柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

ケアハラスメント

2021年09月23日 | 世の中
介護の仕事中に利用者やその家族から
暴力や暴言、性的な行為を受けることをケアハラスメントと言います。

介護中の事件として私達が思い浮かぶのは
介護施設で利用者が介護職員に虐待を受けるというニュースです。
正直な事を言えば、私が母に老人ホームを薦めたときにも
「虐待」という言葉が頭をよぎりました。
家族のいないところで起き
本人がそれを訴えられない状態だったらどうしよう・・・
と考えたのは事実です。
きっと母自身も心配だったと思います。

その心配を回避するために
一ヶ月の体験入所を経て安心して母をお願いしましたが
問題は母の方にありました。
納得してホームに入った母ですが
初日から拒否反応が出て
「騙されて入れられた」と
家族にも施設の方にも食って掛かる毎日でした。

「私は客。何でこんな目にあうのか」
明らかに上から目線のきつい口調で文句を言い
私と母との口論に施設長が心配して部屋を覘く始末です。

それでも、ホームでは辛抱強く母に接して下さり
時間と共に穏やかさを取り戻して行きました。
母の暴挙によく耐えてくださいました。

父も在宅で介護を受けていた時に
ヘルパーさんに暴言をはいたり
手を強く払いのけたりする場面を目にしています。
父を諫めて、ヘルパーさんに謝罪すると
「気にしないでください。よくあることですから」と
笑いながら答えてくれました。

父の言い分は
「初めに来た時に扱いが乱暴で痛かった」とのことでしたが
常に家族が側にいて、そんな気配はありません。
我儘なうえに怒りっぽい父の勘違いだと思いましたが
若くてもさすがプロの介護士さんです。
時間と共に、父が「有難う」というようになりました。

介護職の友人によると
「確かに目を疑う様な冷たい対応をする介護士もいる
けれど、現場は一生懸命でもその上の上司や運営側が
介護を金儲けとしか考えないところもある。
そういうところは人がいつかない」と聞かされたことがあります。

介護の需要は今後増えるばかりです。
介護を受ける側にも提供する側にも
上下の意識が存在すると、ハラスメントはなくなりません。
「お金を出しているのだから」
「大変な世話をしてあげてるのだから」

介護を受ける高齢者は
心も体も柔軟性がなくなり判断力も衰えます。
家族でさえ、拒否や暴力、暴言が続けば介護への気持ちはへこみます。
家族に代わって介護をする人が
優しくできる余裕を、もっと与えるべきですね。
優しくされれば、私の両親のように尖った心は優しくなっていくはずです。

世の中は少しずつですが変化をしています。
どの職域でも「買う側と売る側」は
対等の立場であるという見方に変わってきています。

早くハラスメントがなくなる社会になりますように❣




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