「婿殿、驚きましたね、もうハモを食べられるなんて」
「たしかに母上、しかも立派なハモですな」
「婿殿も、沢山召し上がって精力付けないと良いお勤めが出来ませんよ」
「しかし、母上がほとんど食べてしまったじゃないですか」
「さて、そろそろ帰りましょうかね、それでは婿殿お会計はよろしく」
「またですか、まだ定額給付金が降りてないというのに」
「そうそう、私の定額給付金に手を付けてはいけませんよ」
「はい、はい」
婿殿は、クアトロで食べたハモにも朝〆真鯛と同じ神経締めの技を見た。必殺仕事人の仕業と見る婿殿である。
獰猛なハモの首を特別なハサミで切り、首の付け根と尾に包丁を入れてハモを締める。ハモはそれでもまだ牙を剥くという生命力を持っている。そのハモに仕事人はシャキーンと音を立ててから、背骨の神経に針金を入れてとどめを刺す。するとハモは己の絶命を自覚出来ないのだ。そして、ハモ料理の命と云える程よい食感を長く維持できる。その技をクアトロのハモに見た婿殿であった。
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