まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 880

2014年01月29日 |  マツタケの林地栽培 

 1月31日(金)は、まつたけ山復活させ隊第424回活動日です.午前10時に京都市左京区岩倉香川山(自称:下記の§活動拠点へのアク セスを御参照下さい)にお集まり下さい.気温が低いため、寒さ対策など暖かい服装が必要です. 当日の活動報告は榎本 輝彦さんです.

 大変寒い日が続きますが、陽光は暖かみを見せています.畑でも春の準備がすすんでいます(写真1、2).ヒトはエネルギー源は食事などで補給せねば肉体と気力が維持できません.今日もありがとう(3).仲間は、山から戻って感謝しつつ戴きます(4).元気を取り戻 して、再び山に入り、3時過ぎには戻ってきます.暖かいものを戴きながらの談笑もいいものです(5). 

1) 2) 3) 4) 5)


 阪本先生から 【雑草を想う一私の偏見と妄想一】 と題するエッセイを戴きました.生物の多様性維持について考えさせられるところがあります.

 植物に『雑草』はないと言うことです.エコロジカルには雑木もありません.大学で、生物の多様性について語りますが、種の保存を大きく脅かす作業は、私たちの山づくりにはありませんが、個体を排除することが多く、我々は個体の密度調整をしてアカマツ林という生態系を維持しているわけです.
 
 個体の排除について、排除というと全面的・恒久的な存在否定をイメージされますが、どんな山づくりでも個体数の調整もしくは排除もいくつかの例外を除けば一時的なものです.多くの植物は、放置すると直ぐに顔を出すことからそれは理解されます.だから常に手入れがいるわけです.例外者の代表はスギやヒノキなど萌芽しない樹種で、それらは伐るとその個体は排除されます.
 
 植物個体数を調整することについて、それを否定すると里山保全は成り立ちません.当然アカマツ林やコナラ林という生態系の保全はできません.林業も成立しません.様々な感染症がありますが、その起炎菌の排除もできません.こうなると日常生活も大きく混乱します.個体や種の多様性保全は、アメリカの巨大アグリ資本の有用生物囲い込みのために生まれたという経緯もあり(Biopiracy)、いつもその矛盾をどう止揚するか悩んでいます.
 
 「雑草」を刈り取るなに全面的に賛成はできませんが、でも、常に頭に置いて置くべきことでしょう.ちょっと長文ですが、全文を載せました.一読下さるとありがたいです.

 『ヒトはこの地球上に誕生以来、きわめて長期に亘り野生の動植物を利用する生活、つまり採集狩猟生活を行なってきた。この間にヒトが生活環境にどれほどの人為的影響を与えてきたかは定かでない。しかし、その活動を通じて徐々に人為撹乱環境を生活空間の周辺に形成してきたにちがいない。そして、ほぼ1万年前の新石器時代の農耕牧畜開始の時点から、自然を積極的に撹乱(破壊)し、さらに文明の発祥とともにその撹乱は大規模になり、自然環境を破壊することで高度な 文明を構築してきた。ヒトの活動はすべて自然破壊に繋がった行為と言っても決して過言ではない。その点で、ヒトは地球上でもっともアグレッシブな雑草性生物(weedy species)であると言える。ヒトは環境を積極的に撹乱し,そこで生活をエンジョイしている生物と言えよう。

私が雑草にとくに惹かれたのは、休閑田に群生する奇妙なカモジグサを見付けたのがその始まりである。その後、栽培植物の起源を探るフィールドワークを始めたが、ますます雑草にのめりこみ、彼らをこよなく愛するようになった。いろいろな栽培植物の直接の祖先になった植物は雑草ではないかというのが私の愚見である。雑草は農耕が始まってから出現したと考える方は多いが、雑草の出現はもっと古く、ヒトの採集生活とともに人為撹乱環境が広がり、そこへ適応したのが雑草だといえる。私は野生型→雑草型→栽培型と考えており 、雑草型植物の果たした役割は大きいのである。

 ヒトが手を加えた環境によく生い茂るのが雑草である。雑草はヒトが環境撹乱した場所がとても好きなのである。彼らはヒトの動きをじっと見つめていて、ヒトが何かすると喜び勇んでパッと生えるのだ。雑草はしたたかな繁殖戦略を持っており、例えば、埋土種子といつて環境がよくなっても一斉に発芽せずに一部は休眠している。だから除草は不可能で諦めるしかない。田や畑に20年以上毎年除草剤が散布されてきたので、雑草はもう生えないと思えるが、1年休耕すると一面に雑草が生えるのだ。庭に草花を植えるために、目の敵にしている雑草を取り除き耕すが、きれいにすればするほど雑草が生えてくる。除草しても駄目である。耕すこと自体が草花にとっても雑草にとっても理想的な環境である。このことを多くの方々は認識されていないのではなかろうか。

 では野生植物と雑草の違いはどこにあるのか。野生植物は比較的安定した環境に生えるものであるが、雑草は上述したようにヒトが環境撹乱した場所に好んで生える植物である。栽培植物を植える田や畑はもっとも強く環境撹乱された場所であり、しかも毎年繰り返し周期的に撹乱する場所である。そこは栽培植物にとっても雑草にとっても快適な場所なのだ。われわれの生活の場の近くにある田圃・畑・畦道・庭・道路・広場・ゴミ捨て場・荒地には雑草が一杯生えている。不思議なことにこれらの植物は“汚らしい雑草め!”とさげずまれ、よく見もしないですぐ刈り取ったり、引っこ抜いたり、除草剤をぶっ掛けて駆除してしまう。皆さんがく‘ワーキレイ”と叫ぶような花もあまり着けないし、ほとんどが緑色で風にそよぐものが多くて無視されている。人手の加わらない海岸・湖岸の岩場・砂浜や、ヨシ・ガマ・マコモの生える湿地にも雑草は生えない。休耕田にはアレチノギク・ヒメジョオン・メヒシバなどが早速生えるが、やがてチガヤが生えるが、そのまま放置するとススキが生えてきて雑草が無くなり、やがて林となるだろう。山道には雑草が生えているが、森や林の中に生えていない。ただ森林を伐採して裸地にするとダンドボロギクのような雑草が一面に生えるが、植林すると何時の間にか消えてゆく。

 雑草はヒトと運命共同体を形成している。ヒトが地球上から居なくなると、雑草も運命を共にして地上から消え去るであろう。この運命共同体の仲間は、雑草のみでなく、すべての栽培植物・家畜、ドブネズミ・スズメ・カラス・ゴキブリ・ノミなど、ヒトの生活空問に生きる生物は死滅するか、ふたたび自然撹乱の場の片隅で細々と生き残るしかないだろう。ヒトによって無意識のうちに選び出され、ヒトに寄り添って生きる健気な雑草をヒトはなぜ嫌悪するのだろうか。ヒトがやっていることは実に勝手気ままである。ヒトが見て美しいものや可愛いもの、例えば、タンチョウヅルに餌を与えて“保護”している。また、美しいブナ林や高山植物の群落を一所懸命“保護” する運動を行なっている。このように、もしヒトが自然保護をしていると思うのであれば、すぐ引っこ抜いてしまう庭や畑の雑草やすぐ殺してしまうゴキブリたちをなぜ“保護”しないのであろうか。それらはヒトに害を及ぼすと言われるかもしれないが、これらの生き物はヒトの撹乱した環境でその生活をエンジョイしているに過ぎないのである。ヒトの好き嫌いで生物を区別し、それを自然保護と言うのはどこかおかしいのではないか。地球上のあらゆる生物はかけがえのない存在であり、ヒトが価値判断すべきものではない。タンチョウヅルもゴキブリもこの地球上に生を享けている、同じ輝きを持つ愛すべき生物なのである。

 地球における生命の果てしない流れの中で、ヒトという生物種が生存するのは“刹那”に過ぎない。ヒトが絶滅しても、そこにはさらに果てしない無意識の世界が存在し続けるであろう。自然環境に生活する、例えば、高山植物も気候・地殻の大変動が起こらない限り、きびしい環境の中で美しく孤独に生き続けるであろう。

 最後にここで、私のもっとも敬愛する小説作者、山本周五郎の『おさん』の主人公、おさんが述べる心惹かれるセリフを紹介したい。

 「この花が可哀そうでしようがないの、ほかのたいていな花は大事にされるのに、この花は誰の眼もひかない、地面に咲いていれば、人は平気で踏んづけていってしまう、それが可哀そうだから、つい摘んで来て活けてやりたくなるのよ」天邪鬼の私はおさんのこの言葉に涙するのである(阪本寧男 2013.雑草を想う-私の偏見と妄想- NPO法人・地球環境大学編会報特別号)』。 
 
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§カンパありがとう!

§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

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まつたけ山復活させ隊活動 
 
予定日  2014年1月~年6月
回  開催日  報告担当者  男厨シェフ
424 1月31日 金 榎本
425 2月08日 土 池内   松本
426 2月14日 金 内田
427 2月22日 土 宮崎
428 2月28日 金 三輪
429 3月08日 土 池内   小原
430 3月14日 金 榎本
431 3月22日 土 宮崎
432 3月28日 金 内田
433 4月05日 土 池内   松浦
434 4月11日 金 榎本
435 4月19日 土 三輪
436 4月25日 金 宮崎
437 5月03日 土 池内   内田
438 5月09日 金 内田
439 5月17日 土 榎本
440 5月23日 金 三輪
441 5月31日 土 宮崎
442 6月06日 金 内田
443 6月14日 土 池内   川崎
444 6月20日 金 榎本
445 6月28日 土 三輪

  
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§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山 (京都バス停留所「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分) 
 活動開始は午前10時頃から,終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.
このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側)40分
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番)約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.メンバー参加者には、現在、食材費( 実費)+消耗品費として400円を徴収.見学者は要500円(施設利用代などを含む).

§参加や見学希望の方は、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いしま す.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?


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§主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305 matsutake10@gmail.com

香川理化学研究所
代表 香川 晴男

§共 催
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典

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