Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

Muss es sein? Es muss sein!

2020-06-16 | 文化一般
ブッシュ四重奏団の録音を聴いた。二十世紀前半を代表する弦楽四重奏団とされている。個人的にはその高名よりもお兄さんのフリッツ・ブッシュの方に興味を持っている。本人の書いた本を読んだからでもあるが、音楽的な流派が年子でも違うように印象しているからだ。改めて両方の音楽を聴いてみると思っていたよりも似ていた。兄さんの方が次期のノイエザッハリッヒなどに近いかと思っていたが、中々どうしてフルトヴェングラーのようなスタイルが出来ていないだけだ。アドルフ・ブッシュも大きなフレーズの中で拘りの音楽をしていて、ややもするとその焦点が暈けている。第一ヴァイオリンが優勢なので対位法的なところではどうしても曲の全容が分かり難くなる。

そのアーティキュレーションも不可解なところもあるのだが、SP録音においてはなによりもダイナミックスを録音技術に合わせているところがあってよく分かり難い。ソットヴォ―ツェにしてもドルツェにしても元々ポルタメント気味の演奏からそれら表情に余りコントラストが強くでない。反面一貫性は強いのだが、ベートーヴェンの動機間での叙述法としての表現への疑問は生じた。少なくともこれでは止揚しそうにない。
Beethoven - String quartet n°13 op.130 - Busch SQ


次にアマデウス四重奏団の演奏を聴いてみた。名前の通りモーツァルトの全集LPは手元にあるが、ベートーヴェンのそれも後期のものをどのように演奏するかは知らなかった。やはり第一ヴァイオリンの音楽作りがとても効いている。流派は全く異なる戦後の四重奏団であるが、中々絶妙な四重奏団だ。
Beethoven - String quartet n°16 op.135 - Amadeus SQ Cologne 1955


アドルフ・ブッシュの娘がルドルフ・ゼルキンと結婚したので、孫は先ごろ亡くなったピーター・ザーキンとなる。その前に住んでいたバーゼルでの音楽会シリーズなども今もその軌跡がある。元々は大工から楽器作りとなっていた父親の家庭でズィーゲン生まれとなっている。

兄の指揮姿は、ゼムパーオパーの映像として残っているが、その業績を偲ぶ番組に指揮者コリン・デェーヴィスがそのグライボーンでの体験を語っている。デェーヴィスのモーツァルトはそこから学んだとなり、とても興味深い。
Fritz Busch "Ich verließ das Pult"


ナチ政府を公然と批判して、「我が闘争」などを研究して、沈黙するのではなくそれを攻撃することは権利では無く義務だとまで言い放つ。メトでの活躍の後、死の直前にヴィーンの歌劇場音楽監督への招聘があったとされるが、結局死後カラヤンの手に落ちて、またドレスデンはまさにナチスドイツの音楽化のようなベーム博士が引き続いて黄金期を築いたのは偶然ではないだろう。
Fritz Busch dirigiert die Staatskapelle Dresden in der Semperoper




参照:
植民地主義意識の開放 2020-06-07 | 歴史・時事
ドルトムントに電話する 2019-05-17 | 生活

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 差異を見極めて行く | トップ | 厚かましいネット配信屋 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿