田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

愛しい猫ちゃんの死。  麻屋与志夫

2017-11-18 07:49:28 | ブログ
11月18日
愛しい猫ちゃんの死
 ミュウはわたしの膝で静かに息をひきとった。二十数年前になる。そのときはじめて生活を共にしてきたペットに死なれるのはこんなに悲しいことなのかと思い知らされた。
 とぎれとぎれだった鼓動がぴたりととまった。ミュウの背中に置いた手のひらが、冷えていく彼女の体温をつたえてくる。ミュウ。ミュウといくら呼びかけても、優雅な長い尾をぴたぴたとわたしの膝にうちつけて、応えることはもうしない。静かにかたまって冷えていく。庭の東の隅に金木犀の木がある。その根元にうめた。寒がりのミュウだったので、あたたかな毛布にくるんで埋葬した。チャ虎だった。わたしがうろ覚えのお経をはなむけとした。
 妻はわたしの手をにぎっていた。涙をこらえていた。手がかすかにふるえていた。
 リリには一昨年死なれてしまった。わずか、一年八カ月の命だった。三毛猫だった。
生後三カ月くらいで、わが家の庭にまよいこんできた。妻によくなつき、もじどおり寝食を共にしていた。妻の寝床にもぐりこんで寝ていた。二階の教室でドングリの実で、妻とよくサッカ―をしていた。妻がドングリを指ではじくとかわいい肉球のある足でハジキかえす。ときにはクワエテくる。長い尻尾をふりながらかけてきてクワエテいたドングリをホトンと妻がさしだした手にポトンとおとす。あまりよく鳴けなかった。声帯がおかしかったのだろうか。そのリリは死にぎわに「ニャオ」と一声、いかにもメス猫らしいかわいい声で鳴いた。あのときの鳴き声は忘れられない。ドングリの実はいまでも妻の机の上とリリの骨壷のわきにポッンと置いてある。振ってみると、中の実がかわきかたまり、小さな音をたてる。わたしたちは、その音にリリ魂の囁きをきく。虹の橋でいまでもドングリの実とじゃれあっているのだろうか。
 いま同居しているブラッキ―が老衰した。ゴツゴツに浮き出た背筋。やせ細ってしまった。食欲もなくなった。人間の年齢にすれば、百歳。別れの日のちかいブラッキ―とのいままでの交情をおもい、わたしたちと静かな晩秋の日々をすごしている。





二年前にはリリとの別れがありました。そのときの悲しみをカミサンとまとめた作品があります。ぜひ読んでください。角川の「カクヨム」に載っています。下記の題名で検索してください。すぐ読めます。


「愛猫リリに捧げる哀歌」

猫愛/
猫のスリスリ/
むくむくの毛並み/
猫とのサッカ―/
リリの病/
闘病/
看病/
ペットロス/

猫を愛するみなさんへ。ペットロスに悲しむあなたへ。
麻屋与志夫  木村美智子


この作品は、先住猫ブラッキーとリリ、わたしたち夫婦の楽しい思い出。リリは一年と八カ月で他界。その間の様子を記録したブログを編集したものです。わたしたちはペットロスにおちいり、とくに、妻は涙、涙の日々をおくっています。なんとか、この悲しみからぬけだそうと、もがけばもがくほど、悲しみは深まるばかりです。猫、大好きなみなさん。ペットロスで苦しんでいるみなさん。猫との生活の楽しさ、死なれた時の悲しさ。わたしたちと共有してください。
ブログ「猫と亭主とわたし」木村美智子+「田舎暮らし」麻屋与志夫より編集。


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