今日は天気がよく暖かかったので昼から歩きに出かけた。
西山霊園から山に入り天野山金剛寺方面へ歩いた。
途中田圃の畦道に土筆が出ているのを見つけた。
しゃがんで一本目を採った。
腰を低くすると周りの斜面に5,6本の土筆が見えた。
中腰のまま右手を伸ばして斜面の下の方の土筆まで採ろうとした。
その時私の手に冷たいものが触った。
触っただけではなく引っ張られ中腰であったためゴロっと転んでしまった。
斜面の下は池である。
慌てて左手で周りの支えになるものを掴もうとしたが土筆の生えている場所は
日当たりがよく掴むような木などなく枯れた葦のようなものしか生えていない。
掴んでもぐにゃっとなるだけで支えにはならない。
反対に右手は冷たい吸盤のようなもので下へ引きずられそうになる。
一瞬これは河童だと思った。
このまま池に引きずり込まれるのではないか、必死でもがいた。
首から下げたカメラを傷つけないようカバーする余裕などない。
足で斜面に踏みとどまろうとするが慌てているのでズルッと滑ってしまう。
落ち着け!落ち着け!と一瞬もがくのをやめた。
一呼吸置いたら右手の冷たい感覚が無くなっていた。
助かったと思った。
しかし足元の枯れた葦の下に池の水面が見える。
池面に波紋がゆっくり広がっている。
河童が諦めて池の中へ帰って行ったのだろう。
ゆっくり落ち着いて周りを見回し斜面を這い上がる手立てを考えた。
なんとか斜面を這い上がったがセーターやズボンは土まみれ。
胸のポケットに入れていた携帯は草むらの中に落ちていた。
腕時計は外れていない、眼鏡も大丈夫だ。
手に持っていた土筆は無くなっていた。
こうなったら土筆を徹底的に採って帰ろう。
筍は河童からのお土産です。