非国民通信

ノーモア・コイズミ

都市部の声ばかりが伝えられがちですが

2016-03-06 11:13:16 | 政治・国際

アダムズ方式なら「9増15減」、愛媛1減対象に 有権者は諦めや理解 /愛媛(毎日新聞)

 26日発表された2015年簡易国勢調査速報値。これを基に1票の格差是正で「アダムズ方式」を採用した場合、毎日新聞の試算では9増15減が必要で、愛媛が衆院小選挙区の定数(現行4)1減の対象となった。実現すれば、小選挙区制移行後、初の定数減となる。市民や県内の政党関係者からは、諦めや反対の声が上がった。

 アダムズ方式は、現行制度より人口比を反映した形で都道府県への議席を配分する仕組み。この方式だと、愛媛など15県が1ずつ減り、東京、神奈川など都市部の1都4県で計9増となる。民主、維新など野党や公明は受け入れを表明し、自民は愛媛が削減対象にならない「0増6減」案を提案している。

 1986年に衆院旧愛媛1区から3区▽96年に3区から2区▽2014年に2区から4区に変わった伊予市。同市米湊のうどん店店員、酒井豪人(たけと)さん(47)は「戸惑いというより諦めの気持ちが大きい。人口が減っているから仕方ないのかもしれない」と話す。松山市今在家3の団体職員、阪本拓生さん(64)は「定数が減ったとしても、国全体のバランスを考えて配分するなら仕方ない」と理解を示した。

 自民県連の河野忠康幹事長は「1票の格差是正にとらわれると地方の声が中央に届きにくくなる。個人的には『地方の定数を減らしてはならない』と叫び続ける」と話した。

 民主県連の松井宏治幹事長は「国会議員の身を切る改革は必要で、議席数は減らさなければならない」と定数削減の方向性は容認しつつ、「しわ寄せが全て地方にくるのは認められず、選挙制度自体を改革すべきだ」と注文を付けた。【橘建吾、黒川優】

 

 ちょっと長くなりましたが、議席を減らされる地方の声が伝えられる機会は少ないですので、全て引用したいと思います。この問題はどうしても都市部の「不平等だ!」という主張ばかりが目立つところですけれど、ただ一票の価値が軽かろうとも有権者数の増加が続く都市部と、一票の価値が重くとも人口減少が続く地方とでは、どう考えても前者の方が恵まれているのではないでしょうか。議員定数すなわち「国会に代表を送り込む権利」を削られようとしている愛媛在住者の「戸惑いというより諦めの気持ちが大きい」との言葉は、何とも言えませんね。議席を減らすよりも、まず何かテコ入れが必要な気がします。

 ここでの自民県連の「地方の定数を減らしてはならない」云々は概ね頷けるところである一方、民主県連は相変わらず「国会議員の身を切る改革」云々と宣うわけで、民主党は国も地方も一貫して議席を自らに与えられた特権であるかのように認識していることが分かります。議会制民主主義を理解しているのなら、議席の削減=有権者が代表を選出する権利の削減であることが理解できそうなものですが、民主党は異なる政治スキームに生きているのでしょう。ただ「しわ寄せが全て地方にくるのは~」との行は妥当な見解で、この辺は党の中央部も耳を傾けるべきものと言えます。

 

「地方から議員消える」 自民会合でアダムズ方式への懸念続出(産経新聞)

 「一票の格差を厳格に考えると、地方から国会議員が消える」として、憲法14条の「法の下の平等」などから導かれる投票価値の平等を修正するための憲法改正を求める意見も出た。

 

 憲法を根拠に地方の議席削減が進むとあらば、憲法を改正するというのも選択肢としては当然、出てくるものなのでしょう。これもまた意見としてはアリだと思います。あるいは自衛隊関係でそうであるように「解釈の変更」で済ませてしまうという手もあるのかも知れません。憲法を改正するとなると14条よりも別のところが書き換えられそうな状況でなかったのなら、地方の議席を減らすことよりも憲法改正を巡る論議が盛んになってくれた方が良かったと、そう考えられた気がします。憲法を遵守することが大事なのか、地方の議員を選出する権利が守られるべきなのか、それは簡単に結論が出されるべきことではないですから。

 たとえばアメリカの上院議員などですと、有権者一人当り○○なんて発想はなくて、人口100万人に満たない小さな州でも人口3,000万人を超える巨大な州でも、選出できる議員の数は同じです。日本的な一票の格差で考えれば優に50倍を超えてしまったりもしますが、それは不平等なのでしょうか。日本の場合「都道府県ごとに一人+人口割」という折衷型でアメリカで言えば上院と下院の議席数を混ぜ込んだような形になっているわけです。それが不当だとも不公平だとも私は感じませんが、批判が怖いのならばアダムズ方式ならぬアメリカ方式で、都道府県ごとに○人の選挙区と人口割の選挙区に分けてしまう、それで地方の議席が減らないように配慮するという手もありそうです。


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1 コメント

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首都圏の有権者には議員定数削減に賛成する資格はない (国道134号鎌倉)
2016-03-06 17:03:37
 皆さん、今日は。

 地方の有権者は都市の有権者に押されてしまい、戦えなくなっているのかもしれません。

 私は、議員定数を削減しても自分たちの議員定数は減らされることのない首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県)の有権者には、国会議員の定数削減を主張する資格はないと思っています。自分の身は切らずに他人の身を切らせることになるからです。

 また、議員定数削減に賛成した議員は、次の選挙に出ないでほしいと思います。
 議員定数削減を議員自らの身を切る改革というのなら、自分が率先して身を切る、つまり議員を辞めるべきだからです。
 少なくとも、議員定数削減を主張して選挙で票を得ようとすることを許してはならないと思います。

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