ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『憲法・新版』

2021-08-28 20:06:20 | 徒然の記

 『近代の戦争』(全8 巻)の一巻目、『日清戦争』を中断し、予定通りの読書を続けています。

    1.  塩田潮氏著『宰相 幣原喜重郎 最後のご奉公』( 平成4年刊  文芸春秋社 )

      2.  芦部信喜氏著『憲法・新版』( 平成11年刊  岩波書店 ) 

 『最後のご奉公』を読了し、芦部氏の『憲法・新版』の84ページを進行中です。大学で使われている教科書だと言いますから、面白い本ではありません。わざと分かりにくくしているのかと思われるほど、要領の悪い文章です。

 「このような個人的権利、特に自由権と異なる一定の制度に対して、」「立法によっても、その核心ないし本質的内容を侵害することができない、」「特別の保護を与え、」「当該制度それ自体を、客観的に保証していると解される場合、」「それを、一般的に制度的保障という。」

 切れ目のない文章で、何を言っているのか、すぐに理解できません。宮沢教授に継ぐ日本の憲法の権威なのでしょうが、こんな長い文章しか書けず、論点が整理できないのだとしたら、あまり賢い人ではなさそうです。

 360ページの本の84ページですから、偉そうなことは言えませんが、ここまでで分かったのは、徹底した「明治憲法」否定の教科書だということです。氏の頭には、明治憲法は封建的で、日本国憲法は近代的という固定観念があるらしく、そこから意見が組み立てられています。

 相変わらず、「日本国憲法」は押しつけ憲法でなく、日本国民との共同制定だと説明しています。

  1.   現行憲法は、押しつけ憲法の性格が強いこと。

      2.   現行憲法は、手続き的には明治憲法を継続しているように見えるが、実質は革命でしか施行されない形の憲法であること。

  3.   占領国による憲法作成であり、国際法違反のおそれがあるとこ。 

 大先輩の宮沢氏が昭和42年に、上記3点を述べているのに、平成11年になっても、氏は3点を否定します。そうしなければ、「憲法改正」を認めることになるとでも思うのか、頑迷だった頃の宮沢氏の意見そのものです。この人は、不肖の後継者というだけでなく、日本人としての常識が欠けています。

 翻訳文そのままの、あのおかしな日本語の「憲法前文」を、無闇に褒めます。戦争否定、武力放棄という崇高な人類の理想が語られており、日本は世界平和の先頭を走っていると説明します。幣原首相がマッカーサーと二人で考えたとしても、そこにあるのは人類普遍の素晴らしい願いだそうです。

 「崇高な人類の理想」と「人類普遍の素晴らしい願い」だとしても、こんな憲法を持てば、日本がどんな無惨な状況に陥るのか、典型的な専門バカなのでしょう。庶民の常識が頭から飛んでいます。

 「憲法は、国民を支配する政府の権力を縛り、国民を守るための法です。」と、こんな説明をします。宮沢教授以来のお決まりの解釈ですが、「法の下の平等」を言うのなら、憲法は政府だけを縛るものでなく、同時に国民も縛ると言うのが、学問的論理で常識でもあります。憲法が政府だけを縛ると言う偏った解釈をするから、責任を忘れ、権利ばかり主張する、自己中心的国民の大量生産につながりました。

 仁鶴さんの「おばちゃんブルース」には感動しましたが、氏の著作にはなんの感動もありません。せっかく優しい気持ちになり、他人を批判するのはやめようと思っていましたが、すっかり元に戻りました。「獅子身中の虫」としか言えない、反日の氏を前にしますと、いい顔ができなくなります。

 「おばちゃんブルース」のおばちゃんは、可愛い子供のため我慢しますが、私は我慢しません。「駆除すべき害虫」は、駆除するのが子供や孫のためです。私は「おばちゃん」でなく、「おじちゃん」ですから、我慢しません。

 しばらくは、掃除の「おじちゃん」の遠慮ない批評が続くと思います。芦部氏を尊敬している反日左翼の方、特に東大卒の方は「ねこ庭」への訪問をご遠慮ください。 

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6 コメント

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Unknown (あやか)
2021-08-28 20:49:16
この本の著者の文章表現は、
なんの意味かわかりませんね。

ところで、この論者は、
【憲法は、政府権力を縛るものだ】といってるそうですね。、
私も、大学生時代に、そんなことを言ってる教授がいました。

しかし、こういう(憲法は政府権力を縛るものだ、という)考え方は、
今の憲法でさえも、有りません。
 もう、最初から、まともな憲法学者ではないですね。
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憲法は、政府権力を縛るもの (onecat01)
2021-08-28 22:22:16
 あやかさん。 

  「憲法は、政府権力を縛るもの」

 そうですか。こんなことを言うのは、まともな憲法学者ではありませんか。貴方もそう思われますか。

 しかし国会中継を見てください。共産党も、社民党も、立憲民主党も、反日議員たちは判で押したようにこの言葉を使います。なんでこんなバカなことを言うのだろうと、ずっと疑問でしたが、出どころは、日本の憲法学の権威と言われる、宮沢、芦部という東大教授の意見でした。

 政府の権威や国の権威を否定する彼らが、東大教授の権威には弱かったと言うことですね。

 東大、国連、ノーベル賞と、実態以上にありがたがる癖を、令和の御世に無くしたいものですね。コメントをありがとうございます。
返信する
理想主義時代が生んだ 芦部見解 (HAKASE(jnkt32))
2021-08-28 22:48:21
今日の拙記事へのご見解を有難うございます。仰る様
に、様々な矛盾と それらへの速やかな対応やさの為
の決断ができない政治の無力が後世に刻まれる年に
なると心得ます。

今回の貴記事、故・芦部東大名誉教授の憲法文献は、
拙学生時分に接した記憶があり、難解な文面の綴りは
貴指摘通りだったとの記憶があります。

現憲法を全肯定し 明治憲法を全否定する、「国民
を守る為に政府権力を縛る為の憲法」との見方は、
完全な「左からの理想」ではないかと拙者などは思
います。

現憲法制定の経緯を「GHQによる押し付けではなく
、日本国民との共同制定」との説明も、現実は「左
の日本国民」との共同制定という話であり、決して
望ましいそれだったと受け止めるべきではないとい
う事でしょう。

芦部見解は 戦後間もない頃、左派容共がが優勢だ
った頃の産物であり、とても情勢が複雑化した現代
に通用する様な観念でない事は、ご存知の通りです。

政府権力は その執行に際し、それは種々と一定の
規制を受けるべきは勿論ですが、縛りが強過ぎれば
それは国民の為の国会意思決定を急ぐべき時には、
大きな足かせともなる事でしょう。

昨年来流行の新型感染症対応や、アフガン政変に際
しての 現地在留邦人他の安全確保などには適さな
い所もあります。そこの所を見直し、時代に相応し
いアップ・デートを施して然るべきであるのが法律
のはずですが、芦部見解の盲信者達は 必要最低限
のそれさえも認めようとしません。正に「話になら
ない」と言えますね。
返信する
次回からが本論です (onecat01)
2021-08-28 23:57:58
 HAKASEさん。

 愚かな教授がのさばっているから、アフガン在留日本人の救出にも、自衛隊が即座に派遣できません。

 他の国々は自国民救出のため、軍用機が向かうのに、戦争事態でなければとか、戦争事態なら自衛隊員の命が大事だとか、訳のわからない論争を仕掛け、政府と自衛隊の手足を縛ります。

 集団的自衛権とか、個別的自衛権とか、他国からは「神学論争」と笑われているのに、自衛隊を縛り付けているのが、芦部氏以下の憲法学者で、反日左翼野党の政府攻撃に、理論的根拠を与えています、

 こう言う学者たちは、危機に瀕している異国の日本人を見殺しにする、「駆除すべき害虫」です。

 憲法も、面倒な理屈でなく、国民の常識が優先される時代になってきたのではないでしょうか。
返信する
「おばちゃんブルース」と『憲法・新論』 (成田あいる)
2021-08-29 09:48:14
前のエントリとこのエントリを、併せて拝見しました。
「おばちゃんブルース」はほっこりしたとともに、夏の終わりに心温まる話題でした。
この歌は、地味に地道に「こつこつと」働く庶民を健気に歌っていて、思わず心にジンときます。
気分転換に、今までとは違う切り口も悪くないと思います。

それにひきかえ、芦部氏とその憲法書籍には唖然としました。
このような書物が大学の「テキスト」として利用されていることや、芦部氏のような「学者」が大手を振って歩いていることに慄然とします。
現行憲法を礼賛し、日本が「世界平和の最先端」を走っていると言わんばかりです。
おまけに、憲法が「国民を支配する政府の権力を縛り、国民を守るための法」なんて、何をかいわんやです。
このような書籍で学ばされた学生が将来、どのように「育つ」のでしょうか。
大学教育の場に採用すること自体、「洗脳教育」と言わずして何と言うのでしょうか。
引き合いに出すのも難ですが、「おばちゃんブルース」と芦部氏の書籍とでは、あまりの落差に愕然とします。
いくらこの歌でも、「反日学者」の論で「育つ」ことや、「反日学者」になることまでも歌っていないと思います。
返信する
芦部氏が育てた害虫の一人 (onecat01)
2021-08-29 12:14:41
 成田あいるさん。

 3年前に、「憲法九条を巡る議論」と言うブログを書きました。早稲田の岡田教授の、愚論紹介のブログです。どなたが読まれていたのか、今回も「アクセス解析」のページに表示されていました。

 これを読みますと、芦部氏のような「害虫の親玉」が、日本にどんな「害虫教授」を育てたかが、即座に分かります。

 ロクな意見を持たなくても、反日左翼でさえあれば、教授として「生活の糧が得られる」という学界の現実があります。「おばちゃんブルース」の主人公は、貧乏でも人生は汚れていないと胸を張っています。

 日本の憲法学者たちは、持て囃される高名な教授から、尻馬に乗っているだけの雑魚教授まで、裕福かもしれませんが、彼らの人生には汚れが染み付いています。

 「おばちゃんブルース」を聞けば良いのにと思いますが、ぼろギレのように反日思想が詰まっていますから、聞いてもおそらく彼らは理解できません。

 私のような「おじちゃん」が、モップを片手に掃除するしか、息子たちを守る手段がないのかもしれません。自民党の議員諸氏が、もう少しまともなら、色々やれることがありますが、彼らに期待するのも無理ですね。

 選挙応援が欲しくて、媚中の公明党が切れないのですから、何をか言わんやです。

 私たちにできることは、選挙の一票行使権と、ブログでの意思表明です。「継続は力なり」ですから、諦めないことが大事です。

 コメントに感謝致します。
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