田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

玉藻と翔太の恋 6  麻屋与志夫

2010-04-19 08:40:29 | Weblog
part13 玉藻と翔太の恋 6 栃木芙蓉高校文芸部(小説)


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「龍ちゃん。
翔太を助けて。
三時間もああして戦っているの。
わたしたちずっと見はられていたのね。
それなのに……わたしが油断してこの体たらくよ」

玉藻の首筋から血がしたたっていた。
皮膚が噛みちぎられて、
赤紫の爛れたような肉が露出している。

「わたしには、
吸血鬼の血がながれているから発症はしないはず。
翔太はまもなく高熱がでて苦しみだすわ。
やっとあえたのに……こんなことになるなんて、
かんがえてもみなかった」
「玉藻さん。
だれに噛まれたの。
噛親を倒さないと、
翔太さんがまもなく、
大変なことになる」

玉藻が力なく持ち上げた手で指差したさきに、
公園の管理人の制服をきた女がたっていた。

「あれは。ちがう。
作業服は隠れ蓑。
あれは悪魔。
わたしたち共通の敵」
「よくぞ、見破ったな。
監察官、文子。
おまえとは遠い昔、
どこぞで、会った、記憶がある」
「わたしは、神の庭園で……」
「その話はきいたばかりだ、忘れはしない。
そのすぐ後に、
神の庭園を追放されてこの大地に降り立った頃に、
会ってはいないか?」

文子は悪魔の言葉は無視した。
ボウガンの矢を飛ばした。
Gをかばって、
龍之介も白鞘からギラリと剣を抜いた。
文子の放った矢は悪魔の肩をかすめたのみ。

「あいつに噛まれたのなら、
吸血鬼熱の発症はないはず。
あいつは悪魔、吸血鬼を束ねる者。
でも吸血鬼ではないはず」

文子が龍之介にささやく。

「龍ちゃん、翔太を守って」
よほど気がかりなのか、
玉藻がくりかえしていう。

「りゅうちゃん、
りゅうちゃんとお前、
沖縄の人気キャラかよ」
せせら笑いながら下野の剣士がふたり迫ってくる。
狐火のパリャーが弱ってきたのか。
同時にふたりの侵入をゆるした。
このままでは、
軍団が一斉に切りこんでくる。
龍之介はあせった。
一気にふたりに対して白刃をきらめかせた。



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one bite please 一噛みして。おねがい。
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