映画というものに魅せられたのはクアトロの父が高校生の時だった。
もう40年近く前のことになる。
その当時にはビデオもなく、もっぱら映画は映画館で見るものであった。
古い映画はテレビで見ることが出来るが、その時間にテレビの前に座っていなくてはいけない。
むやみにやたらと映画を見ていたその当時に、「人間の倏件」に出会う。
10時間のこの映画はオールナイト上映で見るしか方法がなかった。
当時のクアトロの父には、この映画を見たということだけが重要で、映画のメッセージを感じるまでには至らなかった。
今日までに、ビデオで何日かに分けてこの「人間の倏件」を見直してみた。
オールナイトのようにぶっつけで見るのと違い、ビデオで分けて見るとじっくりと鑑賞できて、改めてこの作品の良さを堪能出来た気がする。
特に撮影が素晴らしいと思った。
物語やメッセージや演出も良いのだが、映像だけで全てを感じられるように思える。
繰り返してはいけない戦争という悲劇、人間の倏件を否定する戦争をカメラは適切に捕らえている。
40年近くの自分は何を見ていたのだろうと思ってしまった。
ただし、何か心には残っていたのだからそれで良かったのかもしれない。
クアトロの料理やサービスもクアトロに来てくれる子供たちに何か心に残ってくれればとまじめなことを考えたクアトロの父だ。