明後日は、神戸にて観戦予定であります。
長谷川穂積の相手は、北京五輪メキシコ代表、ベスト8進出のアルツロ・サントス。
今年、モンティエルと2-1の試合をしていて、YOUTUBEでも動画が見られました。
ぱっと見た印象、堅実、骨太、しかし愚直、勝ち味が遅いと言われるタイプという感じ。
26歳と一番良い時期かもしれませんが、ビート誌面には「アマ時代がピーク」という声もある、と。
しかし、今の長谷川穂積にとって、この手の選手、果たしてどうなのかなと、やや不安です。
一段とばしのフェザー級での戴冠、転落を経て、トレーナーを外部から招いての再起初戦はやや苦戦。
その後、改めて山下会長とコンビ復活、122ポンドに落としての初戦。本人は「打たせずに打つ」宣言。
バンタム級最後のモンティエル戦以降、どうも長谷川の行く道が定まらないなぁ、と
いろんな意味で、そう思えてならないですね。
まず階級の選択。興行面その他の事情で、バンタムから一段飛ばしでフェザー級に転じ、
初戦で世界戦を闘わねばならなかったこと。そして今回は飛ばしたSバンタムに降りての闘い。
このクラスで世界を狙うのかと思いきや、フェザーも視野に、という陣営のコメント。
この試合を勝てばという仮定ですが、来年になればIBF、WBOも視野に入ってくるのでしょうが、
様々な選択肢を持つのは良いとしても、階級に関してもまだ定まっていないということでしょうか。
「せやねん」の動画を二つ、紹介しておきますが(その1、その2)最初の方で長谷川が言及しているように、
Sバンタムにとどまるか、フェザーに転じるか未定のノニト・ドネアへの対戦を視野に入れている?
というのなら、頼もしい限りではありますが...残念ながら拙速、非現実的と言わざるを得ないでしょう。
先日、ホルヘ・アルセを「斬殺」したドネアと、今の長谷川との間には、
米大陸での知名度、商品価値というのを抜きにしても、力の差が相当あると感じました。
1992年、ロッキー・リンに快勝したリカルド・ロペスと、
チェ・ヒヨンに辛勝した大橋秀行くらいの差、という例えだとわかりにくいでしょうか(^^;)
かたやスピード、切れ味、強打が最高レベルで共存し、
かたやそのような過去を再現できず試行錯誤のさなか、というか。
そして、長谷川のボクシングそのもの、スタイルの選択というのも、今回の試合でどうなるか。
先のフェリペ・フェリックス戦では、フランク・ライルズの指導の下、基本重視のスタイルを目指し、
序盤はまずまず、終盤はやや型くずれ、という印象でしたが、今回は山下会長とコンビ復活、
「打たせずに打つ、顔を腫らさず試合を終える」という、どうも聞けば聞くほど不安になるコメントが出ています。
確かに防御重視、バランスに留意した闘い方を考えてほしいとは、私のみならず長谷川のファンならば
誰もが思うところではあります。
しかし、今回また指導体制が元に戻ったことの不安が、どうしても先に来ますね。
そもそも、そういう方向性を持っていたのが、ライルズの指導だったのでは?という気がしますが...。
いずれにせよ、明後日の相手、サントスは、見映えのする選手ではなさそうですが、
長谷川が軸足の定まらない状態でリングに上がれば、その揺らぎを突き崩すだけの力は
充分持っているように思います。
ここ数戦、見ていてどうも据わりの悪い長谷川ですが、そういう印象を打ち消す「確かさ」をまずは見たいですね。
打たせずに打つとか、顔を腫らさずに、という枝葉末節の話はこの際、どうでもいいです。
自分の決め手が何であるか、布石の部分が何であるか。
それをいつ出し、いつ伏せるか。
そのために必要なパンチ、ステップ、防御の組み立てを...
長谷川ボクシングの全体像を、まずはしっかり見せてほしい、というところです。
それを確かに感じられるところがいくつもあれば、まず判定でも、静かな試合でも構わない、と
相手のレベルも考え合わせて、今はそんな風に思っています。
もしそうなってくれれれば、例え鮮やかな試合、勝ち方ではなくても、
彼がこのクラス近辺の多くのボクサーと同じく、心中に秘めているであろう
「打倒ノニト・ドネア」という野望に、一歩を踏み出したと感じることが出来るでしょう。
明後日、神戸の会場で、そのように感じられることを、密かに、期待しています。