愛しきものたち

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高取町 観音院の宝筐印塔

2014年10月01日 | 石仏:奈良

すっかり廃寺の様に成ってしまった子島山観音院に残された宝筐印塔。

高取城阯登山道、宗泉寺の裏手に隠れて居ますが護摩堂横の道を登れば直ぐに荒れ果てた観音院。

高取山の北西中腹に抱かれ、天平宝字四年(760)に孝謙天皇の勅願により、報恩法師が観音及四天王を祀る堂を建てたのが始めとされる古刹です。

 

 人の手が入らず、すっかり枯葉に包まれた石段を登ると、崩れた土塀の向こうに堂々とした宝筐印塔が建っている。

総高278cm、鎌倉中期の弘長三年(1263)の銘があり、非常に貴重な遺品のだとされて居ます。

特に塔身石仏の彫りが見事です。

約40cm角の塔身には輪郭を残した中に二重光背を彫り沈め、中に顕教四仏を中肉堀で刻み出す。

正面、連弁に座す像高凡そ20cmばかりの弥勒菩薩坐像、しかしその出来栄えは素晴らしい。

基礎石には「弘長参(1263)癸亥年 三月廿二二(四)日、勧進僧法心」の刻銘が確認できる。

東面の薬師如来坐像・・・・貴重な下部連弁石が断裂欠損。

廃寺同然では仕方ないのかもしれませんが傷ましい・・・・・。

撮影2012.11.16