非国民通信

ノーモア・コイズミ

国旗を掲げる地方分権論者

2013-01-04 23:03:11 | 政治・国際

 「今、大阪市役所は、お昼になると変な音楽が庁舎内に流れます。それを止めて、来年から組織のスローガンを流していきます。」――と、大阪市長である橋下は述べており、これが役所の意識改革の一環なのだそうです。まぁ社長(創業者)個人崇拝の行き届いた宗教団体もどきの民間企業であれば、トップの考えたスローガンが放送されるところもあるでしょうか。あるいは一部の独裁国家とかですね、将軍様などのありがたいお言葉が公共の電波に乗せられたり等々。橋下の思い描く「改革」の方向性がよく見える一コマでもあります。

参考、日本との違い

 なお橋下の言う「変な音楽」とは具体的にどんな類なのか、聞くところによると大阪市歌のようです。まぁ、日本の地方分権論者らしいと言えば、らしいでしょうか。どうも他所の国で地方分権だの自治権拡大だのが求められるときは、例えばカタルーニャ州旗など「地域」の象徴が掲げられるイメージがありますけれど、日本の場合は全く正反対で地方分権論者が国旗や国歌への服従を叫ぶのが一般的です。この橋下はまさに典型で、国旗や国歌の前に膝を屈しろと求める一方、大阪市の歌を「変な音楽」と言ってしまうわけです。大阪市の職員に大阪市歌を歌えと命じるならまだしも筋が通りそうなものですけれど、そうならないところに日本特有の地域主権精神があるのでしょう。

 さて大阪市歌を「変な音楽」と切り捨ててスローガンを流すと宣言したところ、「朝礼でやれば」とフォロワーが提言、それに対する橋下のコメントが「朝礼、公務員の世界では超過勤務手当が発生するからできないというバカな議論があるのです。来年からは大阪市は朝礼は問題なしと言う認識で行きます」とのこと。就業時間内に朝礼をやれば超過勤務手当は発生しないのですが、まぁ就業前に朝礼をやらせたがる人もいるわけです。事実上の出席義務があれば朝礼であろうと時間外の勤務として手当を出さなければならないことに日本の法律上はなっているはずですけれど、国旗を掲げる地方分権論者は全く気にしていないことが分かります。

 まぁ世間には脱税を指南する税理士もいますし、不当労働行為を指南する社労士も多い、むしろそっちの方が目立つくらいでしょうか。だから法律を守るのではなく、法律をかいくぐる方が専門の弁護士資格者がいたって驚くには値しません。脱税を手助けする税理士にしてみれば納税こそ「バカな議論」であり、不当労働行為を支援する社労士に言わせれば労働者の権利が「バカな議論」になる、法律家とは法律を遵守する/させる人ではなく、ときに法律の適用範囲や「穴」を把握し、それを活用する人でもあります。そして橋下がどっちのタイプの法律家であるかは、まぁ考えるまでもなさそうです。

 

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