さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

中部リングも熱い

2006-07-24 23:39:45 | 大場浩平
私のごひいきボクサーは、何も関西だけにいるわけではなくて、
中部のリングにもたくさんいるのであります。

何せ人呼んで「関西一の名古屋通」。

...自慢にならんで、それは、というツッコミも多々いただきましたが(^^;)


名城信男王座奪取の、翌23日は愛知県小牧市と石川県金沢市で
興行があり、大場浩平と中岸風太がそれぞれメインイベントでKO勝ちしました。

大場浩平は元OPBFチャンピオン、ワエンペット・チュワタナを4RKO。
中岸風太はタイ王者デッチシャムを5RKO。

大場の方は映像を見ることが出来ましたが、最後はあのタフなワエンペットが
右アッパーを食って横倒しにされてしまいました。ものすごいKOでした。


以前もこのブログで取り上げた、金沢の天才少年中岸風太は、
新人王決勝のあと3連勝しています。
今回の勝利でOPBFランクに入る可能性も出てきました。
早々に、上位進出ですね。嬉しい限りです。

しかし、金沢まで見に行きたいのはやまやまなんですが、
やっぱ遠いっすからねぇ...。
出来たら土曜日に興行などしていただけたら、いさぎよく一泊して
観戦するところなんですが(最近はそれも難しくなっていますが...)。

そのうち、風太君などとは気軽に呼べなくなってしまいそうな、
成長した中岸風太の姿を、直に見てみたいものであります。

コメント (2)
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もっと強く

2006-07-24 23:11:30 | 名城信男
感動の王座奪取から一夜ならぬ二夜明けたわけですが(^^;)
いまだにあれこれ思うことがたくさんあって、どーもまとまりません。
以下、とりとめもなく書かせていただきます
(いつものことやないか、と言われると言葉もありませんが...)。


両者については試合前日に、だいたいのところを書いたのですが、
初回、私はもっと名城がぐいぐい踏み込んでいかないと勝てないと思っていました。
しかし名城は断続的にカスティーヨをロープ際へ追うものの、カスティーヨの
鋭く多彩な左に阻まれて、思うように出られないように見えました。

そして残り10秒くらいでしたか、名城が連打するその間に
スッと差し込んだカスティーヨのカウンターパンチ。
鋭い左フックが見事に名城のアゴを打ち抜き、名城の身体が半回転します。

その瞬間、私は、ここで試合が終わるのかと思いました。
名城は懸命に前に出てしのぎ、ゴングに救われます。

2Rが始まってもカスティーヨの身体全体を支配する、攻防兼備のリズムと
鋭い左のジャブに目を奪われ、私は「これが世界の一級品か、いくら名城が
日本の怪物といえども、世界にはかなわないのか」と今更なことを思っていました。

しかし、名城信男はやはり怪物でした。そして「ホンモノ」でした。

じりじりと出ては強打を上下に散らし、徐々にカスティーヨを下がらせます。
そしてカスティーヨの顔面に、いかにも固そうな右拳を叩き付け、
左目上を切り裂いてなおも前進。
カスティーヨの鋭い反撃を受けるものの、初回の劣勢を帳消しにします。

デビューわずか8戦目のボクサーが、世界戦のリングで、ファーストラウンドに
ダウン寸前のピンチに陥りながら、平然と、すぐ次のラウンドで失地回復する。
考えてみれば、私は、少々現実味のない光景を見ていたわけです。

私は思いました。やはり、名城信男は怪物だ、と。



このボクサーを初めて見たのは、ちょうど3年前、2003年の7月でした。
偶然見に行った興行のセミファイナルに、なぜか4回戦が組まれていました。
かたや11戦のキャリア、かたやデビュー戦、という、妙な組み合わせでした。

「どういう事情か知らんけど、ケッタイな組み合わせがあるもんやなぁ」と思い、
私は大した感心ももたずに、入場してくる選手を眺めていました。

ところが、このデビュー戦の選手の姿を一目見た瞬間に、私は衝撃的な何かを感じました。
この若いボクサーの拳が、相手の身体をとてつもなく、強く深く打ち抜いてしまう、
そんなイメージが鮮明に見えたのです。

その試合に、彼、名城信男は、初回32秒でKO勝ちしました。
名城の左右の強打の前に、11戦のキャリアを持つ相手はなすすべもなくリングに沈みました。

あまりにすさまじい勝ちっぷりに、場内騒然となるなか、
一緒に観戦していた人たちと、口々に語り合ったものです。

「この選手は絶対出てくるで」
「モノが違いますね」
「専門誌はこの選手をでっかく載せるべきですよ」等々。

本当に、昨日のことのように覚えています。
それ以降、名城信男はすさまじい勢いで、連勝街道を走ります。

2戦目、名古屋のグッドジャバー木ノ下国広を2RKO。
3戦目、タフガイ関口武志を1RTKO。
4戦目、関西屈指のテクニシャン、竹田津孝と好ファイトを繰り広げ、判定勝ち。
5戦目、世界の技巧派、本田秀伸を押しまくって判定勝ち。
6戦目、日本王者、田中聖二に10RTKO勝ち。
7戦目、元日本王者で世界2位のプロスパー松浦に判定勝ち。

私は木ノ下戦以外を全て、直に観戦しました。
その時々の段階で、考え得る最強の相手とことごとく対戦し、
ことごとく見事な内容を伴った勝利を重ねる名城信男の姿を
これでもかと見せつけられ、試合のたびごとに感心させられてばかりでした。



しかし、それでも、世界チャンピオンが相手となると、
いかに名城信男でもかなわないのか、と一瞬思わされたファーストラウンド。
でも、彼は大丈夫でした。

この後、名城の強打と前進に、カスティーヨは懸命の防御とカウンターで応じ、
一進一退の攻防が続きます。カスティーヨは再三首振りディフェンスを見せ、
二階席から見ていた私には、名城のパンチが半数以上は殺されているようにも見えました。

しかし浅くとはいえ、名城の強打を受ければ、そのうち効いてくるだろうが、
それがいつ頃になるのかという不安を持って、試合を見ていました。

9R終了時点で私の採点は「カカ名カ名カ名イ名」で
86-86のイーブン(「イ」はイーブンです)でした。
この試合はラスト3つのきわどいポイントの取り合いで決まる、そう思ったのですが、
試合は唐突なエンディングを迎えます。

10R、やや名城かという展開だった1分過ぎ、
レフェリーが突然試合を止めて、名城の右手を掲げました。
「ウソ!勝ちか?」という声が聞こえ、直後にそれが大歓声に変わりました。
カスティーヨ出血多量のため試合続行不可能となり
名城信男が新チャンピオンとなった瞬間でした。

直後、名城に大きなチャンスを与え続けた枝川会長と
名城の心技体を支えた藤原トレーナーが、笑顔で肩を叩き合っているのが見えました。

私が軽々しく「怪物」と呼ぶ名城信男を、このお二人を始めとする
多くの人々が支え続けてきたからこそ、この勝利があるのだなぁ、と実感しました。


試合後、インタビューに応える名城は、締め括りに
「今後の抱負を聞かせてください」と問われて、こう言いました。


「もっともっと強くなりたいです。
 自分が出来る限り、限界まで強くなりたい。
 それだけです。」


世界最短奪取も、世界タイトルそのものさえも、
ひょっとしたら彼には関係のないことだったのかも知れません。
少なくとも「もっと強く」と語った、その瞬間には。



試合後、閑散とした会場で4回戦が行われているさなか、
TVクルーに請われてか、名城信男がアリーナに現れました。
カメラ、照明、マイク、そして記者さんたちに囲まれつつ、
コメントをする彼の横顔は、少々痛々しく腫れていました。

その横顔を間近に眺めつつ思いました。
これから、いや、つい先ほどの勝利の瞬間から、
彼は、世界チャンピオン名城信男としての人生を生き、
そして闘い始めたのだなぁ...と。

しかし、たとえいかなる強敵が彼の前に立ちはだかろうとも、
彼のゆく道はひとつなのでしょう。

もっと強くなりたい。自分の出来る限り、強くなりたい。
もっと、もっと。

そんな思いを胸に闘い続ける男。
彼、名城信男を、これからも変わらず、応援し続けたい。
そう思っています。


どの試合も、そしておとついの試合も、本当に見事な闘いぶりでした。
いつもいつも、同じことを書いていますが(^^;)
名城信男、本当におめでとう!

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