田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

玉藻と翔太の恋4  麻屋与志夫

2010-04-11 22:25:56 | Weblog
part13 玉藻と翔太の恋4 栃木芙蓉高校文芸部(小説)


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「番長!!」
前でハンドルを握った文子の声がとんだ。
???……。
じぶんに呼びかけられていると気づくまでに数秒を要した。

「引き受けたのね」
「ああ。こうでもしなければ、芙蓉軍団は動員できないからな。
なにかとてつもない敵のおおきな渦のなかに飛びこむ予感がする」
「どんなことがあっても、
わたしは龍の味方よ。
龍の敵はわたしの敵だから」
「いままでも……なんども助けてもらっている。
ありがとう」
「こちらこそ……」 
東入口でバイクをおりた。
閉園されているので人影はない。
だがなにかざわついている。
ときおり浮遊霊が木の影からこちらを覗いている。
「番長にも。みえるんでしょう」
「恨めしそうな顔してる」
「子どもだ……よな???」
「怖がらないで。
なにがあるの?
なにが起きているの?? 
教えてくれるかな???」

文子が木陰からこちらをうかがっている霊に話しかける。
霊の周囲で波動が発せられている。
「わかったわ。ありがとう。
お母さんをみつけたらもどってくるように伝えてあげる」

オジちゃんと若い女の人を仲間にしようと、浮遊霊たちがしてる。
そういうことだと、文子が翻訳してくれる。
「翔太Gと玉藻さんのことだ」
 
「あっ。狐の嫁入り」

はるか彼方、
ふたりの向かう先に、
ポウッと小さな提灯に明りをともしたような行列が見える。

「あれは玉藻さんが、結界を張ったの」



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コメント
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