Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

政治的核反応の連鎖

2006-10-17 | 歴史・時事
朝鮮民主主義人民共和国の核爆弾実験の威嚇行為は、核反応の連鎖のように次々に様々な影響を引き起こしているようである。特に日本の核軍備への思惑は、その中でも最も大きな反応である。実はこの思惑が、其々の立場でBLOGなどで真剣に検討されているのを知って正直驚いた。

ネットで見るFAZ読者の「日本の核装備」への支持は、僅か4パーセントに満たないが政治的軍事的選択肢として存在するのは当然のことであろう。東京政府は、核不拡散条約の遵守から、既に核軍備論議を否定したと言うのは納得出来るが、核保有国が増えて戦略核が拡散する状況からすると現実は逆行しているようである。

更に日本の有名無実の骨抜き非核三原則を主張するのは詭弁のようにしか映らない。東京政府は、これを徹底させるつもりなどは甚だ無く、策略の論拠としてこれを用いているようだ。戦国武士の潔さどころか腰の引けた江戸侍の醜い姿を曝している。その結果、現在の工業先進国で核弾頭から最も離れて生活しているのは、米国人かロシア人ではないかと思われる。

こうした現状であるからこそ、広島・長崎の原爆被災を人類の将来のために生かして行くことは出来ないのだろうか?

潜在的な中華人民共和国と日本国との葛藤の中で、核保有は多大な意味を持つ。そして前者の経済的発展から前者の覇権主義が顕著化している現在、また今回のように政治的均衡が流動化した現在、その政治的ダイナミックスを生かして行く好機でもある。

核保有の可否議論をタブー視しない方が良いと思われる。その具体的可能性を検討して、初めてその是非を示すことは戦略的にも重要であろう。こうした自由で民主主義的な議論は、核保有国である資格でもあり、同時に対極にある非核並びにABC兵器の排除に指導的役割を果たす資格でもあるように思える。

さて、読者アンケートを続けると、ピヨンヤンへの軍事攻撃が必要と見るのが25%に上っていて、今後はなお一層の制裁処置と含めて北京政府との駆け引きとなるのであろう。北京政府は、今回極東の覇者としての権威を失墜する事になって赤恥を掻いた。今までピョンヤンに政治介入出来なかった様々な事情が浮き彫りにされる。

ピョンヤンを認めるというのも10%あって、これは戦略核による力の均衡を推奨しているような意見ともなるかもしれない。交渉を更に集中強化して行えと言うのが23%を越えている。

今回の事件は極東の政治を活発にして、中華人民共和国が燃やす同地域での覇権の野望に対抗する日本国との 冷 戦 関係に油を注いだかのようにも思える。

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6 コメント

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Unknown (はっちー&ハリー)
2006-10-17 22:55:48
最近こう思えてます・・前から言われていた事は単純に体制の存続・・。しかし今は金正日氏が生き延びる事が第一になった様な・・ソフトランディングは中国が彼を亡命させる・・米国がマルコス氏をそうした様に・・。



それはそうと金氏は代理人を立てずに自らの口で発言すれば話は早いと思います・・どの国でもやっている事・・バン次期事務総長が北に出向く事は無く金氏が美国ニューヨークへ来ないと・・憧れの地へ・・・。
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苔の生すまで? (pfaelzerwein)
2006-10-18 01:43:47
中国が亡命受け入れするとなると、現在の論調はきつ過ぎませんか?今回の件で、北京は顔色無いですからね。



地政的に北朝鮮を必要とすると、後釜を据えなければいけない。そうなればプリンス様とはいかない。傀儡政権を作るほどの人材がいるのでしょうか。すると韓国の援助無しに経済発展の面倒までみなければ行けない。韓国化すると国境地帯の朝鮮民族が動き出す?難しそうです。



北京は日本の核武装議論で浮き足立っているようです。だから、北京にとってみれば分断国家北朝鮮は金天皇家が苔の生すまでいて欲しかったのでしょうか。



いまなら外交特権でNYでのFBI逮捕は無い?
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いよいよキナ臭く (やいっち)
2006-10-18 19:32:56
日本のアメリカの核の傘のもとでの非核三原則という生煮えの政策にいよいよ黄色信号が灯ってきたような。

日本の核武装は、中国もだけど、アメリカも許さないだろうけど、一部の関係筋は核武装を本気で考えているのでしょうね。



それにしても、「現在の工業先進国で核弾頭から最も離れて生活しているのは、米国人かロシア人ではないかと思われる」ってのは秀逸! 中国も近い将来、仲間入りか。

で、核に近い都市が一番多いのは日本?
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幾つ核弾頭がある? (pfaelzerwein)
2006-10-18 21:08:32
生煮えの政策どころか、東京都心から100KM?以内に幾つ核弾頭があるでしょうか?



これはこちらでの体験から云えば、東西統一後に今住んでいる場所50KM圏内から撤去されたABC兵器の数を考えると分かります。地上戦を想定した欧州でもそれだけの戦略核(10個や20個ではありませんよ、桁が違います。)を戦力とする米軍です。サイロなど森の中に隠していました。撤去にはコンボイが連なったようです。その多くは、ラムシュタインのエアーベースから世界各地に配送されました。軍縮対象の廃棄はどれぐらいあったのでしょう。



現在でもドイツに150核弾頭と云いますから、中国の600弾頭に対抗して日本周辺に幾つあるかと云えば概ね想像出来ます。決して世界的に重要な沖縄ベースだけではないのは当然です。



こうした現状で、非核三原則などの給うのは常軌の沙汰ではありません。これで民主主義の原則が成り立つのでしょうか?



今回の核武装発言は米国から発信されているような気がします。ブッシュ発言が裏打ちしているのではないでしょうか。米国の対中戦略のパートナーへの啓蒙でしょう。パートナーの資格のある言論・政治情勢になっているか。



しかし、目を瞑って気が付かないふりをして居れば幸福なのですが、覚醒すると甚だ不愉快なものです。ここ数年の流れからすると結構正念場ではないかと思います。
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新しい戦略思考を (蓬莱の島通信ブログ別館)
2006-10-30 12:24:37
アメリカがヒラリー政権が変われば、中国はアメリカとの関係を90年代の蜜月時代に戻し、かつ国連もハンギブンを傀儡にしていいように操作できます。日本は2008年には外交面での長城をすべて失う可能性が大です。実質的長城を作る必要を真剣に考えるべき時期でしょう。日本の次の抑止戦略を考えれば、核武装はもう真剣に考えるべき時期に来ていると思います。
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北京の利権構造 (pfaelzerwein)
2006-10-30 16:37:02
コメントとTB有難う御座います。



台湾の視点として読ませて頂く情報に、中共の視点が良く出ていると、いつも感心しております。台湾の報道の自由度が日本や米国の上位に居る理由であるかもしれません。



http://www.rsf.org/article.php3?id_article=19388



米国の政局によって、核政策が変化するというご指摘は、米国の対中政策が変われば十分ありえるのでしょう。良く考えれば北京の思惑は、資源の無い朝鮮半島などどちらでも良くて、尖閣列島のような資源強奪拡大主義なので、軍事的にもそうした大枠の中で決定が下される。



それに対して日本の報道は、中華政策も対中政策も十分に伝えていないように見受けられます。これはドイツの報道でもそうなのですが、利権絡みであると政治的に分析しようが無い。特に日本の非独立系報道機関は、主要スポンサーが北京の利権構造の真っ只中に居るからなのでしょう。
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