非国民通信

ノーモア・コイズミ

身を切る改革はいらない

2016-03-09 23:40:18 | 雇用・経済

ハローワークが残業代440万円未払い…宮崎(読売新聞)

 厚生労働省宮崎労働局は2日、管轄する宮崎県内のハローワークの職員に、超過勤務代(残業代)の一部を支払っていなかったと発表した。

 未払い額は、2014年4月~15年2月の11か月間で計約440万円に上り、同局はすでに全額を支払った。

 同局によると、14年12月、ハローワークの常勤職員から「非常勤職員がサービス残業をしている」との指摘があった。このため、ハローワークの常勤・非常勤職員約330人について、14年4月以降の超過勤務の実態を調査した。

 その結果、県内に7か所あるハローワークのうち、4か所の非常勤職員計47人が残業した延べ618時間の残業代約118万円が支払われていなかった。残業時間は1人当たり1~77時間で、未払い額は同約1000円~約17万円。常勤職員3人についても、延べ4時間計1万1000円分が未払いだった。

 このほか、5か所のハローワークでは始業時間の午前8時半より前に上司の指示で5~10分のミーティングを行っていたが、その際、非常勤職員109人の約211万円分、常勤職員42人の約111万円分が支払われていなかった。

 

 我が国では市役所などの公的機関が率先して従業員の非正規雇用化を推し進めてきたところもあるのですが、ハローワークもまた非正規で働く人が多いことで知られています。ハローワークで勧めてくる仕事に非正規が多いのもさることながら、ハローワークの窓口で対応している人に非正規が多いわけですね。そんな中、「常勤職員から」「非常勤職員がサービス残業をしている」との指摘があったそうです。サービス残業をしている非常勤職員からの訴えではない、と言う辺りにもまた考えさせられるものがあるでしょうか。

 報道によればサービス残業の実態は「1人当たり1~77時間」「未払い額は同約1000円~約17万円」だとか。1時間1000円とか言われると苦笑してしまうところもありますが、合計すれば「2014年4月~15年2月の11か月間」「非常勤職員計47人」「延べ618時間」「約118万円」ですから、一人当り1ヶ月に1時間超という計算になります。ハローワークの性質を鑑みれば残業代の支給ルールは厳密に取り扱われるべきと言いたいですけれど、平均すると幾分か小さく見えなくもありません。ただ大半の人は誤差のレベルである反面、特定の個人が長時間のサービス残業を負わされていた可能性はありますし、その場合は大いに問題です。

 逆に平均を取っても問題視されるレベルなのは、報道の最終段落で伝えられている始業時間前の拘束に対する賃金不払いの方ですね。これは民間企業でもよくあることと言えますが、定められた勤務時間外であっても上長の指示で職場に拘束される以上は、当然のこととして賃金の支払い対象に入ります。とかく時間にルーズな日本人ですけれど、これはハローワークも守らなければならないルールですし、むしろ求職者に紹介する職場でも「守らせる」のがハローワークに期待される役目のはず、ハローワークが平然と賃金の不払いを続けているのなら、それこそ民間に示しが付きません。

 よく民主党や維新の党は「身を切る改革」と言いますけれど、自己犠牲を訴える人を私は信用しません。自己犠牲を説く人は、必ずや他人にも犠牲を求めるものです。そして他人に強いる犠牲を「自分たちも身を切ったのだ」と正当化してしまうわけです。そしてハローワークが、そうならないことを願います。ハローワークがサービス残業を当たり前と考えるようになったらどうなることでしょう。サービス残業のありそうな会社を嫌がる求職者に「自分たちもサービス残業をしているんだから我慢しなさい」とブラック企業を押しつけるようでは最悪ですよね。公的機関で働く人の待遇を引き下げることに精神的な喜びを見いだしている改革派も多いですが、ハローワークの職員はもっと権利意識を持って良いと思います。それが良い職を求める求職者への理解にも繋がりますから。

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