さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

今後はフライ級も視野に? ジェシー・ロドリゲス、タイの豪腕王者をTKO

2022-06-27 08:16:15 | 海外ボクシング



昨日は、タイトルマッチの数がひとつ減ってしまったものの、DAZNのライブ配信を楽しく見ておりました。
やっぱり白眉は、メインのジェシー・ロドリゲス。
ロマゴンやエストラーダ、佐藤洋太との試合などでお馴染み、タイの豪腕シーサケット・ソールンビサイを相手に、質の高い攻撃的な技巧のボクシングを完遂し、8回TKO勝ちでした。



ロドリゲス、序盤から右リード、ワンツー、スリーパンチの三発目はサイドへの切り返しで強打する。
シーサケットは見るからに威力十分の左を打ってくる。
ガード、ブロックの上からでも脅威となりそうなシーサケットの強打を、かなう限り動いて外し、空振りを取りたいところでは、と傍目には思うが、ロドリゲスは足捌きを見せつつ、それのみに偏らず、打つときはしっかり正対して打っていく。そして回り込む。

3回、ロドリゲスワンツーから三発目、回り込んで右フック。
4回、切り返しから左右をヒットされたシーサケット、バランス崩す。プレスかけて出ているが、打たれる一方。

5回もロドリゲス、左ヒット、ワンツー連ねる。右のダブル、左。シーサケット、打たれて徐々に「怯み」が見え始める。
6回、それでも大振りにならず、小さい振りの強打を狙うシーサケットだが、ロドリゲスの攻撃が多彩になってくる。
アッパー気味の左、切るようなワンツーの狙いに、少しずつ余裕が見える。

7回、ロドリゲス右フックから攻め、切り返してアッパー気味の左ヒット。シーサケット、両手つくダウン。
タイミングの良いヒットだったが、それのみならず、ダメージの蓄積も感じる。
ロドリゲスも高い集中を求められる展開、楽ではないが、好機に強打狙いも見せて追撃。

8回、ロドリゲスのコンビ、死角から右フック。ワンツーでシーサケットのけぞる。
タフなシーサケットが左右フック浴びてロープへ下がり、ロドリゲス猛攻。
シーサケット反撃出来ず、レフェリーがストップ。ロドリゲス、キャンパスに転がって歓喜の勝利となりました。


強打を大振りせず、打たれても外されても防がれても倦むことなく迫ってくるシーサケットの圧力はさすがでしたが、ロドリゲスは攻防ともに高い集中を保ち続け、心身の構えを緩めることなく対峙し続けました。
そのボクシングは非常に質の高いもので、去年までライトフライ級で闘っていた体格面、パンチ力の不利を補って余りある、見事なものだったと思います。

多士済々な面々が、もう何年もの間、激しい闘いを繰り広げているスーパーフライ級戦線ですが、その中でもタフネスと強打においては、異様な迫力を示し続けてきたシーサケットが、下の階級から一段飛ばしで上げて来た選手にストップされて負けた。
その事実は、見ていて驚愕すべきものに映りました。
正直、こんな試合になったら凄いなあ、とロドリゲスに期待する気持ちではありましたが、本当にそうなるとは。お見事、脱帽もの、でした。


これまで、階級の頂点を争い、直近の対決では僅差で勝敗を分けたファン・エストラーダとローマン・ゴンサレスにとり、この若き新鋭の存在は、ますます脅威となったことでしょう。
というか、今日のシーサケット戦、その内容と結果、そして間接的な比較を無理矢理すれば、もう階級最強の座は、ジェシー・ロドリゲスの手に渡ったのでは、とさえ思います。


もっとも、現地に渡って試合を観戦した中谷潤人の記事を見ると、ロドリゲスや陣営は、兄ジョシュア・フランコの存在もあってか、スーパーフライ級ではなく、フライ級での活動も含めて、今後を考えているらしいです。
この辺、傍目には一刻も早く階級を上げるべきでは、と見える中谷潤人との「邂逅」があるとしたら、どういう形になるものか、いろいろと気になるところです。

何しろ改めて、攻防一体、果敢で技巧的な、見事なボクシングを存分に見せてもらいました。
ジェシー・ロドリゲス、今後が本当に楽しみです。日本で直に見られることも、いずれある...かもしれませんね。





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4 コメント

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Unknown (アラフォーファン)
2022-06-27 08:56:31
あのシーサケットのプレス、そして階級の壁に苦しむかと思いまして、ボディ打たれて、後半止まったら「やはり」というところでしたが、見事でしたね。
あの喜びようからすると、快勝ながらシーサケットのプレスには苦しんでいた様子も伺えるし、歴戦の疲弊なき相手だとどうなるか、というのはありますが、スピード、ボディワーク、死角作ってのコンビネーションなど魅力的です。
ロマチェンコみたいな動きあるし、加えて決定力もある。
スーパーフライ級は同じ面々が長かっただけに一気に新風吹き、今後中谷くん含め楽しみです
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Unknown (モノクマ)
2022-06-27 20:11:21
バム・ロドリゲスは126ポンドまで狙う予定で、その過程で井上との対戦を希望しているそうですね
年齢が若く、まだまだ下の階級が主戦場だと思うので、井上の全盛期までに間に合うかは微妙ですが、サイズは井上と同等ですし、井上がやり残したSフライで十分に評価を上げてから交わることがあるなら、とても楽しみです

現実的には中谷とライバル関係になってくれることを期待したいですが
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Unknown (海の猫)
2022-06-27 21:49:12
Sフライは上位に名のある選手が多いため、なかなか他の選手にチャンスがまわってきませんが、こういった鮮やかな形で若い選手が台頭してくるのは素晴らしいですね。
一方で、シーサケットの腕ってこんなに細かったっけ?とエストラーダ2の動画を見て、エストラーダやっぱりすごいなと。でも直近の試合は微妙だったようなと、ロマゴン2を見て、いや両方すごいわと。フライに行くとすると、同じMRのマルチネスに挑むのでしょうかね。この辺りの絡みに日本人選手が入っていけないのをもどかしく思います。井岡、中谷、田中、皆十分に張り合えるのに。
中谷はフライでの統一路線もあるのですね。だとしたら、井上-バトラーのアンダーで同じプロベラムのサニー・エドワーズと組めると思うのですが。プロベラムは何かコンプラ問題?で欧米での活動が制限されているらしいので、喜んで日本に来るのでは。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2022-06-28 13:27:07
>アラフォーファンさん

体格差も、元々のスタイルの違いも含め、少しでも隙を見せたら怖いなあ、と思っていましたが...単に速い巧いのみならず、集中のレベルが高い選手ですね。終わった直後の様子は、若さゆえ、というのもありましょうが、当然シーサケットの力あればこその歓喜でしたね。
中谷との関係がすれ違いになってしまいそうなのは気になります。しかし、帝拳系列、契約選手、という言い方をすると、対戦の構想がありうるものかどうか...日本的な考え方でいけば、ですが。


>モノクマさん

さすがのあの身体で、と思いはしますが、質の高さは若くして頭抜けてますね。階級の選択は、兄の存在を慮って、という面もあるようで。ジョシュア・フランコがトップ戦線から明確に離脱したら、事情も変わるんでしょうが。
この選手は井上にとってではなく、拳四朗や京口にとって脅威だろう、と思っていたんですが、若いとはいえ、二階級上でこれですからね。えらい選手やなと思います。


>海の猫さん

エストラーダやロマゴンが、もう一回やれと言われてもきついなあ、という対象であるシーサケットを、クリアに退けたんですから、もう「王座交代」と見ていいと思うくらいですね。フライ級、DAZN枠内だとJCマルチネスですが、試合出来ないんじゃあしょうがないですから、MWアローヨと決定戦でしょうか。日本のボクサーで、この辺の話に公然と(妙な表現ですが)絡みうるのは京口のみ、というのが現状ですが、他の選手も国内興行事情に限界あらば、打って出てほしいですね。ことに拳四朗なんて、本当に勿体ないなあ、と思うことばかりです。
中谷潤人の統一戦は見てみたいですね。ただ、エドワーズはちょっと...他が良いです(笑)まあ、一番良いのはSフライ級転向初戦の調整試合ですけど。出来れば好カードっぽいやつでお願いしたいですね。
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