さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

清々しく分ける/離れて完封/才と甘さと/壮絶に逆転

2019-05-02 15:55:16 | 関東ボクシング



ということで、週末毎にあれこれとライブでボクシングを見られる昨今ですが、
我らがBoxingRaiseも、負けじとライブ配信戦線?に参入、奮戦してくれています。
令和最初の日、5月の配信予定が発表され、さっそくその日にライブ配信。
源大輝vs阿部麗也という注目カードを、ホールに行かずしてライブで見られました。
本当に有り難いことです。

他にもカード一覧の通り、18日、墨田総合体育館の日本タイトルマッチ、
田村亮一vs久我勇作戦をライブ配信する他、
どうにかして映像見たいなあと思っていたカードが、いくつも見られます。

3日のクドゥラ金子vs安達陸虎戦は、行くつもりだったけど難しくなり、
8日の小國以載、26日の坂本vs阪下戦などは、見たいけど、
とても会場には行けそうもない、という試合だったので。

BoxingRaise、今月は大盤振る舞いの様相です。これで980円はお得です。
未加入のボクシングファンの皆様、そろそろご加入されては如何でしょうか。
と、すっかり先方の回し者と化す私です(^^)

そんなことで、昨夜のライブ配信を始め、今回はBoxingRaise観戦記、感想文です。


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メインは日本フェザー級タイトルマッチ、源大輝vs阿部麗也

右左、ファイターとボクサー、雑草タイプと天才肌、
何から何まで対照的な上に、試合前からバチバチと煽り合って
大いに盛り上がっていて大変結構(^^)な、必見のカードでありました。

立ち上がり、阿部は、上体を立てず、こちらが思うより、少しだけ前がかり?な感じで、
前見たときの印象と違う、と感じた次第。リズミカルに動き、軽いが速いコンビ。
源はいままで見た通り、上体を左右に揺らし、翻しつつ、前に前に。

阿部が大過なく終わらせた、と見えた初回終盤、右の相打ち。
源が即座に右をもう一発、阿部がこれを食ってダウン。

ダメージはさほど、序盤だし、と見えたのですが、2回に入ると、
阿部が両足同時に撥ねるようなフットワークになっていて、
これは良くない、タイミングひとつ、一押しで倒れる、と思っていたら案の定。
源の右ロングで阿部、二度目のダウン。

序盤の大量失点、精神的にも阿部は迷い、揺らぐだろう、源ここは攻め時か、と思ったが、
3、4回、阿部が苦しいながらも立て直す。動いてジャブで触れ、速いコンビ。
ダウンシーン以外の展開を再構築。この辺は見た目以上に、心身共に「確か」だなぁ、と感心。

5回は源が左フックで阿部をのけぞらせ、脅かす。
しかし折り返しの6回、阿部の速く小さい左がクリーンヒット。源、初めて?自ら後退。
阿部が二度、源をロープに追う場面。源、左を空振りしてよろめく。鼻血も見える。

ここは阿部が強打で打って出られる選手だったら、と思ったところ。
阿部は前に出ることで「保たせて」いたが、けっこう厳しかったのでは。

7回以降も、両者、手法は違えどよく動き、打ちにくい的であり続ける。
しかし、阿部が右リードに力入れて打つ回数が増え、後半を支配。

ただ、8回だけは別。源が右で攻め込み、軽い連打で喫したヒットを上回り、得点。
これが終わってみれば大きかったか。
9、10回は阿部。10回は左アッパーの好打で、源が失速。
ここも阿部に一押しがあれば...と思った場面。


採点は95-94で、ひとりが阿部支持ながら、残るふたりが94-94、
マジョリティ・ドローというやつで、源の防衛。
さうぽん採点は、源源阿阿源、阿阿源阿阿、94-94でした。

序盤、二度のダウンを奪った源の勝負強さがギラリと光り、
阿部もまた、ピンチを脱し、立て直せる「確かさ」を見せた。
双方の特徴、魅力を存分に見られたのみならず、共に「本物」であることを証してくれた、
見応え十分のタイトルマッチでした。両者に拍手です(^^)


試合後は、双方再戦を見据えながらも、互いを称えるコメントを残していました。
決着がついていない内から、そういうことを言うのは甘い、という意見もありましょうが、
そこはやはり、獣でも兵器でもなく、人間同士のやることだから、と思っておこうかな、
というのが、見終えた時の、率直な心境でした。

まあこれが、国際的な舞台であれば、源、阿部共に、また違った情緒が求められるのかも
しれませんが、日本タイトルマッチというのは、こういう空気感であっても良いでしょう。
見終えて、そういう寛大な気持ちになれる、清々しい内容の試合でした。
双方、ややこしいことも汚い真似も一切なし、真っ正直な闘いでしたしね。

重ねてこれをライブで見られたのは有り難いことでした。
BoxingRaise様々です。DANGAN万歳!というところでしょうか(^^)


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セミファイナルは丸田陽七太がコーチ義人を80-72×3で完封
試合全般を通じ、丸田のジャブが支配。コーチは距離を詰められず仕舞いでした。

どのボクサーにとってもそうでしょうが、自分の間合いより遠くから来るジャブほど
難儀で嫌なものはないでしょうね。この日のコーチは、まさに「ドツボ」状態。
それでも終始、緩まず抵抗し、反撃の機会を狙って、奮闘していました。


丸田は基本、遠くからジャブを当てつつ、少しずつ距離を近づけて、
違う攻め口を模索もしていた様子ではありました。

2回には一度、右サイドに出て攻めようとしましたし、
3回はジャブ、右ストレートでボディを狙いました。
4回は離れてジャブに徹し、6回はガード上げて少し前進。
7、8回はワンツー、右ストレートを狙っていき、ヒットもあり。
ただ、大きく局面が動くことはありませんでした。


内容も、採点上も完勝ですし、フェザー級に転じてまだ2戦目ですから、
このレベルの相手に十分な勝ち星、と言えるでしょう。
しかし、距離を厳しく維持し、ジャブで支配、ではその先は、となったとき、
正直言って物足りない部分が...という印象が残ったのも事実です。
丸田陽七太が好素材であり、転級も正しい選択だった、と思えるだけに、余計に。

ここからどのような上乗せがあるものか、或いは。
マッチメイクにも関わってくる問題でしょうが、要注目ですね。


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緑ジムのホープ、矢吹正道が、前日本ユース王者で日本2位の大保龍斗と
50キロ契約の8回戦で、6回TKO勝ち。

デビューから新人王戦を経て、厳しい試合の数々を闘っている矢吹が、
ランクでは上の大保を序盤から圧倒する好スタート。
余裕を持って足を使い、右ダイレクト、アッパーで迎え撃ち、大保早々に顔が赤い。
小柄な大保が果敢に出て、左ボディを決めるも、矢吹が即座に左アッパーで迎え撃ち。

2回まで快勝のプロセスだったが、3回、矢吹が手を下げ、足を止め加減に。
要らない余裕を見せる。大保が攻め込み、ヒットを取る。
4回は近い距離で打ち合い、ヒットの応酬に。ここで大保、ヒットにより出血。

距離を取れば、矢吹が打って外して終わり、ポイントも来ようというものなのに、
距離を詰めるものだから、互角の打ち合いでも、打ち終わりに手を出すのは大保の方に。
そのせいで、印象が微妙になってしまう。この辺、試合運びが、どうにもよろしくない。

天与の体格、当て勘、センスを持っている矢吹だが、
そういう人にいかにもありがちな甘さもまた、垣間見える展開でした。

5回も矢吹の正確さを見るが、場所も場所だし、大保の攻勢を見る向きもあろう、という展開。
6回、大保の出血にチェックが入り、TKOとなりました。
矢吹正道、素材としては変わらず楽しみな反面...まあ、このように「ままならぬ」人の姿を見ることもまた、
ボクシングを見ることなのだ、とアタマではわかっているつもりではあるんですが。


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日曜日、岡山の桃太郎ファイトも、BoxingRaiseにて後日配信で見られました。
岡山のヒーロー、ユーリ阿久井政悟が、昨年の全日本新人王技能賞、湊義生を初回に逆転KOしました。

初回早々、阿久井が右クロスを決め、湊がよろめく。阿久井が追撃、湊が応じて打ち合いに。
これが距離的に「噛み合う」感じ。阿久井の左フックで湊の顔が跳ね上がるも、
直後、今度は湊が、タメを作っての左フック。阿久井まともに食って、ドスン、と尻餅。

池原信遂レフェリーがカウント8まで数え、再開。
湊が出て、ボディを叩き、左アッパーをインサイド狙いで上に返す。
狙いの見える「詰め」に出るが、阿久井クリンチでしのぎ、右を振って反撃。

湊は左アッパーをボディに入れ、右クロス。良い攻めだったが、阿久井が右を決め、
追撃の連打を浴びせる。この辺は阿久井の真骨頂、湊ダウン。
左フックから右で、湊二度目のダウン。かなり効いていて、再開直後、
湊が右をミスし、阿久井が左から右を当てたところでストップとなりました。


短くも壮絶なノックアウトでした。
前回の試合は、腕の負傷などもあって無念の敗北でしたが、
今回は再起戦となる一戦で、若く手強い新人王を相手に、
打たれた点は課題なれど、逞しさと爆発力をまたも見せて、劇的な勝利でした。

以前ならあまり見る機会もなかったであろう、岡山での試合。
私も岡山での試合観戦は、確か二度しか経験がありません。
しかしこうして配信映像が見られるのですから、嬉しいことです。

ことにユーリ阿久井政悟の試合、果敢な挑戦そのもののマッチメイクの数々、
そして勇敢な試合ぶりは、かなう限り見て、影ながら応援したい、と
ボクシングファンなら心底から思えるはずの、貴重な輝きです。
何とか、中谷潤人への雪辱戦が実現するように、と願わずにはいられませんね。


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そんなわけで、一曲。
Galileo Galilei 「クライマー」。








コメント (6)
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