さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

邪魔な右足に終始苦しむ 伊藤雅雪、力を空費して陥落

2019-05-26 14:29:46 | 海外ボクシング



率直に言って、この程度の相手に、こんな感じで負けるとは、と残念です。
しかし、初回早々、結果が見えたとは言いませんが、今日は相当難しくなるな、とは思いました。


伊藤雅雪が、対サウスポーにどのような戦略を持ってリングに上がったのかはわかりません。
しかし、長身で、上体を立たせて構えるサウスポーのジャメル・ヘリングの、前にせり出させて置かれた右足が、伊藤の左足の踏み込みを、厳しく制限しました。
伊藤が、初回早々、その位置関係を押しつけられたというか、受け容れさせられた、という言い方にもなりましょうか。


ヘリングの右足の前までしか踏み込めない位置関係を「設定」されてしまった伊藤は、その後、左ジャブは届きそうにもないから出せず、右ストレートからリードしても、上体だけが前に出てしまう、という繰り返しでした。
当然、右ボディストレートから入ろうとしても同じ。

時折、左アッパーから入る攻め口がありましたが、そういう展開になる前に、それを遮断すべく、ヘリングの右ジャブが伸び、時に左ストレートが続く。
けっして攻めに厚みがあるでも、一打の切れがあるでもない、しかし適時、適切に配置、配分された攻防が、伊藤を不利な位置関係に縛り付けました。


当然、伊藤とて展開を変えたいと思い、果敢に懸命に闘っていましたが、相手の右足がとにかく邪魔でした。
また、それを避けた位置に踏み込もうとしていないように見えたのが、何とも歯痒く思えました。
外(左)に踏み込んで右リード、或いは内(右)に踏み込んで左ジャブから、というパターンをやろうとせず、浅い踏み込みしか出来ない正面から、右で入っては前にのめり、という展開を、いつ変えられるものか、と思っていましたが、結局、そういう展開の変化は、最後まで起こらず終い。

ヘリングがそれを巧く封じた、という感じでもなく、伊藤が不利な位置関係に「布陣」したまま、力を空費させられて敗れた。
苦しい展開に倦まず、果敢に闘い続けた精神力は、かつてのイメージを良い意味で覆すものでしたが、試合運び自体は、伊藤にしては驚くほど効率が悪く、持てる力をほとんど、有効に生かせなかった。


改めて初回の立ち上がりが惜しまれます。伊藤が、ヘリングとの「陣取り」を、何か、あっさりと譲ってしまった感じがして「そこ、譲っちゃいかん!」と、思わず声が出てしまいました。
終わってみれば、それが中盤まで、というに収まらず、最後まで祟ってしまった、という感じです。
あそこを肝心と見て、集中して、厳しく前足の位置取りを争って欲しかったですが、そういう構えではなく、ひょっとすると、そういう認識でもなかった、のもかもしれません。
心身共に、充実期にあったはずの伊藤雅雪だけに、何とも惜しい、勿体ない負け方をしてしまったなぁ、と強く思う試合でした。


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採点は、大差だろう、と見ました。
公式採点は伊藤の攻勢をかなり好意的に見ているな、と感じたくらいです。私は8回以外、伊藤に迷い無く与えられる回があるのかな、と思いました。
迷う回、さらに言えば内容の乏しい回を、全て伊藤に振っても「8対4」には届かない、と見ました。

しかし、WOWOWの実況解説陣は、伊藤に慮った内容のコメントを連発していました。
少なくとも、勝ち負けを競るような内容ではない。それは明らかなように思えましたが、ESPNの途中採点などは、けっこう競った数字でもあったようです。
ただ、有料放送なのだから、もう少しシビアな内容であっても良い、と思います。視聴者の意識は、送り手のそれよりも、何歩か先を行っているのが現実だ、とも...。

江藤光喜の無効試合と共に、今週の生中継は、めでたしめでたしとは行かない、厳しいものでありました。
はてさて、夜の中国ダブル世界戦、オンデマンドの方はいかなる展開となりましょうか。


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ということで、本日の一曲。
大沢誉志幸 “CAB DRIVER” です。







コメント (7)
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