非国民通信

ノーモア・コイズミ

進歩のなさが嫌になる

2012-06-27 23:05:31 | 社会

日本は「人身売買根絶の最低基準を満たさぬ国」(読売新聞)

 米国務省は19日、世界186か国・地域の人身売買の実態をまとめた年次報告書を発表した。

 この中で、民主化改革に取り組むミャンマーについて、強制労働の防止策などで「これまでにない改善」があったとして、4段階評価のうち最低評価である「制裁対象」から1段上の「監視対象国」に初めて引き上げた。

 報告書は、ミャンマーは依然、強制労働や女性の人身売買などの問題を抱えていると指摘しつつ、昨年の法改正や被害者支援制度の整備などにより、「今後も改善が進んでいく見通しがついた」と評価した。

 日本については、「外国人研修生制度」が実態として強制労働に近いなどとして、8年連続で上から2番目の「人身売買根絶の最低基準を満たさない国」に分類。混乱が続くシリアは最低ランクに格下げした。

 

 さて、「これまでにない改善」「今後も改善が進んでいく見通しがついた」とミャンマーが評価される一方で、我らが日本は8年連続で「人身売買根絶の最低基準を満たさない国」に止まっているようです。それでも現時点でミャンマーよりはマシなのかも知れませんが、そのうち追い越されていくこともあるでしょうか。一人当たりGDPではヨーロッパ諸国に次々と追い抜かれ、国全体のGDPでも中国に抜かれた日本、どうもこの国の特徴は「一人だけ停滞」にあるように思えてきました。改革を掲げる政治家が絶大な支持を受けて無茶ぶりを繰り返している一方で、結果としてみれば足踏みばかり、この10数年ばかり間違った方向に歩みを進めてきたのではないかと自省して欲しいところです。

 外国人研修生という制度が必然的に招き続ける問題については多少なりとも取り上げてきたわけですが、世間の扱いはどうなのでしょう。たまに新聞紙面上を賑わすこともありますけれど、結局のところ傍目には大した変化がない、その結果として8年連続の「人身売買根絶の最低基準を満たさない国」にも繋がっているように思います。日本政府はこの辺、真面目に取り組む姿勢があるのでしょうか。TPP「交渉」参加問題もあって、とかくアメリカの圧力が云々、グローバル化が云々と言われる一方で、国際社会からの非難を屁とも思わず自分のやり方を変えようとしない日本の姿が垣間見られるところです。

 元から文明論が幅を利かせがちで、それが原発事故後に尚更勢いづいた感もあるわけですが、「発展しすぎた文明は人間に災いをもたらす」みたいな発想は自身が文明の頂点に立っているという奢りがあって初めて成り立つものです。科学技術や経済発展の「限界」を語る人は、自分の世代が限界すなわち最高到達点に辿り着いた世代だと錯覚している、だからその先はないと思い込みがちなのではないでしょうか。そして文明論や「経済成長の時代は終わった」みたいな世界の動向とは完全に矛盾した言説が日本国内では通用してしまっている、それが「進歩のなさ」を容認しがちな世論にも繋がっているような気がします。

 「経済成長の時代は終わった」わけではないのは、日本「以外」の国に目を向ければ自ずから明らかですけれど、それでも日本国内では「経済成長の時代は終わった」と広く信じられているようです。普通なら10年以上も経済を停滞させれば当然の帰結として失政と判断されそうなものですけれど、「経済成長の時代は終わった」のであれば、それも当然のことになってしまうのでしょう。もう経済は成長しない以上、経済の停滞は改革が誤っていたからではない、もう成長の時代ではないのだ、と。それはそれで頭の中では完結しているのかも知れませんが、日本を尻目に世界は浮沈を繰り返しながらであろうとも前に進んでいきます。日本ももう少し、自国の「進歩のなさ」を反省しなきゃいけないように思います。経済も然りですが、引用元で伝えられているような8年連続の「人身売買根絶の最低基準を満たさない国」評価だってそうです。外国人研修生という、しばしば強制労働や実質的な人身売買にも繋がる非人道的な処遇を後押しする制度を未だに放置し続けている、軍事独裁政権でもないのにこうした問題に何年経っても対処できないでいようでは、流石に自国を恥じざるを得ませんね。まぁ、進歩がないのはお互い様かも知れませんけれど。

 

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コメント (4)
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