪い、事故は乗組員のせいじゃないんだからほっておけばいい」とだって言えるだろう。でも乗組員たちはそう考えなかった。もしメルトダウンが起これば第三次世界大戦につながるかもしれない。とにかくメルトダウンを止めるために十分な防護服も無いまま原子炉に突っ込んでいく。原子炉に近づく彼らの手足はどんどん壊死していく。(科学的に事実はどうか分からないけど映画ではそう描かれている) それでも彼らは最悪の状況で起こる最悪の出来事を防ぐために自分が出来る最善のことをただ、する。

福島原発の事故についてはもちろんこの本で描かれる彼らの責任も少しはあるのかも知れない。でもそれ以上に彼らの責任以外のことが多い。電力会社のずさんな管理も想定外の大地震も、その後の政府の対応も。

それに「そんなの俺の責任じゃねーよ」と告げて立ち去ることも可能だろうと思う。

でも、彼らはこう言っている。

「原発員が原発の仕事しねぇでどうするって。ワケのわかんない奴がやってきて何年もかかるんだったらうちらが行って早くやったほうがいいぞって」

若いころからやんちゃをしてきた彼ら。社会的に観れば彼らはアウトロー(無法者)かも知れない。

でもね、「自分は原発員だから原発の仕事をする」と言っている彼らと、遠い東京できれいな背広を着ていいことしか言わず何もしない偉い人たちと、どっちが本当にアウトローなんだろうか。

いまさらそうせき

2012-11-08 00:21:29 | 
ちょっと前に「電子書籍の夜明けは遠い」と書いた。その考えは変わっていないんだけど、少しだけ時代が動くかな、と思う出来事はamazonのKindle発売。

これがKindle。
Kindle Fire HD 16GB

Amazonのサイトから電子書籍を買うことが出来るので品ぞろえも多そう。

それから、「Amazonうまいなー」と思うことがこのKindle発売に合わせてAmazonのサイトではそれぞれの書籍に「Kindle化希望ボタン」がついている。つまりこのボタンが多く押された書籍から電子書籍にしていくことで売り上げが予想できる。さすが商売うまいね。これでボタンが多く押された書籍はコストかけて電子書籍にしても売れる可能性が高いということだもんね。

更にKindleストア(つまりAmazonによる電子書籍ストア)はiPadとiPhoneでも利用可能。つまりiPadからAmazonの電子書籍が買えて読める。うまいねー。ソフトで稼ぐかハードで稼ぐかの違いではあるんだけど、Amazonとしては「Kindleが売れなくてもAmazonで電子書籍が売れればいい」ということだろう。そりゃそうだ。だいたいにおいて「独占的なハードを作ってそのハードで稼いで市場を席巻する」というのは非常に魅力的なアイディアだけどなかなか巧く行かないもの。SONYのベータビデオからいい加減学ぼうね。

えーっと、Kindleストア。

まだ有料のは買っていないけど無料のもの(著作権が切れた昔のものなど)があるのでiPadに落としてちょこちょこ読んでいます。

今は夏目漱石の「草枕」を読んでいる。

改めて言いますが、、、名作だね!

筋の話はおいといて、ただただ日本語がなんだか清流のようにさらさら流れている。それが心地よい。

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山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
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うむー。夏目漱石ってすごいんだね。(いまさら夏目漱石再評価)

会話文もポンポンポンと落語のように進んでいく。考えてみれば古今亭円朝の落語を聞いて「文学も口語でなければいかん」と口語体で小説を書き出したのが夏目漱石なんだから落語に似ているのは当たり前だ。

電子書籍の夜明けはまだ遠いと思うけど、こういう昔の名作が気軽に読めるようになったのはいいことだと思う。

(もちろん少し前から青空文庫で読めたわけだけど、青空文庫だと振り仮名の表記がちょっと読みづらくて)

一方で、楽天も電子書籍リーダーを出しているけどそろそろレフェリーストップが必要なんじゃないの? 誰か社長に「そろそろ撤退しましょう」と言ってあげなよ。あ、社内で英語しか使っちゃいけないからうまく言えないのか。(←イジワル)

組み合わせ

2012-10-26 18:02:44 | 
食べ物でいい組み合わせってのがありますな。(なんか落語みたいな始まりだ)

たとえばさ、じゃがバターにイカの塩辛乗っけて食うの。これ、北海道行って初めて知ったんだけど北海道では一般的。この食べ方旨いよなぁ。じゃがいもという畑のものとイカという海のものがなんでまたこんなにマッチするのかというのはめちゃくちゃ不思議。

イカってなんであんなに畑のモノと合うんだろう?大根と煮ても旨いし。イカってホントは畑に生えてんじゃないの?

今はもう一般的になったけど「海老マヨ巻」ってのを小学校高学年のときに初めて食べたときにも驚いたなぁ。海老ってそれまでは普通、醤油かちょっと中華で甘酢みたいなものだと思っていたらマヨネーズだもんね。それ以上にご飯とマヨネーズの合いっぷりがさ。マヨネーズとご飯という組み合わせって当時は斬新だった覚えがある。

そういや明太子スパゲティもね。イタリアのパスタに明太子乗せちゃうっていう発想もすごいしこれに刻みノリ、シソというのが合うんだよなぁ。ねぇ、そう思いませんか?僕はシソが大好きだけど明太子スパゲティほどシソが名脇役としての存在感を発揮するシソ料理は無いんじゃないかとすら思う。

なんと言うのかな、シソっていつもは主役の脇でひっそりと決して優しくない存在感を出しているイメージじゃないですか。たとえて言うなら主人公の女子高生の後ろにいるうるさい学級委員長役みたいなさ。明太子スパゲティだとその学級委員長がいつものメガネを外してたりして「なんだよ、こいつ、結構かわいいんじゃないか」みたいに思ったりしません?ああしませんかそうですか。で、その学級委員長がドレスに着替えてシンデレラになるのがシソの天ぷらだったりしてね。

ああ、組み合わせの話でしたね。

なんと言っても今の時期の最強コンビいわばマッスルブラザーズ的組み合わせは焼きサンマと大根おろしですね。僕はね、もうこの組み合わせの主役は大根おろしだと思ってますよ。サンマに大根おろしつけて食べてるんじゃなくて、大根おろしにサンマつけて食べてるくらいの勢い。

あとこないだね、まいたけが安かったんです、スーパーで。

きのこ類は冷凍できるので安い時にはついつい買う。さーてどう食べようかな、と思ってたら台所にホタテ水煮の缶詰が転がってるの思い出した。

昔、会社で飲食店やってたときに仕入れたものなんだけど余ったんで安く売ってくれたんだよね。非常に家庭的な社販。じゃあこれで炊き込みご飯だな、ということで炊き込みご飯にしてみたらこれが旨くてさー。

もちろん作った夜のあったかい炊き込みご飯もおいしかったけど余ったのおにぎりにしといて(白ゴマなんかぱらぱらかけておいてね)次の日の朝ごはんにしてもおいしい。

まいたけの山の感じとホタテの海の感じがマッチしてさぁ。こういう炊き込みご飯って冷めたら冷めたで香りが更に立つような感じがする。

秋は食べ物旨いですな。いつでも旨いけど。

がんばればいいんだよ、がんばれ

2012-10-06 21:52:08 | 
「がんばれ」って言葉があんまり好きじゃない。なんつーか具体的じゃないでしょ。

たぶん、この本に出てくる球児たちもそう思っているんじゃないかな。


開成高校というのは東京の私立の男子校(中高一貫)なんだけど何せ頭がいいことで有名。3年連続くらいで東大合格者全国トップ。そんな学校に野球部があるなんで知らなかった、ごめん。

ごめんついでに結構強いらしい、ごめん。2007年には東京大会でベスト16になっている。しかも最後の試合で負けた学校が甲子園に行っている。

その野球部を追ったドキュメント。

アメリカに「マネーボール」という本があって(映画にもなった)それが大層面白かった。メジャーリーグでもっとも選手の年俸が安い球団がどうやって金持ち球団に勝ったかというノンフィクションなんだけどここに描かれるのはまさに「弱者の兵法」だった。開誠高校野球部も正にそれ。

強豪校と違い野球エリートなんてほとんどいない。そもそも試験が難しいので入ることも大変。グラウンドにはナイター設備が無いうえに練習日も少ない。

そういう彼らがどうやって勝つのか。

もちろんそういう「マネーボール」的戦略も面白いんだけど、たぶんこの本のテーマは野球じゃない。もし野球だけなら野球にまったく興味のない僕は楽しめないもの。

じゃあ何がテーマなのか?

うーん、うまく言えないけどいろんなことなんだろうな。

部員はみな「理屈っぽい」。頭のいい子たちなんだろう。

ちょっと引用してみる。
---
著者:いまの課題は何かな?
選手:問題は頃に対するアプローチですね。ある動作に入って球を捕って投げる。そのアプローチに対する対応力が僕はないんで。
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あのさぁ、そんなこと難しく考えているから勝てねーんだよ(笑)

いちいち彼らの話は理屈っぽくてめんどうくさい。いいから来た球ガーンと打てよ、と言いたくなる。

でもね、彼らが社会に出て、野球ではない何か、たとえば仕事に向かった時にこういう理屈っぽさって「論理的思考能力」と言われて重要になるんじゃないかと思う。

目の前の野球だけを考えたら彼らに「あのさ、それじゃダメだよ」と言いたくなる。でも彼らの10年後、20年後を考えると「そのままでいいよ」とも言いたくなる。

どっちがいいのかなぁ、と思うと僕が言えることはただ一つ。

うん、まぁ、がんばれ。

何と言うかまぁ。

がんばれ!

電子書籍の夜明けは遠い

2012-10-03 22:34:29 | 
パソコンだとかスマートフォンの進化で「電子書籍元年」ってずっと言われている。いつになったら次の年が来るのか不思議でしょうがない。

電子書籍が大流行りなのはよく解る。単純に考えれば場所を取らないし流通は簡単だろうし、何より印刷しなくていいわけだから原価がかからない。こんなにいい話はないだろう。

「やっぱり本は紙じゃないと」という声もあるだろうけど、デジカメが出始めた時に多くの人が「やっぱり写真として紙に印刷されてないと」と言っていた。そんな人が今ではほとんどの写真をモニタだとか携帯観てるんだから多少は慣れの部分もあるだろう。

(たぶんそれって古代エジプトや三国志の時代から「やっぱり石版じゃないと」とか「やっぱり竹簡じゃないと」とか言ってたんだろうね)

だけど僕自身は今まで電子書籍をそんなに買ったことがなかった。

別に僕だって「本は紙じゃないと」というこだわりがあるわけじゃない。ぜんぶデータにしてくれるならこんなに楽なことはない。

でもなんで買わないのか。理由は簡単。高いから。

例えば紀伊国屋のサイトでみてみると新書にしろコミックにしろ、電子版のほうが10円高かったりする。本気で言ってるの?印刷代も紙代も輸送費もかからないのになんで?

普通に考えれば電子書籍って単なるデータなわけで原価はかなり落とせると思うんだけど。気持ち的には紙の本より電子書籍が半額になってもいいと思う。でもなんで安くならないんだろう?すごく疑問。

多分、業界として色々決まりごとがあるんだろうけどこんなの買うわけ無いじゃん。

あとは組み方の問題。つまりページ構成。ただ単に紙の本の状態をPDFみたいにしたままというのもある。文庫本であればまぁ問題ないけど、縦組みと横組みが混ざっている雑誌とかだと最悪。縦組みで始まって右に送っていくと横組みの見開きページの半分とかが出てくる。読めないよ。

どの会社も電子書籍を売りたいと思っているならこの辺考えないといけないだろうね。

で、色々考えていたら京極夏彦の新刊が電子書籍で出ているのを知った。この人の本は分厚い(レンガ本と言われている)のが有名で、電子書籍なら場所を取らないし、値段も紙よりは少し(本当に少し)安いしいいかな、と思ってダウンロードしようとしてみたんだけど。。。まー面倒くさい。

オフィシャルサイトからダウンロード出来るわけではなくて電子書籍サイトからダウンロードしなくてはいけない。

そしてその電子書籍サイトがいくつかある。紀伊国屋とかセブンイレブンのサイトとか。それぞれがiPad用の電子書籍アプリを出している。まずこっからして選べない。まぁこれも市場調査だなと思っていくつかのアプリをダウンロードし比較してセブンイレブンのアプリから書籍データをダウンロードすることにした。

はい。そこでもちろん会員登録必要。氏名、住所、電話番号、メルアド、クレジットカード情報を入れる。あのさ、メルアドは分かる、クレジットカード情報も分かる、でもデータダウンロードするのになんで住所と電話番号が必要なんだろうね。

iPadでアプリをダウンロードし、氏名、住所、電話番号、メルアド、クレジットカード番号を入れる。そしたら欲しい書籍データを選び、IDとパスワードを入力する、、、

十年前の僕がやってきて「何やってるの?」と聞かれて「本を読もうとしてる」と答えたらアホかと思われるだろうね。

とにかくまぁダウンロードして読んでます。京極夏彦という人は本の組み方にこだわる人で同じ作品でもハードカバー、新書、文庫で組み方を変えている。具体的に言うと文章が見開いたページをまたぐことがないようになっている。それは電子書籍でも同じ。だから作品自体に文句はない。

でもアプリの操作性がどうもひどい。

例えばページをめくる方法が二つある。一つは左から右にフリックさせる、もう一つは左端をタップする。これがどうも。フリックは面倒なのでタップでめくりたいんだけど、僕は左手でiPadを持っている。そうなると右側をタップするのが面倒臭い。まぁ右で持てばいい、と言われるとその通りなんだけど。

電子書籍のアプリを作ってる人って本当に自分で電子書籍を読んでるんだろうか?こういう細かいところって大事だと思うんだけどなぁ。

おそらくいつかは電子書籍の時代が来るだろうけどそれはまだまだ先のような気がします。

99対1

2012-09-25 20:02:02 | 
アメリカ在住の映画評論家町山智浩の新刊が出ました。

この本が出るタイミングでレギュラー出演しているラジオ番組でのこの人の話がまぁーすごかった。20分ちょっとの話なんだけど、その短時間で「ロムニー対オバマの大統領選の背景」から「共和党と民主党は何を争っているのか?」までがスカッと解ってアメリカの現在が手に取るように理解できた。

とにかくこの人のアメリカに関する話はよく解るし面白くてたまらない。

この話の音声は番組の都合上、1週間で消えてしまうのでちょっと書いておきます。

今年、2012年はアメリカの大統領選があります。大統領候補は現職であるオバマと対抗馬であるロムニー。オバマは民主党でロムニーは共和党。言わずもがなアメリカはこの二大政党制です。

今回の大統領選の背景には99%対1%という対立がある。この数字は何かというと、今のアメリカは1%の超大金持ちがアメリカ全体のお金の40%を所有しているということ。逆に言うとアメリカの99%の人々で60%の富を分け合っているということになる。つまり単純に言うと今のアメリカは「1%の超大金持ちと99%の普通の人、あるいは貧しい人」の国ということになる。

共和党の大統領候補であるロムニーは明らかに1%の人らしい。この人は実業家なんだけどファンド会社(いわゆるハゲタカファンド。日本だとすかいらーくに投資したりしているらしいです)の設立者で年収は何と15億円。資産は200億円近く。

今回の大統領選の大きな争点は富裕層への増税。

オバマ大統領は「富裕層の所得税を増やす」と言っている。一方でロムニーは「それはダメだ」と言っている。この争い。

アメリカの所得税率というのは(日本人からすると)奇妙な感じになっている。

基本的には累進課税で所得が多いほど税率が高くなっている。たくさん稼ぐ人は35%とか。だけどここが奇妙でロムニーは15%しか税金を払っていない。なぜか?それはアメリカにおいては株式売買による所得は税金が安くなる仕組みだから。つまり、1%のお金持ちの人々の収入と言うのは株式売買が多いからお金持ちの1%の人々ほどあんまり税金を払っていないということになる。

オバマ大統領は「これはおかしいだろ」ということで所得税率を上げたい、と言っている。

で、これは税金云々の問題ではなくて民主党と共和党の「主義」の問題になっている。

ロムニーの共和党の基本的な考えは「自由」であるということ。とにかく自由であることが素晴らしいんだ、国は国民のやることに出来るだけ関わらないほうがいいのだ、という考え方。経済に関しても国はタッチせず自由競争をさせたほうが良い、という考え方。

一方の民主党の基本的な考えは「平等」。やはり国民は平等であるべき、ということ。たくさん稼ぐ人からは少し多めに税金を取りそれを国が貧しい人や恵まれない人のために、たとえば公共事業や福祉などに使うべきという考え方。

この2つの考え方、「自由」な共和党と「平等」の民主党で綱引きをしているのが大統領選ということになる。

この2つの考え方はどちらもよい面と悪い面がある。

たとえば「自由」が行き過ぎると悪いことをやってぼろ儲けする企業がどんどん出てくるし、所得の格差はどんどん広がってしまう。負けたヤツは自己責任だということになって一度失敗したらなかなか這い上がれない状態になってしまう。今のアメリカはまさにこれ。

でも「平等」が行き過ぎると共産主義化してしまい「どれだけ頑張っても税金に取られてしまうんだから意味ないよ」と働かなくなってしまう。色々なサービスを公共事業で安くやるわけだから新しい企業は生まれづらくなる。

この自由→行き過ぎて格差→平等→行き過ぎて共産主義化→それに対抗してまた自由、、の繰り返しが過去のアメリカの歴史ということになる。

例えば民主党の政策が功を奏したのはルーズベルト大統領の時代の「ニューディール政策」。ディールというのはカードゲームにおいての「カード配り直し」の意味で「新しく配り直し」という意味になる。富裕層から税金を取り国が公共事業を充実させた。それは一時期はよい面があったけども多くの事業を公共でやられしまうと新しい企業は出づらいし人々の勤労意欲が下がってしまった。それが70年代の不況の原因となった。

その後に出てきたのが共和党のレーガン大統領。彼は「新自由主義」というのを打ち出し規制を緩和し大企業への税金を減らした。それによりアメリカは80年代の未曾有の好景気に沸くことになる。

そしてブッシュ・シニアを経て、クリントンの民主党政権になる。ここでアメリカは史上最大の経済黒字を出すことになるけど、次のブッシュ(共和党)がそれを全部使い果たし最大の赤字を作った。

ブッシュは共和党なので「自由」を基本理念に経済に関してはほとんど手を打たなかった。それによってサブプライムローン問題、金融崩壊が起こった。結果、現在の1%対99%の状態になってしまった。

…というのが町山智浩がラジオで話していたロムニー対オバマ、1%対99%の話。はぁーすごいことだねぇ。

そりゃ自由と平等というのは大事なことだけど、どっちか極端に行き過ぎないでうまいこと中間くらいにしておけばいいんじゃないかと僕みたいな野次馬は思う。中道行き過ぎてダメになってるのが今の日本なのかもしれないけどさ。

アメリカの場合ここに更に「宗教」という軸が入ってくるのでもっとエライことになるんだよねー。

そのあたりのことがこの本に書かれています。

まぁーこの99%対1%の話のみならずスゴイことになってますよ。

オバマをアメリカ生まれと信じていない人がいるとか、貧乏人に医療保険を与える法案を通す奴は殺せと言っている人がいるとか。

ちなみにこぼれ話。

超お金持ちのロムニーをバットマンに例える支持者もいる。バットマンことブルース・ウェインはウェインエンタープライズの大株主と言う設定で莫大な資産を基に自ら街を守る活動をしている。
同じく大金持ちのロムニーは「金持ちがどんどん金持ちになることは事業を行い雇用を増やすことになるのでいいことなんだ」(トリクル・ダウンという考え方らしいです)と主張している。
だけど彼の会社名は「ベイン」!なんと「ダークナイト・ライジング」でのバットマンの敵役。偶然らしいけど面白いねー。

ちなみにベイン、ライジングではかっこよかったけど「バットマン&ロビン」では「ウガー」という台詞しかないです。


どうなることやらのアメリカ大統領選は来年1月に結果が出ます。

博士の死

2012-07-17 20:03:28 | 
連休明けに結構大きなニュースが飛び込んできた。

「7つの習慣」という書籍を書いたスティーブン・コヴィー博士が亡くなった、とのこと。



この本は「世界で一番売れているビジネス書」と言われているし日本でも既に200万部突破したほどのベストセラー。

個人的には著者が亡くなったことについて悲しいとか残念だとか強い気持ちを持っているわけではなく、一般的な有名人が亡くなったのと同じくらいの感情ではある。

比べられるものではないけど数年前にピーター・ドラッカーが亡くなった時のほうが思うところは多かったかもしれない。

既に「7つの習慣」という書籍から始まった思想はコヴィー博士個人だけの思想ではなくいろいろなところに根を張り実っているだろうからね。

非常に生意気な言い方で申し訳ないけど、この本、万能とは思わないけど、それでも一読の価値はあるものだと思ってます。

更に言うとね、できれば本を読むだけではなくて「7つの習慣セミナー」を受けるといいと思います。

幸運なことに僕は仕事の一環でセミナーを受けた。えーっとあれは朝9時から18時までを3日連続、という結構なボリュームのものだった。やっぱりね、講師の話を聞いていろいろな演習(Win-Winを体感する演習とか面白かったな)を受けると、色々な気づきがあると思いますよ。

僕のように思っている人が世界中に何万人もいる、ということはコヴィー氏の、それこそミッションの結果だろうね。

夏のはじまりランブルスコ

2012-06-30 21:18:06 | 
暑いっすねー。


大阪連泊中でございます、もう帰るけど。


昨日はお客さんに誘われて17時からイタリアンでワイン。


お客さんとも話していたけど、この時期の夕方明るいうちに飲む良く冷えた白ワインの幸福感たらないね。もちろん生ビールもいいんだけど白ワインにはまた別の愉悦がある。


更に言うと白ワインもいいんですが加えて前も書いたランブルスコ•ロッソと言う赤のスパークリングも良い。


(ちなみにどーでもいいけど「夏の終わりのランブルスコ」というタイトルは我ながら気に入ってる。何か始まりそうじゃないですか?)


ワインはよく知らないので飲んだワインの名前を覚えていないんだけどこれだけは覚えてる。スッキリしてるしシュワっとしてるから暑い日にいいよ。(ayaさん、こないだの一本目です)


お客さんと別れた後、ホテルに戻る。今回のホテルは天神橋商店街の近く。天満橋商店街というのは日本で一番長い商店街らしい。まぁ長い狸小路と思ってください。


そこ自体、昔ながらの商店街でいい風情なんだけど、更に一本裏に入るといい感じの立ち飲み屋とかバーとかが並んでいる。17時から飲んでいたのでまだ20時前。当然、ついフラフラと入ってしまう。


引き続きワイン。一人になったらゆっくりと赤ワインを飲みたい。

一杯目。

ラベルが可愛いね。

つまみはドライフルーツとチーズ。

ドライフルーツってさ!いきなり熱弁するけど、旨いよね!いちじくとかたまんないすよ。

二杯目はこれ。

上のワインより安いのにこっちの方が僕は好きだ。香りだけでなんか微笑んでしまう。ワインの値段ってよくわからんなー。


今年の夏もこうやってワインを飲んで行くんだろう。ビールも飲むけどだろうけど。

セカンド・ラブ

2012-06-20 20:24:38 | 
結局昨日は新大阪で新幹線が運休になり新大阪に泊まった。

晩御飯はかすうどん。

うどんに硬めのホルモンが入ってんの。勝手に認定関西二大うま麺のひとつです。(もう一つは黄ぃそば)

で、車中暇だったのでこれ読んでました。



新幹線の車中で読もうと博多駅で買ったけど新大阪着く前には読み終えていた。

とんでもない本だった『イニシエーション・ラブ』の作者のもの。

同じく「ラブ」モノなわけで、あの衝撃的な『イニシエーション・ラブ』のトリックを思い出さないわけにはいかない。

しかしまぁとにかくすごい小説だったよなぁ、『イニシエーション・ラブ』。

ああいう『ラストに衝撃のオチが!?』という小説なんていくらでもあるけど、その中でもあれはラストの衝撃さ以上、その衝撃以後に読み返すと、話の印象がまったく違ってしまうところがすごかった。

一読しての印象は男の身勝手さ、そして再読しての印象は女の、、、

まぁみなまで言いませんが。

ちょっと脆い男なら女性不信になるほどの衝撃でした。

ああ、ドッピオさんにこないだ貸せば良かったな。

というのがあっての新作『セカンド・ラブ』。

『イニシエーション・ラブ』の記憶があるのでちょっとした言葉の言い回し、固有名詞に注意を払って読んでたけどまぁこれはわかりませんわ。

これまたお見事。

ラストちょっと前のトリックばらしが芸がない気がしたけどまぁいい。

きれいな表紙だしタイトルも甘ったるいラブロマンス風だけど騙されちゃいけません。まぁードロドロしてますよ。

男も悪い生き物だけど女も、、、ねぇ(ため息)。

悪くはないですが、やっぱり『イニシエーション・ラブ』のほうがすごい。あれなんてほんとに世界がぐにゃりと崩れる感覚すらあったもの。

とにかくさー、『イニシエーション・ラブ』読んでくださいよ、すごいんだからほんとに。

…今回、『イニシエーション・ラブ』の話しかしてないな。


サニー1985

2012-06-12 19:03:14 | 
韓国映画「サニー」が僕の周りで評価が高いです。

映画「サニー 永遠の仲間たち」予告編


あの出不精のドッピオさんが観たってんだからそりゃたいそうなことです。

僕は未見なので予告編やネットで仕入れた情報だけど、80年代に少女時代を過ごしたアラフォー女性たちが現代になって再会する、80年代の思い出を当時のヒット曲と共に、、、という話だそうです。

で、あるところで、「この映画ぜひ日本でリメイクしてほしい。そして1985年に焦点を当ててほしい」という話を聞いた。

なもんだから調べてみたら確かに1985年というのはスゴイ年だった。

当時僕はまだ生まれてなかったわけだけど(意味のない嘘)、wikiを調べてざっとその年の出来事を挙げたけでもすごい。

・レーガン大統領2期目
・ゴルバチョフ書記長就任
・つくば科学万博開催
・日本初エイズ患者認定
・NTT、JT誕生
・阪神バース、掛布、岡田バックスクリーン3連発
・豊田商事会長刺殺事件
・松田聖子、神田正輝結婚
・映画バック・トゥ・ザ・フューチャー公開
・グリコ森永事件終結
・御巣鷹山に日航機墜落
・ファミコンソフト「スーパーマリオブラザーズ」発売
・プラザ合意(実質、バブル景気スタート)
・「8時だヨ!全員集合」最終回
・阪神21年ぶりセリーグ優勝

どうすか?これらの出来事を追っていくだけでも確実にドラマでしょう?

ちょうどバブル絶頂に向かう頃でいろんなことが元気だっただろう。だからいろいろと輝くことが多いと思う。

これに加えてテレビは「スケバン刑事」、「金曜日の妻たちへ」、「毎度おさわがせします」、「澪つくし」、「夕やけニャンニャン」ですからね。

これをしっかり追ってくだけで「すげー」と思いますよ。

そしてバックに流れるのは当時のヒット曲。

尾崎豊「卒業」
レベッカ「フレンズ」
中森明菜「ミ・アモーレ」
チェッカーズ「あの娘とスキャンダル」
小泉今日子「なんてったってアイドル」
中山美穂「C」
C-C-B「Romanticが止まらない」
岩崎良美「タッチ」
安全地帯「悲しみにさよなら」
TOM★CAT「ふられ気分でRock'n'Roll」
薬師丸ひろ子「あなたを・もっと・知りたくて」
吉幾三「おら東京さ行くだ」
テレサ・テン「愛人」
アン・ルイス「六本木心中」
中村あゆみ「翼の折れたエンジェル」
ハウンドドッグ「フォルティシモ」
荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」
田原俊彦&研ナオコ「夏ざかりほの字組」

あーもう何これ!?これ全部入ったCDあったら今なら買うわ!

どうすか?もう映画が目に浮かびませんか?

1970年生まれくらいの1985年当時中学生の人気者の主人公が(「なんてったってアイドル」)が恋に落ちて(「タッチ」「あの娘とスキャンダル」)、振られてやけになり(「ふられ気分でRock'n'Roll」)、また恋におち(「翼の折れたエンジェル」、「フォルティシモ」)、卒業する(「卒業」)。

そんな青春を過ごした仲間たちが大人になり、2010年代に再会する。

よさそうじゃないですか?

確実に僕は泣くよ。

10年は、ひとむかし

2012-06-04 20:22:26 | 
人とも話すし自分一人でぼけっと考えることが多いのは「ランキング」。

なんかドッピオとかと車乗ってたり酒飲んだりしているとついつい「あのさー、肉のランキングってどんな感じ?」だとかで2時間くらい話したりする。こないだは「どの漢字が好きか」というわけの分からない話をしていた。

一人でも暇なとき「ご飯のおかずをランキングにしたら何が一位になるかなー」とか考えたりしてる。(ちなみにメンチカツが1位)

なんかどーでもいいものもランキング付けしていくと「あ、自分はこういうの好きなんだ」と新たな発見があったりするし、酒の席だと結局のところ結論が出なくてだらだら会話が楽しめたりするしね。(先輩パワーでジューシーの意見が黙殺されることが多い。だってさー、昆布お握りはベスト3に入らないでしょうよ)

ご飯のおかずとか寿司ネタとかそういうのだとパパッと決められるんだけど、「好きな映画ランキング」だとか「好きな小説ランキング」はなかなか決められない。

少しジャンルを限定して例えば「デ・ニーロ出演作ベスト5」とか「村上春樹の長編ベスト5」とかでもぜんぜん決められない。

小説結構読みます、映画結構観ます、って言うと「じゃ今まで一番面白かったのは?」とかたまに聞かれたりするけどそういう時って「えー決められないなあ」とあやふやな返答しか出来なかったりする。(でも何となくにやけている)

例えば3人の子持ちのお父さんに「3人の中で一番誰が好き?」って聞いてるようなもんなんじゃないのかね。「断然、長女!」とか答えられる人いたらちょっとヤダ。

そういうときにいい言い方があって「決められないけど、『今日の』でいいなら」というもの。

「今まで読んだ小説でベスト5」と考えると決められないけど「今まで読んだ小説で『今日の』ベスト5」だったら決められる。だってあくまで「今日の」話だからね。明日になったら変えてもいい。

この本読んでて「自分の『今日の』ゼロ年代アメリカ映画ベスト10は何かなー」と考えた。


まぁタイトルどおり、ゼロ年代(1999-2009)のアメリカ映画100本が紹介されている。正直僕はこの中に収録されている映画評論家町山智浩が語るゼロ年代アカデミー賞史が読みたくて買ったんですけど。

ざっとこの年代の100本の映画の紹介を読んでいるとはっきり言って「なんだか病んでた時代だったなぁ」と思う。それはもちろんこの本がそういう映画ばかりを選んでいるからかもしれないけど。

掲載されている映画に「明るく楽しくハッピー」という映画がほとんどない。始まりの1999年にしたって代表的なのを上げると「マグノリア」「ファイトクラブ」「マトリックス」、そしてこの年のアカデミー作品賞が「アメリカン・ビューティー」となんとなく現代アメリカの暗部というか病巣をえぐった作品ばかり。

しかし「マグノリア」はすごかったよな、僕は大好き。それぞれの人々がどん詰まりになって最後は少しの救いがあるけどその救いが●●●(ネタバレなので伏せる)というのが。

「病い」は2001年の9.11以降どんどん顕著になっていく。ゼロ年代後半に挙げられている映画は「ノーカントリー」「ダークナイト」「ハートロッカー」「プレシャス」。。。

本来であれば明るく楽しくスカッとするはずのアメコミ原作映画だってどうも「影」を背負うようになる。たとえば「アイアンマン」。主役はイラク戦争のため米軍に武器を売ってる武器商人だし、そもそも演じているのがロバート・ダウニー・Jrだからね。スーパーマンを影の一切ないクリストファー・リーヴがやっていたのとは対照的。おそらくダーク・アメリカ路線の始まりは「バットマン・ビギンズ」なのかも知れない。そのひとつ前の作品である「バットマン&ロビン」('97年)の神経症的ですらある明るさと比べるとまるで違う。


本の表紙は「ハートロッカー」の一シーン。イラクで米軍の地雷処理班が一つの地雷を処理しようと掘り起こすといくつもの地雷がつながっている、、、というもの。これなんて明らかにイラクにおけるアメリカ軍の状況を示している。「一つの問題を解決しようと手を出したら他の問題がぼろぼろ出てきてしまい手に負えない」という状況。

ゼロ年代と言うのはやっぱり色んなことが袋小路に入り込み手に負えない状況になってしまった10年だったんだなぁと思う。

あと10年たって「10年代アメリカ映画100」を振り返るとき、どういう感じになってるんだろう。

つーことで何となく「僕のゼロ年代アメリカ映画『今日の』ベスト10」を考えてみた。僕が観た映画なんでそんなにサンプル数は多くない。それと、あくまで製作年度が1999-2009ということで。観た年や日本公開された年、にすると確かめるの面倒だから。

ダークナイト
トイストーリー3
レスラー
パルプフィクション
グラントリノ
マグノリア
マンマミーア
スラムドッグ$ミリオネア
カシム・ザ・ドリーム
カリートの道

思いつく範囲でこんな感じかなぁ。こう考えていくとやっぱり同じ系統の映画は一つ入れちゃうと外さざるを得ないね。

マグノリア、クラッシュも入れたいんだけどショートカッツ入れてるからいいか、と思っちゃうしウォーリーはまぁトイストーリー入れてるからいいかと思うし。

バナナの皮で滑ることにはどんな意味があるのか

2012-04-20 19:08:03 | 
「FOOD理論」という理論があります。これはお菓子研究家の福田里香という方が提唱している理論で、端的に言うと「映画や小説、漫画の中で『食べ物』がどのように描かれているか」という表現論、演出論の話です。

って書くとなんか難しい話のようですが、元々はウィークエンドシャッフルというラジオ番組でだらだら話されていたものなんで堅い話じゃないです。

基本となる論理は「FOOD三原則」というもの。

1、善人は食べ物を旨そうに食べる。
2、悪人は食べ物を粗末にする。
3、正体不明者は食べ物を食べない。


つまり逆に、

物語の中で、

1、旨そうに物を食べている人は善人(に見える)
2、食べ物を粗末にする人は悪人(に見える)
3、食べない人間は正体が見えない。

とも言える。

説明しますね。

例えばどんな映画でもいいけどこういうシーンを思い浮かべてください。

ある男の前に美味しそうな焼き魚が出てくる。男は美味しそうに食べる。そして食べ終わった後、焼き魚はきれいに骨と皮だけになっている。

こんな人観たら確実に「ああ、ちゃんと育ったいい人なんだろうな」と思ってしまうよね。

『悪人』という映画で妻夫木聡が冒頭は金髪であまり喋らないし表情もあまり変えない。だから最初は「悪い人なのかな?」と思うのね。でも家に帰ると祖母と二人暮らしで祖母の作った煮魚を丁寧に食べる。これで「あ、悪い人じゃないのかもしれない」と思わせる。

少年漫画の主人公なんかは山盛りのご飯をがつがつ食べたりしてて、これも「ああ、この人はいい人なんだ」と思わせている。ドラゴンボールの孫悟空なんてご飯を美味しそうにがつがつ食べるでしょ、ちょっとほっぺたにご飯粒つけたくらいにして。僕はONE PIECEを読んだことが無いんだけどあの主人公もそんな感じなんじゃないかな。


一方こういうのもある。

ある男性がレストランにいる。ウェイターが美味しそうに焼けた目玉焼きを男の目の前に置く。その男は何も言わず、突然、吸っていたタバコをギュッと目玉焼きに押し付ける。

さて、この時点で「わ、こいつ悪いヤツ!」と思ってしまうでしょ。この男が例えばそのまま女性に会っていくら甘い言葉をささやいてもぜんぜん信用できない。「どうせこの男はこの女性を騙すんじゃないか」と思ってしまう。

正にこのシーンがあったのがタランティーノの「イングロリアス・バスターズ」。ランダ大佐という悪役が紳士的な笑顔と優しい言葉遣いで話しながら、出てきたアップルパイにギュッとタバコを押し付ける。「うわ!絶対この人信用できない!」と思わせる。

法則3の「正体不明者は食べ物を食べない」という代表例はドラキュラ。彼は食べ物を食べない
(食べるシーンが無い)。だからこそ、クライマックスで人の血を吸うときにショックが増幅される。だってドラキュラがさ、血を吸う前に焼肉と大ライスをがつがつ食べてビールぐびぐび飲んでたらどうも間抜けでしょ。


このように食べ物をどう食べるか、ということで映画や漫画ではその人の人間性のイメージまで観客に与えてしまう。

例えばとある少年、ずっと何も食べていないようで腹をすかせている。なけなしの金でやっとのことでパンを手に入れ、さて、食べよう、と思ったときに傍らにおなかを空かせた子供を見かける。
彼は何も言わずそのパンをちぎり子供に与える。そして自分も食べる。

ほらこの時点で「ああ、この少年、自分より他者に与えられるいい少年なんだなぁ」と思うでしょう。

例えば僕らの大好物、「十三人の刺客」の稲垣吾郎の食事シーンとかね。観た人はわかると思うけどあのシーンで「ああ、この人はもうダメだ…」と思わせられたよね。

このFOOD理論を逆に使う演出法もある。

例えば冒頭では旨そうに飯を食っていた人が突然豹変することで「え、いい人だと思っていたのに…」と思わせたり。

よくあるのは例えば男二人で酒を飲み交わし、食べ物も同じものを食べていたのに突如片方が裏切ることで「仲間だと思っていたのに…」という衝撃を与えたりするもの。

裏切りが必ず出てくるマフィア映画ではだいたい仲間で食卓を囲み、食事を取りワインを飲み交わすシーンがある。「ファミリーの結束」を表しつつそれを裏切るのはよっぽどのことだ、と思わせる効果があるだろうね。もしかすると聖書における「最後の晩餐」もイメージしているのかも知れない。

あと思い出すのは「冷たい熱帯魚」の冒頭シーン。
ちょっとケバめの女性がスーパーで買い物をしている。買い物カゴにシュウマイだの餃子だの、冷凍食品をよく見もせず放り込んでいく。家に帰り、その冷凍食品とサトウのご飯(玄関開けたら2分で、のやつ)を電子レンジに雑に放り込む。電子レンジの中がきったない。そしてそれらが皿に移し変えられることも無く食卓に並べられる。旦那はそんな食事に何も言わず食べる。娘は携帯をいじりながら食べる。もうこの家族の食卓を見ただけで「あー、この家族もう崩壊してんな」ということがはっきり分かる。

このように、食べるシーンを巧く見せているのはいい作品。食べ物が美味しそうかどうか、ではなく、その必然性が巧く描かれている、という意味での巧さ。

そういう様々な食べ物を使った「ステレオタイプなフードシーン」を解説している本が出ました。



例えば「女子高生が遅刻しそうになって食パンをくわええながら走っていると曲がり角で男子とぶつかる」という本当に「少女マンガによくあるよね」、むしろ「そんなの少女マンガにしかねーよ」と思うシーン。

実はこれはいかに調べていっても一番最初に出たのがどのマンガか、ということが判明しない。

つまり、我々の頭の中にある「少女マンガ的シーン」ということになる。これがどこにあったかはわからないけどどこかにあったはずの「ステレオタイプ」なフードシーン。

そこで、ではなぜ食パンなのか?食パンは何を意味しているのか、をこの本では読み解いていく。

読んだ後には確実に映画やドラマのフードシーンが気になっちゃうよ。

すごい人のすごい本だ

2012-04-18 22:50:14 | 
読みたい読みたいと思っていたけどやっと読めました。



史上最強の柔道家と呼ばれた木村政彦に関する本。

テーマは正にタイトル通り「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」

「木村の前に木村なし、木村の後に木村なし」「鬼の柔道」と呼ばれた史上最強の柔道家、木村政彦。その彼がなぜ強くなり、無敗を誇り、そしてプロレスの舞台で力道山と戦って負けたのか。そしてその敗北を悔やみ本気で力道山を殺すほど憎み常に短刀を懐に忍ばせながら、力道山を殺さなかったのか。

時代は第二次世界大戦直前から戦中、戦後にかけて。日本が最も混乱し成長した時期。

時の不運、と一言で片づけられないほどの時代の波に木村政彦が呑み込まれていく。

史上最強でありながら、誰しもが認める好漢である木村政彦を本当にいろんな勢力が巻き込んでいく。

日本柔道の覇権を取りたい講道館柔道とその他の団体、エンターテイメントの覇権を取りたいプロレス、、、

僕はまったく知らなかったんだけど戦後日本に「プロ柔道」の団体があったとのこと。決してキワモノではなく、一般紙もしっかりと報道するような真っ当な団体。しかしそれは柔道の本流である講道館から敵対視されていく。よって柔道正史においては今もなお抹消されている。

そのプロ柔道団体を立ち上げたのか木村政彦の恩師、牛島辰熊。

彼らの師弟関係がこれまたすごい。そしてそこから派生する木村政彦の練習ぶりがすごい。

なんと日に9時間、柔道の練習をしている。ウォーミングアップや筋トレ、ジョギングなんかを含んでおらず、本当に柔道の練習を9時間やっている。そして「負ければ切腹」と考え、本当に切腹の練習までしていた。

正に鬼。

全日本選手権を圧倒的に制した木村がプロ柔道に参加したのは決して金や名誉のためではなく、師牛島のため。そして牛島がプロ柔道を立ち上げたのも金や名誉のためではなく柔道と日本のため。

それらが少しずつ歯車が狂いだす。

団体の崩壊、木村の妻の病気により必要となる金。

一方、戦後日本のヒーローとして登場した力道山。木村を誰しもが「強く、人の良い男だった」と評するのと対照的に、誰一人、力道山のことをよく言わない。

その二人の邂逅。なぜ二人は戦うことになったのか。そして無敗を誇った木村が負けたのか。

その二人に横糸のように絡んでくる戦後の男たち。そこには空手の鬼・大山倍達、合気道開祖・植芝盛平、達人・塩田剛三、グレイシー柔術のエリオ・グレイシーまでいる。

現在の格闘技に続く源流がほとんど網羅されているんじゃないかと思えるくらい。

すごい本だ。

もう読みながら「なんでみんな幸せになれないんだよ…」と思ってしまう。

ただ一つ、救いがあるとすれば、あとがきに記載されている、木村の妻、牛島の妻の言葉だけなのかもしれない。



すごい本書く人だなぁと思っていたらなんと「シャトゥーン」の作家なのね。

「シャトゥーン」も超一流の寝不足本(寝る間を惜しんで読んでしまう)です。僕は日本のパニック映画としてこれを映画化すれば世界に通用するはず、と思ってます。