さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

壮行試合?で一撃KO 今年も大トリ内山高志、ニカラグア人を一蹴

2016-01-01 18:14:06 | 関東ボクシング



大晦日は東京、大阪、名古屋三興行で、タイトルマッチ5試合挙行。
TVで見るだけでも本当に大変です。
ましてディレイあり、生中継あり、関西地方では見られないものもあり。
友人の厚意により、かろうじて見られたものも含め、順次、簡単に感想を書いていき、
毎度の通り新年のご挨拶に代えさせていただきます。


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そういうことで、いよいよ米国のリングに進出することが現実的に語られている内山高志は、
「壮行試合」の趣さえある対オリベル・フローレス戦を迎えました。

彼の実力に見合わぬ不遇、国際舞台への飛躍を妨げるマネジメントの貧困については、
長きに渡りファンの間で不満の種でしたが、どういう理由か算段か、はたまた周辺事情の変化かは
ともかくとして、一応は「内山の慢性的な故障が全て治癒し、体調が良いから」というお題目のもと、
対ニコラス・ウォータース戦に向けてのゴーサインが出た、と報じられていました。

内山にとり、そしてファンにとっても待望のビッグマッチが来年にも実現する。
ただし、当然ながらこの大晦日に取りこぼしがなければの話です。

内山高志とて、相手には負けなくとも、時の流れに負けるときは、いつか必ず来る。
それが何時なのかが問題であって、彼の年齢を考えれば、それが「次」であっても驚きではない。

内山高志なら、そんな不安を吹き飛ばして、また勝つに決まっている。
そう思う一方、本人や周辺が語る「今こそ好調で、どこも悪くなく、完全な状態」という言葉を
鵜呑みにしていいものだろうか。試合前はそんな風にも思っていました。

ところが、実際に試合を見ると、試合前に飾り付けられたそんな言葉の数々が、
ひょっとするとまんざら嘘でもないのかと、つい思ってしまう...というか
どこから見ても本当なのではないか、と見えてしまうものでした。


内山は、僅かに左側に重心をずらして立ち、軽めながら威力十分の右でリード。
フローレスが上体を左右に揺すって外す動きを、左ジャブで追撃。
2回からは左フックの上下も加え、左サイドに回って右を返す。
3回は右のボディアッパーも覗かせ、右がダブルで決まり出す。

これはいよいよ攻め上げるかなと思った直後、たぶんフローレスが右から左を打つ
その動作の直前だったか、身体を締められないタイミングで左のレバーブローが入り、
フローレスがキャンバスに落下、そのままKOとなりました。

サウスポーを攻略する「崩し」の攻めが、そのまま決め手になってしまう。
内山高志の圧倒的な強さを改めて示す、強烈なワンパンチKOでした。

オリベル・フローレスが弱い選手だとも思いませんが、内山高志の前では
「壮行試合」の引き立て役に過ぎなかった、としか言えません。
またしても圧倒的な強さを見せた、いつも通りの内山でした。


それにしても11度防衛を達成した36歳のボクサーが、これほど心技体全てに充実し、
新たな大舞台への、遅すぎるかに見える挑戦にも、不安より先に希望をもって語られる、
そのこと自体が驚異的です。

前々日の井上尚弥と共に、その圧倒的強さは、今の日本のボクシング界では抜きん出ています。
今年、話の通りに、大きな試合の話が実現するとしたら、期待は膨らむばかりですね。
この試合ぶりを見て、相手や陣営が方針を変えたりしないだろうか、なんて気にもなるくらいで、
その辺も井上に通じるものがありますが...。


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セミファイナルの田口良一は、またしても壮絶な試合を繰り広げました。

初回からルイス・デラローサの果敢なアタックに、悪い意味で「お付き合い」をしてしまった感じ。
田口はパンチの威力ではまさるが手数で劣り、多くのヒットを許してしまう。

それに対してどう応じるか、の選択に少し迷いがあったか。しっかり離れてジャブを突くのが
一番良かったのでしょうが、勢いに呑まれている面もあり、さりとて打ち合いにも踏み切れず?
序盤は単発の好打を決めてもデラローサを止めきれず、失点を重ねているように見えました。

中盤以降、無理をしていた面のあるデラローサが徐々に失速、田口は身体全体をしならせた
強烈な左フックやボディ打ち、右ストレートや、スイッチしての右ジャブなども見せ、挽回。
9回には右のクリーンヒットを重ねてデラローサを打ちまくり、棄権に追い込みました。


最近の戦績が良くないとはいえ、かつてはコロンビアのホープでもあっただろうデラローサが、
ラストチャンスに賭ける気迫というか、勝負への執念は凄まじいものがありました。
それは認めた上で、その闘志を全て引き出してしまうかのような、田口良一の闘いぶりは、
あまりにも正直過ぎるというか。良くも悪くも、これぞ田口良一の試合だな、という印象でもありました。

同じ事の繰り返しですが、あまりに容易に、相手が望む展開を与えてしまうし、気前よく打たれすぎます。
相手が変われば対応も変わる、という面もあるでしょうが、派手な試合をし過ぎますね。

豊富な練習量を感じさせる、良く鍛えられた天与の体躯とパワーを、より効率の良い展開で生かし、
今年実現するであろう上位選手との対戦を勝ち抜くために、今年は技術や戦術の改善、
さらにいうなら発想の転換が求められる一年になるでしょう。

そのあたり、少しでも良いから変化の兆しが見られれば、と思っていましたが、
今回の試合に限っても、そういうところにはまだ手が回っていないのかなぁ、という印象でした。
見ていて面白い試合をするという意味では、非常に存在感のある選手ではありますが...。



コメント (6)
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