さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

好打しても後続がない 久保隼、自作自演の凡戦防衛

2016-05-17 09:20:51 | 関西ボクシング



昨夜は神戸にて観戦してきました。


長身サウスポー、久保隼のOPBF王座初防衛戦。
昨年末のロイド・ハルデリサ戦は、飛び飛びの映像をYouTubeで見ましたが、
フィニッシュの左はなかなか良いタイミングで決まっていました。






それまでの過程に課題はあっても、評価が高まって不思議のないKO勝利でした。
今回の初防衛戦が、フジ系列の関西ローカル、関西テレビで後日放送されることも、
おそらくはその一端、なのでしょう(5月24日深夜放送とのことです)。

しかし実際の試合は、非常に厳しい感想を持たざるをえないものでした。



初回は久保が長い右のジャブ、左ストレートを伸ばす。
昨年、確か長谷川穂積の前座で、高野誠三を破っているベンジー・スガノブは右から入る。
しかし徐々に届かなくなる。久保が距離を掴む。ヒットは浅い。

2回、スガノブ右から。久保、突き放さずに引き寄せてしまう。
セコンドからジャブを出せと声。しかし久保、ハルデリサ戦のような左を当てたい?
ジャブは少なく左を伸ばす。
3回も同様。左ボディアッパーが出る。ジャブは出せば良い感じだが少ない。

4回、左ストレート二発、ボディにも決まる。5回はスガノブが接近する。

6回、良いタイミングで左アッパーが命中、追撃の左ストレートも。
スガノブロープを背負う。効いている。しかし久保、追撃が甘い。連打が出ない。
単調に左を打つが、間延び。いざというときに打てるパンチの「品揃え」がない。
7回も左ボディストレートが決まるが、その先の攻めが弱い。

8回以降は詳細を書く気になれない展開。
一時はもうひと押しという感じだったスガノブの粘りを許す。
スガノブがラフに出て左右を振り、久保は打っても単発、当たっても浅い。
そしてその後はクリンチばかり。他に出来る事が何もない。
浅いヒットが僅か、あとはミスブローと揉み合いばかりが延々と続き、試合終了。



試合前半も、それなりに展開らしい展開はあっても、全体的に間延びしていて、
後半はというと、それに輪を掛けた酷い内容でした。
選手の個人的な応援や、何かの縁があるでもない第三者の観客にとっては、
見てられないというのが正直なところでした。

久保隼が、ラフで粘る相手をノックアウト出来ないとしても、それは技量力量以前に
そういうタイプの選手ではないから、という言い方もあるとは思います。

しかしこの試合、手強い相手に苦戦した、というのではなくて、
倒せそうな好機があり、倒せずとも、もっと攻め込めた場面もあったのです。
しかしそこで何もせず(或いは出来ず)、相手の立ち直り(というほど、立派なものでもなかったですが)を
許してしまい、ただでさえ間延びした試合展開を、さらに奈落の底に突き落としてしまった。

加えて、好機の無策もさることながら、序盤しっかり突き放すのではなく、
変に引き寄せて打とうとしていた試合運びにも疑問を感じました。
長いリーチを最大限に生かして、そこから試合展開を回せば、相手がちょっとラフに来たくらいで
慌てたり崩れたりすることはないはずなんですが、そこが曖昧なせいで、相手に余計な手を出させる。
このあたりの「いい加減さ」も、後半のクリンチ祭りみたいな展開同様に批判したいところです。


ハルデリサ戦の見事な勝利を受けて、彼への評価が高まったり、次の試合への興味が増した、
というファンの気持ちは、少なくとも会場で彼の試合を見た限り、相当後退してしまいました。
何もたった一度、良い試合が出来なかったからというのではなく、
そうなった原因が、相手の強さではなくて彼自身の甘さ、不手際にあったから、です。

繰り返しますが、恵まれた長身、リーチがありながら、それを生かし切れない曖昧な闘い方。
中盤の好機をみすみす逃し、きっちり相手を生き返らせる拙さ。
終盤は相手に粘られて、それをパンチで止められずクリンチばかり。案の定、という感じでした。


総じて、悪いですけど、とてもじゃないが暇割いて身銭切って見に行く価値のある
メインイベンターの試合だとは言えないレベルの試合でした。
試合終了後、判定を聞かずに会場を去る観客がかなり目につきました。
あれがこの日の試合に対する、率直な評価だと思います。


せっかく関西ローカルとはいえ、地上波のTV放送もついたというのに、
そういう状況も考えると、この凡戦は残念ですし、他人事ながら腹立たしい気分でもありました。


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前座ではWBOミニマム級6位(パンフでは7位でした)の山中竜也が
タイのドエドキャッド・ウィーラチョンに3回TKO勝ち。
右アッパー、左ボディと攻め、3回ボディで二度倒し、追撃でストップでした。

フェザー級6回戦では小坂烈がタイのティエンチャイ・ヨーングカオジムをこれも3回TKO。
懐の深いサウスポーのタイ人をボディで二度倒しました。

あと、4回戦ではフュチュールジムの中村圭吾という選手が2勝目。
小柄なフライ級ですが、全体的にまとまっていてしっかりした攻防を見せていました。
この日は全試合を観られず、途中からでしたが、当てるのが巧いなという印象。
爆発的なものが見えたわけではないですが、目につきました。


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2 コメント

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Unknown (れい れなーど)
2016-05-17 15:31:01
金返せ!と言いたくなりそうな酷さですね。日本人とやったらすぐ負けますね。中澤といい松本といい。私は長谷川穂積の大ファンでしたが、やっぱり最後にもう一度世界をと本気でおもってるならいまの自分の実力がはっきりわかる日本人と日本ランカー上位とやってほしいですね。久保選手にも日本人とやれや!と。
これから世界目指す関西の選手だと私は大森選手にまだ期待してますよ。いまの日本王者との再戦は面白い試合になるとおもってます。
関西ボクシングの現状ほぼ全滅で厳しい状況ですね。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2016-05-18 20:09:56
>れい れなーどさん

お金はいいけど、気分が良くないですよね。まあ「若手」の段階でタイトルホルダーにしてしまうからこうなる、という、言ってみればどこにでもある話でしかないんですが。日本でいえば和氣が一番として、小國、石本、大竹に若手の久我、ここにバンタムから岩佐が加わるとしたら、果たして何番目なの、って話ですし。よくいわれる「JBCインター」という揶揄にすら届かないですね。今回の試合はかなり厳しい評を受けるでしょうが、次の試合でそれを糧に奮起してもらいたいですが。リーチと懐の深さ、ピンポイントでカウンターを取れる左はなかなか良いんですし。
長谷川の動向はどうなんでしょうね。本人の言は、大きな勝負(世界戦)をやりたい、ということでしたが。そういえば大森も階級を上げる可能性があるかもですね。
関西は最近、今ひとつ冴えない感じではありますね。京都勢の健闘で昨年は盛り上がりましたが。
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