非国民通信

ノーモア・コイズミ

低すぎる目標は

2016-03-20 11:20:55 | 政治・国際

大学学費、10年で半額に=参院選へ若年層政策-共産(時事通信)

 共産党の志位和夫委員長は17日の記者会見で、国公立・私立大学の学費を10年後に約半額にすることを柱とする若年層政策を発表した。学生1人当たり月額3万円の給付奨学金制度創設も盛り込んだ。18歳選挙権が導入される夏の参院選をにらんだ対応で、選挙公約に明記する。

 学費半額への値下げは、国立大学に対する運営費交付金や私学助成金を10年間、一定額ずつ増やしていくことで実現させる構想で、10年後の予算規模は1兆1000億円程度。給付奨学金の対象は現在の貸与奨学金受給者の半数に相当する70万人とし、その後拡大する。年間予算は2500億円程度という。

 

大学まで教育無償化や地方分権強化を規定 おおさか維新、憲法改正原案が判明(産経新聞)

 夏の参院選に向け、おおさか維新の会が作成を進める憲法改正原案の全容が15日、分かった。「経済的理由によって教育を受ける機会を奪われない」とする教育の完全無償化や、地方公共団体の権限強化を条項に盛り込んだ。国会議員らによる党憲法プロジェクトチームが党法律政策顧問の橋下徹前代表らと議論を重ねており、4月までに第1次試案としてまとめる方針。

 改憲試案の作成は、参院選を控え、「改憲勢力」として安倍晋三政権と歩調を合わせる姿勢を示すとともに、民主党など他の野党と一線を画す狙いがある。

 原案では、教育を受ける権利などを定めた26条について、経済的理由に左右されない教育機会均等の確保を具体的に記した。さらに、現憲法の「義務教育は、これを無償とする」とした条文を、「幼児期の教育から高等教育に至るまで、法律の定めるところにより無償とする」とし、幼稚園などから大学までの完全無償化を規定する。

 

 共産党は大学の学費を10年で半額にするという政策を発表したそうですが、おおさか維新の方が、より踏み込んだプランになっていますね。他はさておき教育面に限れば、おおさか維新は支持されるに値する政党と言えそうです。まぁ、選挙前の国民との約束は完全に無視して自民党との約束しか守る気のなかった民主党みたいな例もあるわけです。おおさか維新が連立与党の一員に組み込まれることがあったとしても、その際に高等教育の全面的な無償化を本気で実行に移そうとするかどうかは、にわかに信じがたいところもあります(付け加えるなら教育の無償化は憲法とは無関係にできるはずのことですし)。

 さて我らが日本国では、問題を抜本的に解決しうるような最良の政策よりも、より現状に妥協した中途半端な政策の方が「現実的」として高い評価を得ることも多いでしょうか。大学の無償化なんて外の世界に目を向ければいくらでも実例のある話ですけれど、それでも日本では非現実的な主張と一蹴されかねない、共産党の中途半端な半額案(1980年代の水準に戻るだけでは?)の方がずっと「現実的」として世間に受け入れられやすいようにも思われます。だからこそ私には、共産党の主張が衆に媚びたポピュリズムに見えなくもありません。まぁ、メディアの批判を浴びようとも堂々と大学の無償化を訴えるぐらいの気概を今の共産党に期待するのは難しそうです。

 たとえばアメリカ大統領候補の一人であるドナルド・トランプは妊娠中絶や国民皆保険、大きな政府に容認的であるなど対立候補であるテッド・クルーズなどに比べると部分的にはリベラル寄りの顔も持っていたりします。その辺は橋下一派と似ているのかも知れません。ヘイトスピーチ規制や危険な組み体操(学校教師の純然たる自己満足の世界!)の禁止を全国に先駆けて決めたのは大阪維新村でもあるわけです。そして今回の大学までの教育無償化も然り、と言えます。総合的に見ればダメな点の方が目立つ勢力の主張であっても、主流派なり中道なり、あるいは左派と呼ばれる層が後れを取っているところはあるような気がしますね。

 「現実的」とメディアや識者から許容されるような政策や主張は、何の結果も生まずに終わることも多いのではないでしょうか。何ら実現の当てもない放言になってしまっては確かに問題ではあります。しかし低すぎる目標もまた事態を改善させる機会を損ねるものです。たとえば安倍政権下のインフレ目標にしたところで、目指すところが低すぎてデフレから脱却できたかどうかも怪しいのが現実です。「ハイパーインフレになるぞ」などと下らぬ脅しを振りまく経済誌なんて無視して、もっと高い目標を設定しなければならなかったと言えます。教育政策に関しても同様、初めから低い目標しか設定できないようでは、あんまり期待できないなぁ、と。

コメント (1)
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