田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

イタイ、いたい、痛いの向こうの山に飛んでいけ。 麻屋与志夫

2021-01-21 08:53:58 | ブログ
1月21日 木曜日

●幻の巷に……買い物をするためにカミさんとでかけた。あいかわらず、大きな黒のリックを背負っている。

●街に人影は見られない。ただでさえ二足歩行のpithecanthropusも野良猫も見かけない街だ。動いているのは四足歩行の車だけ。

●きょうは、腰痛と膝関節症がGGをさいなんでいる。家を出るときは、これほどの痛みにおそわれるとは予期できなかった。マツキヨの前の歩道にある木製のベンチまでどうにかたどりついたが、もう動けなかった。ベンチに座って「アビラウンケンソワカ。アビラウンケンソワカ」と、となえながら黙想する。カミさんはただおろおろするばかり。歳をとっていくということは、未知の領域に踏み込むことで、一過性のことばかりだ。驚くことばかり、連続して生起してくる。経験というものがまったくものをいわない。そのつど、なんでこんなことが起きるのだ。痛い。いたい。イタイ。と嘆くばかりだ。

●こうした苦役をのりこえて生きつづけている人は「偉い」と尊敬してしまう。

●真言による自己暗示が功を奏した。

●なんとかよたよたと歩きながら悲観的なことばかり柄にもなくかんがえていた。あるく姿は、がに股でよろよろ――ああ、なさけないこれでは直立猿人のソックリサンではないか。家にたどり着いたら、ミンガスを聴こう。ミンガスを聴こうと、こんどはとなえながら歩きつづけた。

●元祖「ヒッキー」を自負している。引きこもり歴、なんと半世紀。二地域居住なので故郷のこの街では飲み友だちをつくる時間の余裕がなかった。

●そのためもあって、家にいるだけで楽しく過ごせるようになっている。

●ジャズレコードのコレクション。カミさんとジャズを聴いているときが、至福の時だ。蔵書が何万冊とある。もともとケチだから週刊誌でも、捨てたことがない。たまるはたまるは本の重みでどの部屋の床もきしんでいる。奥の書斎など、いよいよ床が抜けだした。

●家にたどりついた。「長生きするのは、おもしろいが、どんなことがこれから起きるのか、恐怖と喜びと、それこそ悲喜こもごもなのだな」と実感したものだ。



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