Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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英語は伝える手段,完璧でなくてよいのです@「医師こそリベラルアーツ!」連載第3回

2024年06月22日 | 医学と医療
日経メディカルcadetto連載中の「医師こそリベラルアーツ」の3回目です.今回は楽天グループの創業者,三木谷浩史さんの『たかが英語!(講談社,2012)』です.リベラルアーツと英語の組み合わせは意外かもしれませんが,学ぶべき情報をインプットしたりアウトプットしたりする際に,英語は不可欠です.しかし英語で苦労している医学生や医師がとても多いことは事実で,このテーマは避けて通れません.私自身も,2004年から2年間,米国に留学した際には,とても英語に苦労しました.いまだに英語は苦手ですが,この本に書かれている内容を知っていれば,留学はもっと気が楽だったのではないかと思います.

 楽天は2010年に社内公用語を英語にする方針を打ち出し,準備期間の2年間で7000人以上の日本人が英語の習得に取り組みました.同書には,その過程と結果,日本での英語教育における問題点がつづられています.示唆に富む言葉が満載です.本文ではその中でも特に印象に残った5つの言葉をご紹介し,議論しています.

(1)完璧な英語は必要ない
(2)日本の英語教育はほとんど犯罪的と言っていいくらいひどい
(3)世界に発信する
(4)専門用語を学ぶ
(5)英語より大切なのは伝える中身
あとひとつ,私が留学中に経験し学んだことを追加すると
(6)真の国際化には,自国(つまり日本や日本人)の理解が不可欠 になります.

(6)を少し解説すると,私は多くの外国人から「このようなときに日本や日本人はどのように考えるのか? 行動するのか?」という質問を受けました.そのときに「単に英語を流ちょうに使えることが国際化ではない.自分や母国を理解し,周囲にきちんと伝えられることが真の国際化だ」と感じました.日本の文化や伝統に精通していること重要ということです.そう考えると,リベラルアーツは国際化にもとても役に立つわけです.

さて次回,第4回の課題図書は,精神科医・心理学者であるヴィクトール・E・フランクルによる名著『夜と霧』です.いよいよ本格的にリベラルアーツの世界に入っていきたいと思います.


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