晋ちゃんの気ままな散歩道

あっちこっち横道にそれたり休んだりしながら気ままに散歩しています。

水なすの話8月12日(土)

2009-08-12 17:51:51 | 料理
3年前、ブログを始めて間もないころの記事です。
久しぶりに読んでみて懐かしいので再度投稿してみました悪しからず。

久しぶりにグルメの話をしよう。
泉州のグルメ水なすの話です。
私は太平洋戦争中の昭和18年、5歳の時に疎開で大阪市内から泉州岸和田へ引っ越しました。
300坪以上はある広い敷地に建坪150坪ぐらい築80年以上の平屋。
土間には竈さん(ヘッツイさん・・かまど)が2ツあり中2階の屋根には明り取りのガラス窓と煙突が出ていると言う古い家でした。
便所は2ツ、井戸も家の中に1ツ、庭に1ツ、玄関土塀の内側には20坪ほどの細長い庭があって松ノ木が2本、前栽には手水鉢があって便所に繋がっていました。
裏へ回ると5坪ほどの納屋(ここでは戦後鶏を数羽飼っていました)。
さらに奥の庭には松ノ木が3本、桃の木、柿の木、しいの木、石灯篭が2基その周りは土塀で囲われていました。そんな大きな家・・もちろん借家でした。
戦争中アメリカ軍のB29爆撃機は紀伊水道から大阪湾沿いに侵入してきましたがこの辺りでは焼夷弾は滅多に落としません。一度だけ真上から焼夷弾が落ちてくるのを見て綺麗な花火だと見とれていたことがありました。幸い風に流されて大阪湾に落ちましたが・・・また昼間庭に出ていて屋根すれすれに飛んできた艦載機にあわてて家の中へ逃げ込んだこともありました。乗っている操縦員の顔がハッキリ見えるほどの近距離でした。
神戸空襲の時は対岸が真っ赤に燃えているのがよく見えたのを覚えています。
そんなわけで広い庭には早速防空壕を掘りました。家族全員が入れて少し物を置けるくらいのスペースがあり、一時は畳を持ち込んで敷いたこともありました。
戦後はご存知の食糧難、広い庭に野菜を植えました、トマト、きゅうり、ナスビ、南京、えんどう豆、そら豆、ざくろにイチジク、枇杷も植えました。毎日鶏が産んだ卵を採りに行くのが楽しみで貴重な栄養源でした。
トマト、ナスビはよくもぎとってその場で食べました。夏のカンカン照りの中で温いのを食べるのですが水分がたっぷりあって美味しいのです。
このときのナスビが今になって思えば”水なす”だったのです。
この水ナスは何故かここ泉州の土でしか育たない。
私の弟は東京に住んでいますがなんとか東京で栽培出来ないかと挑戦したが駄目だったと言っていました。
私は自分で水なすの漬物を自家用に作っています。
水ナスは近所のスーパーで買ってきますが、まずハカマの部分に棘のある新鮮な物、均整の取れた形のいい物を探します。見つからないときは休みます。
次は漬ける時間と塩揉みの具合です。
漬ける糠の状態によってコントロールします。
しょっちゅう漬けておれば糠の状態も大体判ってきます。
漬ける時間は食べる時間から逆算して決めます。
翌朝7時に食べるとすれば前の夜11時頃に漬けます。
塩揉みは手のひらが少し紫色になるくらいまで揉みます。
夜早く寝る時は塩揉みを少なめにします。
朝漬物を取り出して夜漬けるまでの間糠床は冷蔵庫に入れておきます。
糠床に溜まった水はその都度捨てます。
それだけ留意しても味は毎日違います。素材の違いもあるのでしょう。
食べる時は絶対に包丁では切らないこと。セラミックの包丁ならまだましです。
ハカマの部分から裂いて食べてください。醤油などかけないでください。
皮と身の隙間がほんのりと漬かっていて身が甘くて水が滴るように漬かっていれば最高です。
最近水ナスの漬物が全国的に有名になり、関空や近辺の高速道路の サービスエリア、近所のスーパーなどで売られています。
多分一番いい素材が使われていてそれはそれで美味しいとは思います。
しかし私のグルメ・・水ナスはそれらとは味がぜんぜん違います。
遠方の方が本当の水ナスを味わいたいと思われるなら一度生の水ナスを食べる事をお勧めします。
そしてなるほど美味しいと感じたらキチンと糠床を作って生の水ナスを宅急便で取り寄せ一度自分で漬けてみられたらいかがでしょうか。
何度も言いますが身が甘くて水が滴るような味、昔庭の畑でもぎ取って食べた時の甘みと水気が忘れられないのです。

写真は手前水ナスの漬物、後ろは生の水ナスです。



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