Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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感染性心内膜炎に伴う脳塞栓症例に対し,いつ弁置換術を行うべきか?

2004年10月22日 | 脳血管障害
感染性心内膜炎(IE)の約20-40%に何らかの神経合併症が生じると報告されている.具体的には脳塞栓症,細菌性髄膜炎,脳出血の順に多い.脳塞栓のリスクは疣贅のサイズと相関し,抗菌剤の使用により減少することも証明されている.また抗菌薬による治療とともに検討しなければならないことは弁置換術である.当然,重症心不全を合併する際には弁置換術は不可欠であるが,それ以外の場合,①弁置換術を行うことのリスク(再梗塞)と,②弁置換術がその後の塞栓を予防しうるか,については不明である.また手術後使用する抗凝固剤による脳出血の合併・助長についても検討する必要がある.
今回,自験例12例と文献例228例の計240例のIEに対し,弁置換術の施行時期と脳梗塞の発症のリスクの関係を調べた論文が報告された.これによると脳塞栓後3日以内の手術で,再塞栓を来たすリスクは20%,4-14日の手術では20-50%,14-28日では10%未満に低下,28日以降では1%未満となる.以上より,著者らは弁置換術は基本的に塞栓後4週目以降に行うこと,重篤な心不全を合併する場合には3日以内に行うことを推奨している.
今後,Prospective studyを行う必要はあるものの,本研究は臨床的に非常に有用なデータと言えよう.

J Neurol 251;1220-1226,2004
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