さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

建人の大健闘/「視力」の違い、歴然/時は過ぎた

2019-08-29 07:37:14 | 中部ボクシング



週末毎の生中継、ライブ配信のみならず、後日に録画配信されるものも含めると、
最近、本当に見られる試合の数が増えている気がします。
先週から今週にかけて、あれこれ見た試合について、覚え書きを兼ねての感想など。


===================


まずは土曜日、名古屋のセミ、畑中建人がWBCライトフライ級11位、ジェイセバー・アプシードに挑んだ一戦
CBCがYouTubeにフルラウンド動画をアップしてくれまして、見ることが出来ました。






序盤から右リードで畑中が先制。3回、畑中がボディブローから上に右を返すと、アプシードがダウン。
最後のパンチはかすった程度か、当たっていないか、とスロー映像では見えるが、その前の攻撃で、ダメージがあったか、バランスを乱していたか。
何にせよ畑中のポイントリードで序盤が終わる。

しかし4回、アプシードが連打で逆襲。
畑中、ここで動いて外すとか、クリンチするとかではなく、打ち返す選択をするが、アプシードは右フックカウンターを含め、10発ほど続けて打ちまくる。
今度は逆に畑中がダウン。

地力の差が形になってしまった、という印象でしたが、この後、畑中が予想以上の奮戦。
一発の威力では劣るが、右から入り、左フックを返し、食らいつくように連打する場面も。
アプシードの強打を浴びても、すぐに返して相殺し、ポイントも五分五分という印象。

8回、振りの小さい右ショートでダメージを与える。9回は攻められたが、最終回を乗りきって終了。
判定は3-0で畑中。ドローか、僅差でどちらか、という風に見えましたが、畑中が格上相手に成長を見せた試合でした。

ただ、微妙なところで、一階級ぶんの差が見えたかな、という印象でもありました。
4回のダウンシーンでも、同じ階級なら、アプシードが5、6発打ったところで畑中が倒れていただろう、再開後、「残り」の3、4発でフィニッシュしていたのではないか、という風に思ったりもします。

この試合は、中部のボクシング史上、田中恒成が現れるまでは、史上最高の逸材であった畑中清詞の子息が、その成長ぶりを最も明確に示した、という点で、ファンにとっては喜ばしい一戦でした。
しかし、諸手を挙げて大絶賛、というわけにはいかない、と、辛いようですが思います。
この試合の相手が、例えば、後述するジェイアール・ラクイネルであったら、話は別なのですが。

とはいえ、本当に良い試合でしたし、畑中の善戦健闘は見事なものでした。
CBCの実況も「建人の大健闘!」とホンマに言うてましたし(笑)。
今後の試合ぶりに注目したい、そんな気持ちになれましたね。


===================


日曜日はDAZNにて、ファン・フランシスコ・エストラーダの防衛戦をライブ配信で。

挑戦者ドウェイン・ビーモンは、15位という割には、ガタイが良くて威圧感のある風貌。
しかし、いざ動き出して様子を見ると、要するに力で打つ選手で、やったことの分だけ疲れる、という類いやな、と。
まあそれはある程度まで仕方ないにせよ、防御の際の「視力」で、エストラーダとはだいぶ差がありました。

初回、エストラーダに左を合わされたのは仕方ないにしても、2回以降、エストラーダのカウンターやコンビに目がついて行かない様子。
この回、合わせのパンチで倒され、追撃もあり。二度のダウンを喫する。
それ以外にも、ガードの下を通るボディブローが見えず、読めず。打たれた瞬間、驚いている。

こうなるとビーモン、行く道ひとつ。攻撃は最大の防御なり、とばかりに強振して、時にヒットもあるが続かず。
対するエストラーダは地元のファンを前に、余裕の試合運び。
5回はロープに右腕をかけてくつろぐポースを繰り返す。

7回、詰めに出たエストラーダに、ビーモンが懸命の反撃。
しかし9回、エストラーダの右が決まり、二度のダウンでストップとなりました。

「井岡一翔の標的」という表現も散見される、この階級トップの王者、今回は地元でめでたし、という試合でした。
記事によると次戦はサウジアラビアで、統一戦かロマゴンとの再戦か、という観測の模様。

井岡一翔がエストラーダ「挑戦」を目指すなら、次の指名試合をこの興行に組み込んでもらう、という形になれば一番良いのでしょうが、果たしてそんな「運び」があり得るのかどうか。
本人が最近発している言葉は、以前のそれより、真に受けたい気持ちになるものですが...。


===================


先週金曜、ジェイアール・ラクイネルのOPBF王座に挑んだ粉川拓也は、残念ながら8回TKO負け。
これはBoxingRaiseにて見ました。

ジム移籍後、再浮上を期した大一番で、初回にダウンを奪ったものの、それ以外は終始劣勢。
思い切り踏み込んで振ってくるラクイネルに圧され、強く打ち返せるバランスを作れないまま回を重ねる。
最後は攻め込まれて追われ、左を振ったが外れて、直後に左を食ってダウン。
レフェリーが即座にストップする、強烈なTKOでした。

この日の闘いぶりは、動きの量こそ落ちていないものの、「質」の面、ことに攻撃面においては、相手の圧力に負け、力を入れて打てる位置に足を置くことすら難しい、という様子でした。

かつて、タイでWBA暫定戦とはいえ、実質勝っていたような試合をしたこともあり、その実力は世界上位と言って差し支えなかった選手ですが、これも、長年に渡りフライ級で戦い続けていた疲弊なのか。
残念ながら、粉川拓也の「時」は過ぎたのだ、と言わざるを得ませんでした。
試合後の様子など、こちらの記事にありますが、長きに渡り闘い続けて、追い求めた夢が遂に終わった、そういう試合だったのでしょう。



もちろん、見るたびに自信を付けて、強くなっているラクイネルの力あればこそ、の内容と結果でもありました。
日本フライ級王座を返上した中谷潤人は、10月にミラン・メリンドと対戦しますが、世界どうと言うならば、世界戦までにこのラクイネルあたりと、闘って見せてほしいと思います。
メリンドは確かに強敵でしょうが、上でも少し触れたとおり、やはり、階級が違うカードというのは、どこか引っかかりがあるものですから。


===================


ということで、一曲。
中村一義「ピーナッツ」。







コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする