田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

バラの根元には……。 麻屋与志夫

2021-05-23 17:09:40 | 超短編小説
超短編小説 21
 バラの根元には……。

 いよいよ蔓バラが咲きだした。庭はバラの天蓋におおわれている。
 馥郁としたバラの香りに庭はみちている。
 アイスバーク。
 シティオブヨーク。
 モッコウバラの黄色と白の競演。
 ブルームーン。
 アンジラ。
 春馬は元カノのRに携帯をした。
「白いバラがきれいに咲いているよ」
 アイスバークの花言葉は、初恋なのだ。
 そういおうとしたが彼女がこころを乱してはと、やめた。
 春馬は元カノのOに携帯をいれた。
 スパイシーな匂いをかいでいるうちにキミを思いだした。
 なにかエロチックなことをいっている。
 そうきこえては、迷惑だろうとおもった。
「子どもを幼稚園にむかえにいかなければ。電話してくれてありがとうね」
 やさしい返事がもどってきた。もっと話をしていたかったのだが……。
 春馬は元カノのSに携帯した。
「バラがきれいに咲いている」
 バラの花びらのしっとりとした湿り気。
 彼女の肌の感触を思いだした。
 Eに電話した。妻の永華にだ。彼女の職場に携帯を入れようとした。
 職場の男子職員のひとりひとりに嫉妬していると思われる。
 ところが携帯を切る前に聞こえてきた。
 シテイオブヨークの根元から。
 
 彼女の携帯の着信音。
 
 




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