さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

我が目を疑う終盤の連続失点 斉藤幸伸丸、またも王座を逃す

2016-08-01 20:39:46 | 関西ボクシング



そういうことで昨日はまたも暑いさなかに、住吉区民センターにて観戦してきました。
簡単に感想。


メインは技巧のサウスポー細川貴之に、タイトル挑戦6度目という斎藤幸伸丸が挑戦。
輪島ジム初の王者誕生という悲願もかかった一戦でした。

立ち上がり、斎藤は手数少ない。もっと圧さないと、と思うが、細川が軽い右ジャブを出す。
初回は、言っては悪いが、どっちも支持したくない内容。

2回、細川は動いてトリッキーなフェイント、そして右ジャブヒット、というよりタッチに見える。
しかしこれでも、ペース掌握の意志我にあり、みたいな感じでポイント行くのかもなあ、と
思っていたらところ、斎藤が出て右。綺麗に決まって細川ダウン。
追撃する斎藤、しかし水に濡れた赤コーナー前のキャンバスに足をすべらせスリップ。

序盤から強打炸裂、ダウン奪取、好スタートというべき展開。
ところがこの後も、斎藤はちょっと見過ぎの印象。もっとがんがん行けばいいのに、というか。
相手が何されたら嫌なのか、困るのか、という発想が、残念ながら見えない。

逆に、がんがん来られたら困る細川は、それが嫌さに一生懸命。
足使って、クリンチして、当たらなくても、格好だけでも、ジャブを出す。
さわる程度のジャブばかりかと思えば、たまに力入れたジャブ、ワンツー。
時折左アッパーのカウンターがこれに混ざる。数発ヒットもあり。

4回後の採点は38-37×3。つまり、斎藤がダウンを奪った2回以外、全部細川。

※この途中採点は細川ではなく斎藤リードでした。コメント欄にて、キュウさんにご指摘いただきました。
お詫びして訂正します。実際はダウンを奪った回と、もう一つが斎藤で、残り二つが細川でした。

私は1,3,4回を全て細川の「競り勝ち」だとは見ませんでしたが、そういう採点もあり得るか。
けっして悪質な「地元判定」でもない。ただただ、試合自体が、どうにも煮え切らない。


5回、同様の展開。6回は斎藤がボディ攻撃で少しペース上げる。やっとか、という感じ。
7回、細川も左アッパーをボディへ。パンチの交換が増えてくる。
8回、細川が赤コーナーで迎え打ち、左当てるが右を食う。斎藤単発で右ヒット。
斎藤出て追い、細川軽いワンツー。終盤、斎藤の左フック?で細川膝をつく。
これはプッシングのようにも見えたが、ダウンの宣告。細川痛い失点。

8回後の採点は76-74×3、斎藤。8回のややラッキーなダウンがあっても、この差。
これまた、こういう採点もあるのだろう、という印象。
とにかく斎藤、パワーで勝っているんだからもっと攻めんと、という感じ。


9回、細川迎え打ち、手数増やす。しかし斎藤が右を決め、細川少し効いたか。
斎藤攻め込んで優勢、細川も左フックを打ち返し、場内沸く。
細川は足が止まり加減。ここは斎藤チャンスのはずが、また見てしまう。甘い。

とはいえ、さすがに、この試合は斎藤のものかと思ったのですが、10回以降、細川も踏ん張る。
左アッパーのレバーパンチが出て、これが効いた?のか、攻めていた斎藤が
ロープ際に後退、ロープを背負って止まる。誘っているようなジェスチャーだったが、
細川の左フックを打たれ、失点。11回も来い来いと誘う仕草を見せ、攻めは散発的。

最終回も打ち合い、ヒットも取っていたのに、スタミナ切れかボディのダメージか、
また自らロープに下がって止まったり、正直不可解、意味不明。
クリンチのあと、細川が手数自体は出す形で終了。


採点は115-111斎藤、あとふたりが113-113のマジョリティドロー。

私は、1回と5回をどっちにしたらいいのかわからず、それを除いて数えると斎藤の勝ちでした。
しかしどういう見方があったとて、実際、8回終了時に、細川が競った回をほとんど抑えているという
公式の採点が出ている以上、それを基準に残り4回をどう闘うかと考えれば、
10回以降の斎藤の闘いぶりは、どうにも納得がいきません。
はっきりいって、充分勝てる試合を、自ら捨てたようにさえ見えました。

試合を見ずに結果だけ聞くと「二回ダウンさせてドロー、地元判定か」と
思われる方もきっといるとは思います。
しかし、内容自体はこういう採点もあり、と思えるものでした。
私は斎藤のパンチの効果を採りましたが、そうでない採点も充分ありえる内容にも見えました。


試合自体については、両者ともに持てる力の限界の中で、懸命に闘ったのかもしれません。
ことに細川は、過去にたくさん見たどの試合よりも、良い身体を作ってきた印象でしたし、
終始自分の持ち味を出して、相手にとってやりにくいスタイルを貫きました。
ただ、序盤に打たれて倒れたのは反省材料でしょう。当然、そのせいでかなり苦しい試合になりましたし。

対する斎藤幸進丸は、序盤から一発でダウンを奪うなど、パワーに秀でたものがあり、
その上に、やや幸運な二度目のダウンを得たにもかかわらず、敗れました。
しかしそれを敵地での悲運とは言えない部分もあると思います。

この内容で、仮に場所が後楽園であったら、甘いジャッジに勝利を告げてもらえたかもしれませんが、
中立の目で見ると、あまりにも手数が出ず、攻めに厚みが足りない。
挙げ句に終盤3回の不可解な失速、後退が招いた連続失点は、見ていて我が目を疑うようなものでした。
いったい何をやっているんだ?あとひとつ、何でも良いから抑えれば勝ちなのに、
途中採点でそう出ているだろうに、と。

正直言って、これではタイトル獲れないな、という、良くない方の納得感が残った試合でした。



ということで、試合後は難波の居酒屋にて、同道した方々と飲み会。
長年に渡る筋金入りの輪島ファンの友人が、怒りと嘆きのあまり方々に火を噴いて、
お店の中は大混乱に陥ったのでした。色んな意味で、ちょっと残念な観戦になってしまいました。



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前座について、ざっと。
太尊康輝は75キロ契約の試合でイ・ジュヨンと引き分け。
右ロングを思い切り振ってくる韓国人選手を持て余し、危ない場面もあり。不調でした。
6回には相手にバッティングの減点があり、それが無ければ負けていたことになります。

向井寬史は川端遼太郎と3回負傷ドロー。この日随一のシャープな攻防が見られた試合。
2回に向井が見事な左ストレートでダウンを奪うも、3回にバッティングで向井が切り、試合終了。
一発で物凄い出血でした。残念ですが妥当な裁定。

坂本真宏はベテラン諸一宇に判定勝ち。2回に右でダウンを奪うも、諸も粘って反撃。
坂本はどうも試合見るたび身体が重く見え、安易に打たれて苦しみ、打ちつ打たれつになる印象。
この日もその展開を踏襲。試合後、今回は肋骨を傷めていたという話が出ましたが、
そうでなくても似たような試合が続いています。ちょっと心配です。

ストロング小林佑樹は、神之浦博に判定勝ち。強打のサウスポー神之浦ですがスタミナに難あり、
失速に乗じて小林が反撃。序盤打たれて苦しんだものの、挽回して勝利。

4回戦はスーパーバンタム級の一試合だけ。
原優奈(前にも見ましたが、女子ボクサーかと思ったら男子でした)が
今橋将勇(これで「ユキオ」と読みます)に2回見事なKO勝ち。
シャープなワンツーを決めて快勝でした。もう少し、それこそ拳一個分だけ相手から離れたら、
もっと良いな、という印象でしたが。とにかく好選手でした。3戦3勝、これが初KOだそうです。



コメント (7)
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