まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 906

2014年04月29日 |  マツタケの林地栽培 

皆さん! 心に、体に良いことなさっていますか! 
 山を見渡すと、目に優しい若葉の緑が飛び込んできませんか! この連休をただただ観光地を巡るだけでなく、1日くらい、フィールドに出てみてください! こんなリフレッシュ法もよいもんです。出費は少なく効果は最高!すべて費用対効果で決めるべきではないと思っています。必要なものは必要なのです。資本主義的思考に毒されている悪しき風潮と闘っているのですが・・・・。
 
 前回(4月25日)の活動の様子を紹介します。山には、アカマツの早緑(写真1)と樹肌の赤が美しい。美しいものではありませんがネズの花が満開(2)です。ネズにはマツタケが感染します。マツタケのホストスペクトル(宿主の好み)は、幅広いようです。色々観察が進めばもっといろんな植物に感染することが明らかになるかもしれません。でも、キノコを出すための条件は、感染すると言うこととまた別のことです。
1)  2) 3) 4) 5) 6) 7)

 
 畑は、冬から夏に向けて端境期と言うんでしょうか、なにやら準備がなされています(3)。「果樹園」には、リンゴの花が、これまた満開状態です。ピンクのツボミが可愛いですね(4)。花畑には、園芸品種同定は不得手ですが、アガパンサスかヒメアガパンサスの花が咲いている(5)。

 香川山BCには、、電気も水道もある(批判的意見も承知していますが大変便利です)。ちなみに、電気代と水道代は山主・香川晴男さん、僕の大先輩に全面的に依存している。目下甘えています。BCは少し高台にあるため、水圧を維持するには水道タンクが必要で、タンクに水を一度ため、モーターで圧送しています。その小屋をタンクの掃除などメインテナンスがし易い形にリフォームしています。棟梁は、ご存じ橋本さんです(6)。

 昼食のメインディッシュはチヌの塩焼きでした(7)。食事当番の仲間の作業です。いつもありがとう!感謝です(8,9,10、11)。キンカンを採取して、ほどよい甘さの甘露煮を作ってくれたOBさん(12)。まつたけ山復活させ隊には、陶芸班(世話人は内田正明さん)がありますが、近藤高弘さんの指導の下、ポスト民芸運動に興味を持って、これは難しい課題ですが( http://1000ya.isis.ne.jp/0427.html 参照ください)、作品作りに励んでいます。その作品にお新香が盛られていました(13)。
なかなかの器です。 
8) 9) 10) 11) 12) 13)  写真は、左クリックで拡大します。
 

 5月3日(土;祝日.憲法記念日)は、まつたけ山復活させ隊第437回活動日です.本日は、日頃の食事作りに感謝する意味で、特別シェフ内田 正明さんの料理を戴きます。楽しみです!
気温が高くなって来ました。マダニなど虫刺され、事故に気をつけて、マツタケ山づくりを楽しみましょう!
 
 午前10時に京都市左京区岩倉 村松 香川山(自称:下記の§活動拠点へのアクセスを御参照下さい)にお集まり下さい.本日の活動の様子は、池内 正憲さんが当日の夜に報告します.大阪府茨木市から藤井さん夫妻が見学にお越しになります。
 
 
マツタケ山づくりの話13 
  このシリーズも13回になりました。可能な限り専門的にならずに書き進めてきました。マツタケとはどんなきのこであるのかを知るために、その生理生態、次いでその生息地であるアカマツ林が含まれる里山林の危機と進み、日本ならではの発想「マツタケの生活する里山林」づくりを担う市民の運動を紹介して参りました。
簡単にいえば<マツタケは、人による原生林の破壊によって登場し、人による里山林の破壊によってその生を終わろうとしているように見える> 何とかしたいというわけです。
 
 そこで今回は、(株)トロント刊行(03-3408-1521)の「マツタケ山のつくり方」と大学の講義資料などを参照にしつつ、その実際を書き進めて参ります。 

☆マツタケの栽培適地の失敗のない選び方 
 昭和40年代に始まるマツタケ山づくり作業の反省から、マツタケが1本でも出ているアカマツ林を探すことにいたしましょう!
まず、近くのアカマツ林で、マツタケを探してみよう。とにかく1本のマツタケを見つければ勝ちと考えます。探す時期は、近くでマツタケが採れたと噂が流れた頃から始めましょう。

①山の西から南に位置する斜面(最近では北面も可)を下から上にマツタケを探しながら登る。所によっては平地林でも見つかる。アカマツの樹の一番下の枝(プロは力枝と呼ぶ)が力強く横に張っているアカマツがあるほうが良い(適齢)。上長生長の盛んな若いアカマツは、両手を上に上げたような枝振りであり、マツタケの発生には早過ぎる。

 昔から、アカマツの幹にコブがある、幹がまっすぐでないほうが良い、葉が黄色っぽいほうが良いとか、の言い伝えがあるが、それらの多くは科学的な証明はされていない。でも痩地のアカマツはそんな風になりやすい。とにかく、いま、必要なことは、たった1本のマツタケを発見することである。

 今なら、アカマツの枯損が激しい地域にでも、ましなアカマツ林があれば、1本のマツタケは見つかるものである。ただし秋の発生期の天候に大きく左右されるので数年間は調べます。 また、マツタケの生活できるアカマツ林かどうかを「マツタケに判断させよう」というのである。人間よりは確かである。見つかれば、しめたものだ。弱ったシロを元気にすることは可能といえるからです。

探しましょうー、マツタケを!
②マツタケが見つかった!! それはどこにあった? 尾根筋? 中腹? 山裾? 

③中腹より上にマツタケがある山は、即、第4・5章を見ながら手入れを開始しよう。「マツタケがたくさん生えている山の姿を自分の頭にイメージしながら作業をせよ」 である。

④山裾にだけマツタケが出る山は、もうすぐマツタケの発生が止まったり早急に減ったりする恐れがある山だ(下り山と言われる)。そのような山でも、僕がいた岩泉まつたけ研究所の試験林では、手入れの確実な効果が見られた。アカマツが生長し続けるように手入れして、100年を超える松林で立派なマツタケを採り続けている人は全国にいる。しかし、期待したほど手入れ効果がないこともある。これは、人間に見えない山の土の富栄養化が障害となるケースである。   

⑤マツタケが発見できない場合、ただチャンスに恵まれないだけなので、場所を変えたり来年探して見よう。その時、林の年を見ておくことを忘れずに。普通、平均樹齢30年くらいからマツタケは発生するが、同じ地域でも山によって50年生くらいのアカマツ林となって初めて発生を見ることもある。樹の年を正しく見るのはけっこう面倒なものだが、枝で数えるのが素人向き(枝数に3年を足す)。背が高いと枝数を数えにくいが、出来るだけやってみよう。それによって、アカマツ林が若すぎてマツタケが発生しないのか、古すぎて発生しないのかを知ることができる。

次のようなアカマツ林を持っている人は、金の卵を産む鶏を持っていると考えましょう。
⑥マツタケが発生していない35年より若いアカマツ林を持っている人は、今から手入れを始めて損はない。4・5章を参照しながら作業入りである 。近くにマツタケ発生アカマツ林があれば、あとは発生を「まつだけ」である。

⑦自分のマツタケ山で、最近、マツタケの生産量が落ちているなと感じているなら、第5章の「老齢アカマツ林の若返り」を読んで手入れを続ける。もちろん、このようなアカマツ林においても適切な手入れがなされると増産が見られている。

⑧そんなに発生量が落ちた感じがない林では、即、第4・5章を参照して穏やかに手入れをすれば増産間違いなしである。手入れ作業をやり過ぎないことも必要である。和歌山県富貴まつたけの産地に山を持つ岩田光浩氏は、それを実践されている。一度見学されると、大いに参考になります。

⑨50年より年上の場合は要注意。もし本当にマツタケが生えたことがない場合、マツタケが生活できない林と考えられる。そんな林は手入れでマツタケがで出てくる可能性は低いからである。他のアカマツ林を探して見よう。思い切って、第5章の「老齢アカマツ林の若返り」のとおりに林を再生することも一つの方法であるが、立派なアカマツ林である場合、その材は、建築用の梁の材料として重宝されるはずである(建築関係者に相談すればよい)。まつたけ山復活させ隊は、京都岩倉でアカマツ林の再生に取り組んでいる。

⑩35年より上で50年以下の松林は、手入れをした上で、第5章の「マツタケの人為感染」の項を参照して人為的にマツタケの培養菌糸をアカマツの根に感染させる方法などを実施する。これは専門家に「試み」をゆだねることになります。これは、勧められる状態にはありません。

⑪昔良く生えたんだよなぁーという山は、第5章の「老齢アカマツ林の若返り」の項を参考に皆伐したり帯状に択伐したり、また苗を補植したりして、アカマツ林を若返らせてみよう。このようにして、400年間にわたってマツタケを採り続けた地域がある(今の群馬県太田市)。里山林に人手を積極的に加えることは、自然保護に反してはいない。里山林は大昔からこのようにして守られてきたのである。

☆人工アカマツ林にもマツタケは発生する
⑫アカマツ人工林に手を入れて、岩手県岩泉町では、6年ほど経過してマツタケが初めて発生したケースが増えました。調べてみると、人工アカマツ林でマツタケを採っている人は全国的にたくさんいる。残念ながら 天然性アカマツ林と比べると、量的には、かなり劣ります。

いずれにしても、栽培適地はマツタケが生えている場所である。自分の目で判断したいという方は、このシリーズもしくはマツタケ山のつくり方(トロント版)「マツタケはこんなアカマツ林を好む」の項を読んで試して下さい。

続く!  次には作業方法に入ります。


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ブログ左欄ブックマークのNIKONオンラインギャラリーを左クリックしてギャラりーに入り、活動風景を御覧ください.
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§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山 (京都バス停留所「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分) 
 活動開始は午前10時頃から、終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.
このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側)40分
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番)約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.メンバー参加者には、現在、食材費+消耗品費として400円を徴収.登録外参加者・見学者などは要500円(施設利用代などを含む).

§参加や見学希望の方は、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?

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まつたけ山復活させ隊活動

予定日  2014年5月~6月
回  開催日    報告担当者  男厨シェフ

437 5月03日 土  池内      内田    藤井さん夫妻(茨木市) 見学
438 5月09日 金  内田
439 5月17日 土  榎本
440 5月23日 金  三輪
441 5月31日 土  宮崎            京都精華大学 地域環境学(板倉 豊教授担当)受講生25名参加
442 6月06日 金  内田
443 6月14日 土  池内      川崎
444 6月20日 金  榎本
445 6月28日 土  三輪

    11月7日(土)               京都造形芸術大学 環境学受講生 マツタケ山づくり体験 

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§カンパありがとう!  

§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

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§主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305 redpinemushroom@gmail.com

香川理化学研究所
代表 香川 晴男

§共 催
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典

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まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 905

2014年04月25日 |  マツタケの林地栽培 

 晴天が続くこの頃、今日も朝から快晴の状態で朝は放射冷却で気温はひとケタですが、日中は気温も上がって山で作業を行うと汗ばむ気温となりました。

 本日の参加者は次の通り

 橋本、寺尾、榎本、大嶌、中広、森、TAKE、前田、大久保、三木、三輪、宮崎、三品、

川本、有山、ホリイ、内田、阿閉仁、阿閉眞、中野、吉村、山田、猫田、小長谷、周田、

松本、まり子の27名が参加。

 

 

香川山のベースキャンプに着くと既に数名の仲間が来ており、 山での作業に備えて使うチェーンソーなどの点検を行っていました。

 葱畑は葱坊主が出てきています。

 じゃがいもも芽が出てきています。

 白い花が咲いていました。

柿の木

豆 蕗畑

  にんにく畑

 アスパラガス

 玉ねぎも根っこが膨らんできました。 

チューリップ

 こしあぶら

 茶畑 新芽が出てきています。

これらは仲間が丹精込めて栽培しているものばかりです。収穫時には、昼食の献立の中に出てきます。

 玉城山の作業場に出かけました。コバの三つ葉つつじが綺麗に咲いています。

玉城山から市原方面を望む

 枯れ松の伐採をします。規定のサイズに切って

搬出します。

 赤い椿の花も咲いています。

午前中の作業を終えて香川山のベースキャンプに戻りました。

本日の献立この他に黒鯛の丸焼きが出ました。3人に1匹の割合

 食事を終えて、再び玉城山の作業現場に行きました。午前中の作業の続きで

枯れ松の伐採と林道への搬出を行いました。

早めに作業を終えて、他の作業現場の様子を見にいきました。

 ヤマガラ班は山の稜線付近で作業

阿閉班は松の補正作業を行っています。実生の松が斜面に生えて来ています。

 

三品班は大木を伐採したようです。

 橋本さんが黙々と水道タンク小屋の補修をされています。

今日はとりあえず屋根を付けるところまでされるそうです。

 文責 三輪

 

 追伸 4月10日から19日にかけてフランスに行ってきました。

 往復とも関空==パリ間は直行便約11時間30分ほど

 

 フランスの食事はあまり美味しいと思わなかった。

 

フランスの北西の海岸にあるモンサンミッシェル

  

 やどり木がやたらと多いフランスの田舎

 パリからモンシャンミッシェルへバスで移動しましたが、一面菜の花畑で黄色が一杯

ニ―スから帰りの飛行機から見ても黄色の多さが目に着きました。

 

パリに戻って凱旋門 、シャンゼリゼ大通り、エッフェル塔、ベルサイユ宮殿などを見学

 10日間のフランス旅行はあっという間に終わりました。

 

 

 

 

 

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まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 904

2014年04月22日 |  マツタケの林地栽培 

 香川山のナシの花にも花粉を媒介する昆虫がやってきている(写真1)。このようにして里山の植物も維持される。私たちもそんなことを考えてニホンミツバチの巣箱を置いている。少しの蜜をいただくことも考えているのだが。
 田んぼの準備をする、畦づくりである。たった一人でがんばるTさん(2)。いま、タケノコが大変美味しくなってきました。鹿背山からいただいたタケノコを使ってちらし寿司が準備された(3、4)。山椒の葉を飾りにと摘んでいる(5)。美味しそうにいただく仲間(6)。
 仲間の談笑、これもいろんな話が飛び交い、勉強にもなり息抜きにもなる(7)。
 ヤマガラ班の皆さんの作業の効果を見に出かける。効果なんて難しいことではなく、うっそうとした放置林に手を入れると、日陰で苦しんでいたツツジ科の植物が一斉に咲き始める、これを確認することなのだ。コバノミツバツツジの鑑賞会がなされた(8)。ついでに、人によるのか鹿などによるのか現認はできていないが、ネットの点検・修理も行われた(9)。
1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 写真は左クリックで大きくないます。

 

 4月25日(金)は、まつたけ山復活させ隊第436回活動日です.当日は、夏日の気温となりそうです。熱中症、マダニなど虫刺され、事故に気をつけて、マツタケ山づくりを楽しみましょう! 午前10時に京都市左京区岩倉 村松 香川山(自称:下記の§活動拠点へのアクセスを御参照下さい)にお集まり下さい.本日の活動の様子は、三輪新造さんが当日の夜に報告します.体験希望の皆さんの参加日を、下記<まつたけ山復活させ隊活動 予定日>欄に記入いたしました。
 
 
マツタケ山づくりの話12
 
  前回までに、マツタケ発生量の減少の様子とマツタケの宿主であるアカマツ、それが含まれる里山林の危機的状況などをレポートしてきました。里山林を守るためには、訴えているような諸問題を解決せねばなりません。 
 今回も、高文研出版の「まつたけやま復活させ隊の仲間たち」を引用しながら、いろんな解決法の切り口がある中で「マツタケの生える里山づくり」に取り組む必要性などについての続きを書きました。

★参加者の数だけ夢がふくらむ
「里山再生のためにマツタケを復活させよう」運動を!
 
 確かに、かつての里山は生物多様性に満ちた豊かな生態系だった。しかし、現在の里山は、私たちの住居エリアを見ても農業用エリアを見ても、もちろん林業用エリアも瀕死の状態に陥っている。環境省のレッドリスト(2012年版)を見ると、じつに哺乳類の23.3%、両生類では33.9%もの種に絶滅の恐れがある。また種子植物とシダ植物が含まれる維管束植物も6740種のうち32.0%が絶滅危惧種になっている。そして、それらの5割が里山の生物である。里山は、放置によって緑豊かであるが、緑豊かであればよいという考えは里山には通用しないのである。まさしく喘いでいる。
 
 この里山を何とか再生したい、生物多様性を復活させたいというのが、私のずっと持ち続けてきた強い思いである。私は長年、微生物生態学の研究者として里山の代表的な樹林であるアカマツ林をフィールドにアカマツと切っても切れない相利共生関係を持つマツタケと土壌細菌の関係を研究し、それをマツタケの林地栽培という実践につなげようと取り組んできた。その経験を生かした里山再生となると、やはり日本にある770万㌶の里山林の約30%を占めるアカマツ林の再生を抜きにしては考えられない。
 
 マツ林土壌の富栄養化でアカマツ林は荒廃が進み、マツノザイセンチュウ(松枯れ病・松くい虫。その原因がヒトなどの寄生虫の回虫と同類の長さ1㍉足らずのセンチュウで、これを媒介するのがマツノマダラカミキリという体長2㌢内外の昆虫)の蔓延がそれに拍車をかけ、それによってマツタケも激減している。実際、京都府でも(全国10府県)マツタケは保全の必要がある準絶滅危惧種になっている。

 一方、万葉の昔からマツタケと日本人の関係は独特の「食文化」になっていて未だに松茸フリークも多い、私は「まつたけ山づくり」が里山再生活動としてふさわしい、多くの市民に参加してもらえるものになるに違いないと考えている。里山を取り巻く環境はきわめて深刻だが、「里山再生・保全のために、まつたけを復活させよう」を目標にしたら、きっと夢がふくらむ楽しい運動になると考えている。

 「マツタケのグローバリゼーション」をテーマに、人と自然のあり方の多様性や、その一つの表現である食文化を調査・研究している文化人類学者で米国・カリフォルニア大学教授のアナ・ツィンさんとカナダ・トロント大学助教授の佐塚志保さんたちのグループが、何回か私たちの活動を取材に訪れたことがある。

 その佐塚さんは山仕事の合間に汗を拭きながら笑顔で川柳を詠んだり、そうめん流しや手製の緑茶、紅茶を楽しんでいる私たちを見て、「市民運動の概念を覆された思い」と感想を述べている。さらに、「まつたけ山復活させ隊の活動は、世界的にみてもユニークで社会的にいろいろな示唆のある貴重な活動だと思う」とも評価している。

 この運動は、参加者たちの熱い思いとアイデアと行動力で成り立つものだから、楽しいことが参加者の数だけある、というのが私の基本的な考えだ。その意味で、とても幅広い活動を展開できると思っている。

 だから、私たちの活動の場はアカマツ林にとどまらない。いつの間にか畑や田んぼも作られ、稲や野菜、果樹やお茶の栽培なども始まった。里山林の手入れで伐採された木は材や薪として利用する。残りは燃やし、その消し炭は土壌改良のため畑にすき込まれる。また、全国の支援者からのカンパで本格的な陶芸窯を造り、枯れたアカマツを燃料にみんなの作品(岩倉焼)が焼かれている。昨年はその作品でまつたけを食すイベントも開催した。みんなの夢が次々とふくらみ、育まれている。

★「里山はオジさんをテツガクシャに変える」から楽しい
 「文化的な創造なしにはアカマツ林(里山)の再生もマツタケの増産もない」ということなのだと思っている。歴史を振り返っても、万葉の時代から日本人は歌を詠み、杯を交わしながら松茸狩りを楽しんでいた。今も、その遺伝子は受け継がれていて、たとえば、長野県上田市のまつたけ採り名人、宮原文男さんは軽快な「松茸音頭」のCDを制作した。作曲と唄は地元の宮下賢さんが引き受けていて、松茸が人を結びつけているのだ。
 
 また、仲間の一人で京都府南部の木津川市で幅広い里山再生運動「鹿背山元気プロジェクト」に取り組む中村伸之さんは「里山はオジさんをテツガクシャに変える」と言った。彼は「便利な生活の中で私たちは、場所も時間も身体も自由自在になると思いがちだが、じつはそれによって環境に大きな負荷を与えていて、そのツケを子どもたちに回していることに気づきはじめている。電気やガスや水道がなくクルマも入れない里山で過ごすと、場所も時間も命も有限で、環境や歴史の制約を受け、自然の理にしたがうべきものであることが身に染みて分かり謙虚になる。その分、美しさや楽しさや充実感を見つけることもできる」と続ける。

 里山にいると、心に響く発見や人間の本質とか、自分自身に迫るような気づきがあるのだと思う。もちろん、オジさんに限ったことではない。仲間たちと一緒に汗をかきながら山の作業をして、あまりの山の荒廃ぶりに心底情けなくなると同時に、それでもなお山の命が私たちの心身を癒してくれるのを感じる。その空気に包まれながら私たちは、ふと自分と家族と故郷の人々、そしてこの国と人の来し方、今、行く末を思う。そこにある病根に気づいて、考え悩む。

 それでも、ここでのテツガクはとても楽しいから、みんな里山に通い続ける。新しい自分と、これまでにない温かくて優しい「価値」が存在するのだということを、マツタケやアカマツたち里山の住人が気づかせてくれるし、里山という「テツガクの場」に集う仲間たちが互いに気づかせ合ってもくれる。そこでは隣同士がビビッとかへーっと響き合い、大人たちがそれぞれの人生で培った、飛び切りの知恵と技と心意気が花火のように色鮮やかに輝いている。

 こうした私たちの生態系の再生・保全と有機物の循環利用をベースにした考え方と実践が、全国の森林保全ボランティア団体や里山再生、生物多様性の保全に関心を持つ人たちにとって一つのモデルにもなってきているように思える。続く


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ブログ左欄ブックマークのNIKONオンラインギャラリーを左クリックしてギャラりーに入り、活動風景を御覧ください.
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§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山 (京都バス停留所「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分) 
 活動開始は午前10時頃から、終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.
このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側)40分
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番)約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.メンバー参加者には、現在、食材費+消耗品費として400円を徴収.登録外参加者・見学者などは要500円(施設利用代などを含む).

§参加や見学希望の方は、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?

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まつたけ山復活させ隊活動

予定日  2014年4月~6月
回  開催日  報告担当者  男厨シェフ

436 4月25日 金 三輪
437 5月03日 土 池内   内田       藤井さん夫妻(茨木市) 見学
438 5月09日 金 内田
439 5月17日 土 榎本
440 5月23日 金 三輪
441 5月31日 土 宮崎                 京都精華大学 地域環境学(板倉 豊教授担当)受講生25名参加
442 6月06日 金 内田
443 6月14日 土 池内   川崎
444 6月20日 金 榎本
445 6月28日 土 三輪

    11月7日(土)             京都造形芸術大学 環境学受講生 マツタケ山づくり体験 

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§カンパありがとう!  

§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

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§主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305 redpinemushroom@gmail.com

香川理化学研究所
代表 香川 晴男

§共 催
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典

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まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 903

2014年04月20日 |  マツタケの林地栽培 


3種のツツジ?

 まつたけ産業で地域おこしを! 京まつたけ復活・里山再生市民運動 

 

 第435回(4月19日(土))活動報告

 暑くもなく寒くもなく、風は爽やか、花粉も下火、花は咲き誇り新緑がまぶしい山作業には最高の1日でした。タカノツメ、コシアブラ、タラ、ワラビなど春の山菜もそこここに見られるようになってきました。
 本日の参加者は、玉城、榎本、女坂、中広、橋本、小原、TAKE、松浦、松浦(颯)、大島、吉川、周田、三品、ホリイ、村岸、上林、森、前田、三木、阿閉(仁)、阿閉(眞)、江指、大久保、川崎、藤井、川本、宮崎、中野、有山、吉村、猫田、田中、松本の33名のみなさんでした。

 冒頭の色合いが異なる“3種のツツジ”の写真は、実は3枚ともコバノミツバツツジです(おしべが10本ある)。左の花は色が白っぽく、真中の花は中心部が濃いピンクで外周へ行くほど薄くなるグラデーションがかかっており、右の花は全体が一様にピンク色です。同じ樹種でも花には個性が出るものですね。ミツバツツジには亜種がたくさんあるらしいです。

<玉城山Ⅰ>
榎本さん、川崎さんで午前中はミツバチの巣箱の設置を行いました。
午後はヒノキの皮むきを行いました。
 

<澤田山Ⅰ>
阿閉さん、荷物はあれど姿が見えず。とりあえず上着とリュックを撮影しました。

<ヤマガラの里>
先週つながったA、C区の境界付近の散らばった伐採木や粗朶などの片付け作業を行いました。松浦さんとお孫さん。ホリイさん。

前田さん、小原さん、吉川さん、女坂さん、周田さん、TAKEちゃん。

午後はA、B区で鹿避けネットの効果観察会。タカノツメの幼木を発見。


久しぶりに入山の三木さん。 鹿ネットの補修をするホリイさん、橋本さん。
 

<澤田山Ⅲ>
整備域上部への道作りを行いました。大島さん、大久保さん、中広さん。
また下部では森さんがコツコツと作業。日本庭園風にきれいにするつもりとのこと。

<澤田山Ⅳ>
下部では三品さん、村岸さん、川本さんが除伐作業。

 上部尾根では藤井さん、筆者で地掻き。地掻きの済んだところには“松枯れ耐性苗”を移植しました。
 

<香川山BC>
本日の昼食はタケノコづくしのちらし寿司にタケノコ煮物、お吸い物。

朝から準備ご苦労様です。松本さん、中野さん、阿閉さん、上林さん、三木さん、江差さん、猫田さん。

昼食風景。

(宮崎 記)

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まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 902

2014年04月15日 |  マツタケの林地栽培 

春らしい天気が続いています。でも、気温が秋のようにも思えます。皆さんにアウトドア-「活動」をお勧めいたします。心と体に良いことだと思われます。

 里山に立てば、生物多様性、生態系、共生という言葉が実体となって私たちに優しく語りかけ、また厳しく問いかけてくる。心が揺さぶられるが、共に歩を進める明るくて楽しい仲間たちも呼んくれる。そして勇気と元気、力と知恵を引き出してくれる。私たちは運動を通し、それを実感している(下記、マツタケ山づくりの話11から)。
 里山にいると、心に響く発見や人間の本質とか、自分自身に迫るような気づきがあるのだと思う(Wilhelm Stölb:座して森と同化せよ)。もちろん、オジさんに限ったことではない。仲間たちと一緒に汗をかきながら山の作業をして、あまりの山の荒廃ぶりに心底情けなくなると同時に、それでもなお山の命が私たちの心身を癒してくれるのを感じる。

前回(4月11日)の活動の様子です。香川山の境界線を確かめる仲間(写真1)。昼食づくりを担当する仲間たち(2,3,4)。ヤマガラ班の作業地は、尾根向こうのエリアとつながった(5,6,7)。三品班では倒した太い木を運び出しを考えて玉切りしている(8)。ニホンミツバチの蜂蜜を戴く(9)。ハチはいなかった。モミジガサも葉を展開しています(10)。東北と違って生長が悪い。味も使い方もほうれん草に似るが癖になる旨さである。栽培品種の味はかなり劣る。

1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 10) 左クリックで拡大します。

 4月19日(土)は、まつたけ山復活させ隊第435回活動日です.当日は、雨はないが曇りの予報です。日焼けを気にする方!安心です。

午前10時に京都市左京区岩倉 村松 香川山(自称:下記の§活動拠点へのアクセスを御参照下さい)にお集まり下さい.本日の活動の様子は、宮崎 昭さんが当日夜報告します.
 
 
マツタケ山づくりの話11
 
  前回までに、マツタケ発生量の減少の様子とマツタケの宿主であるアカマツ、それが含まれる里山林の危機的状況などをレポートしてきました。里山林を守るためには、訴えているような諸問題を解決せねばなりません。
 
 今回も、高文研出版の「まつたけやま復活させ隊の仲間たち」を引用しながら、いろんな解決の切り口がある中で「マツタケの生える里山づくり」に取り組む必要性などについて書き進めます。


今なぜ、まつたけ山を復活させ隊か――生物多様性の危機は人の危機

 まつたけ山復活させ隊(旧まつたけ十字軍)活動を市民運動として呼びかけたのは、「激減している国産マツタケを増産したい」という強い思いが根底にありますが、ただそれにとどまるものではありません。
 その活動は、マツタケの生息地破壊に歯止めをかけることにつながり、縄文時代から人の心を育み醸成してきた里山の荒廃は、今の時代を生きる僕たちに投影され、その結果、人の心も病んできているのではないかという命題に、かならず深く関わってくると思っているからです。
            
★生物多様性に依存する一方で破壊に突き進むニンゲン
 
 地球規模での環境破壊が叫ばれて久しい。そのなかで、止まらない気候変動や人為的に生じている熱帯雨林など森林の減少や水・空気の汚染(黄砂、PM2.5 )などは、目にしたり耳にする機会が多い。しかしそれらの改善の兆しもない状態だが、私たちのすぐ身近で、しかも静かに急速に進行している深刻な「生物多様性の危機」への理解はあるのかないのか、また、その改善への取り組みは鈍い。
 
 分かりやすい例を挙げると生活を脅かされている生物(絶滅危惧・危急種)のことである。なにしろ、世界中で年に4万種もの生物が絶滅している。さらに、生態系での食物連鎖や共生関係など考えると1種の絶滅は、その周囲にいる10~20種もの生物の生活に影響をもたらすといわれている。むろん、日本と私たちがその圏外にいられるわけではないのに(ホットスポット)、関心の低さ、いや、無関心とさえいえる状況が続いている。生物は必ず絶滅するが、この仮定に近い値が事実なれば、その絶滅のスピードが自然の業を越えていると思われる。

 「生物多様性や環境に無関心であってはならない」などと説教めいたことを言うつもりはさらさらありません。しかし、農林水産業をはじめ、医薬品の開発、安全な水の確保や汚水の浄化など衣食住から健康、文化まで日々の生活のほとんどあらゆる面で私たち人間は、生物多様性と、それによって支えられている様々な生態系からの「サービス」(働き・機能)に依存し、恩恵を受けて生きている。

 これは誰も否定できない事実だ。山に元気な森林がなければ海で豊かで美味しい魚介類は育たない。有機物を分解する土壌微生物がいるから良い作物が採れる土ができる。自然界には天敵がいるから量のバランスが取れ、害虫や害獣が増えすぎない、といったことである。
 
 もっと身近な例では、人間の腸内には1000種類もの細菌、微生物が共存していて、その微妙なバランスによって私たちの健康は保たれている。この均衡が破られ悪玉菌が増えたり、逆に善玉菌が減れば、私たちは体調を崩したり病気になってしまう。肉や牛乳を提供してくれるウシの4つの胃には膨大な種類と数の微生物がいて、それなしにはウシは生きられない。サンゴ虫と褐虫藻、地衣類(子嚢菌類とシアノバクタ-、緑藻)、昆虫と植物など枚挙にいとまがないというところでしょう。

 なのに今、この人間にとってとても大切な、というよりなくてはならない生態系が、常に生産性を追求するという人間活動によって危機に直面し、その必要性・価値を十分に理解されないまま事態は深刻さを増している。

 人は生物多様な生態系を利用し活用する一方で、逆に壊したり減らしたり、あるいは積極的に介入してバランスを崩すことで生産性や利益を過剰に上げようとしてきた。たとえば、農薬や除草剤による作物の害虫や雑草の駆除、排除、最近では遺伝子組み換えによる種子を作らない作物の作成によって通常の農家の存在も認めないことになってきている(バイオパイラシー)などである。複雑で扱い難く生産性の低い自然界の機能を制御し、支配する手段を次々手に入れて人間は繁栄してきたのである。

 しかし私たち人間は、自分たちも生態系の一員として「つながっている」「共生・共存している」ことを忘れている。増え続け膨張し続ける人口と欲望がはき出す「ゴミ」は地球の持っている循環システムの限界を越えている。そんなことを十分理解しないまま今日を迎えている。

 そのために絶滅した動植物が多いことはニホンオオカミを挙げるまでもない。開発によって生息地を破壊もしくは分断され、いま、四国のツキノワグマは絶滅の恐れに面している。スギの植林(使われることなく放置された)という人の活動が花粉症の発生をもたらし、同様に経済活動、とりわけ人の活動範囲が拡大するとともに新たなウイルス病が人類を脅かしている状況(パンデミック)は、その「つながり」をしっかりと理解することなしには対応が難しい問題なのではないだろうか。

 そして多様性と生態系の危機は、私たち人間の心と体にも危機をもたらしているのではないかと思える。親が子を殺し子が親を殺すという事件が多いがその現れではないだろうか。
 
 他に、街路樹のサクラの木の洞にニホンミツバチが巣を作っているのを見つけて、すぐに入り口をふさいで殺してしまう人と、それを止めずにただ見ている人の話。「地域ネコ」が気に入らないと、足蹴にする親とそれを見て真似る子ども。若い先生のお化粧に対して「そんなに化粧してもモテナイぞ」と嫌がらせをするベテラン教師と、ただそれを黙認する仲間であるはずの教師たち。全員黒ずくめの「就活スーツ」姿に違和感を持たずに、「みんな同じだと安心ですから」とにこやかに答える学生たちと、そんなスーツ姿を積極的に義務づける企業もあるといった話、などなど目白押しである。

 そこにあるのは、まさに駆除、排除、制御、支配、画一化、さらには無関心・分断の固定であり、自然界の多様性、共生・共存関係、つながりが持つ、あるいはそこから生まれる謙虚さや寛容さや優しさ、また個性の輝きは見当たらない。人間が人間に対して犯してきた迫害や差別の歴史に似てはいないだろうか。前田 勲さんがいうように「自然のしっぺ返し」がすでに始まっているのである。この人間の心と体の危機を克服するためにこそ、生物多様性を失ってはならないと強く信じている。

 人類は今、地球の仲間たちの将来を左右するような「綱引き」の場に臨んでいるのではないだろうか。厳しい現実と問題に直面し、解決を担うべき私たち人間が試されているのだ。歴史が教えてくれているように、現場、現地は「問題解決の鍵の宝庫」である。その原点に立って目を凝らし耳をそばだて、五感を研ぎ澄まして謙虚に聴き、感じ、考え、行動することが求められている。

 里山に立てば、生物多様性、生態系、共生という言葉が実体となって私たちに優しく語りかけ、また厳しく問いかけてくる。心を揺さぶられるが、共に歩を進める明るくて楽しい仲間たちも呼んでくれる。そして勇気と元気、力と知恵を引き出してくれる。私たちは運動をしていて、それを実感している。 続く

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ブログ左欄ブックマークのNIKONオンラインギャラリーを左クリックしてギャラりーに入り、活動風景を御覧ください.
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§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山 (京都バス停留所「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分) 
 活動開始は午前10時頃から、終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.
このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側)40分
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番)約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.メンバー参加者には、現在、食材費+消耗品費として400円を徴収.登録外参加者・見学者などは要500円(施設利用代などを含む).

§参加や見学希望の方は、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?

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まつたけ山復活させ隊活動

予定日  2014年4月~6月
回  開催日  報告担当者  男厨シェフ
435 4月19日 土 宮崎
436 4月25日 金 三輪
437 5月03日 土 池内   内田
438 5月09日 金 内田
439 5月17日 土 榎本
440 5月23日 金 三輪
441 5月31日 土 宮崎    京都精華大学 地域環境論(板倉 豊先生担当)受講生25名参加       
442 6月06日 金 内田
443 6月14日 土 池内   川崎
444 6月20日 金 榎本
445 6月28日 土 三輪

   11月7日(土)  京都造形芸術大学 環境学受講生 マツタケ山づくり体験 

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§カンパありがとう!  

§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

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§主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305 redpinemushroom@gmail.com

香川理化学研究所
代表 香川 晴男

§共 催
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典

 

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まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 901

2014年04月11日 |  マツタケの林地栽培 

ヤマガラの里では、C作業区がA区につながり開通式を行う。


まつたけ産業で地域おこしを! 京まつたけ復活・里山再生市民運動  

 

  第434回(4月11日(金))活動報告

 快晴に恵まれ、モミまき・山作業などに精を出す。本日は(敬称略)藤井、橋本、TAKE、玉城、中川、岡阪、榎本、斎藤、前田、大島、松本、森、中広、松浦、周田、ホリイ、三木、三品、大久保、河村(新)、有山、阿閉、阿閉、内田、中野、小長谷、吉村、猫田、まりこ、岡阪の30名が参加された。

<モミまき>・・・朝9時、玉城農作業場で我らのキヌヒカリ(約一反分)を育苗箱にまき、覆土をしてい育苗器にセットした。4月中旬には水田作り(畦つくりなど)、下旬には田植えと本格的に稲作が始まる。応援をよろしく。
  

<澤田山Ⅰ>・・・アトジ班:アカマツ林内の補正作業を行い、新入のKさんに作業内容を解説。

<澤田山Ⅱ>・・・ヤマガラ班:清めの式に続いて、C区上部のヒノキ一本を代表が倒してドッキングを祝う。
 

<澤田山Ⅲ>・・・ナカヒロ班:シイタケ谷の上部で榾木用のコナラ伐採と搬出作業。シドケが芽吹く。

<澤田山Ⅳ>・・・ミシナ班:灌木(ソヨゴなど)の伐採除去作業を行う。

<香川山BC>・・・コバノミツバツツジや菜園の花と緑が美しい。

お願い:収穫や作付けなどは、まず担当者に連絡を!。(空いているのではなく養生中です。)

刃研ぎ作業、伐木の運び入れ。
 

<昼食作り・コアタイム>・・・サクラご飯、鰯・タラの芽などに、味噌汁、豆腐・・・満腹ゝゝ。

<日本ミツバチ>・・・冬の間おとなしく静かだったが、この温かさで活発に飛び回っているだろうと巣箱を訪ねてみた。一匹も出入りがないので開けてみると、、なんと全員倒れており貯めたはずの蜜も半分以上消費されていた。・・・冬の寒さがこたえたのであろう。 持ち帰って採蜜してみた。


とりあえず500cc壜数本に保存した。次回には自家製”復活させ隊はちみつ”が味わえる。
元ミツバチ班長のSさんが居なくなり、作業が手薄になっているので、応援よろしく(但し巣箱の個人占有はしていません)。

<榎本記>

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まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 900

2014年04月08日 |  マツタケの林地栽培 

香川山には、2本の山桜があるが、1本は満開、残りは、こんな様子だ(写真1)。タラノメも大きく空に突き出ている(2)。里山林を明るくするとツツジ科の植物が目立つようになる。コバノミツバツツジが美しい(3)。畑には、ムスカリやチューリップといった花が咲き誇っていた(4,5)。ここでは、茶の新芽は未だ伸びていない。前回は、春を寿ぐ昼食であった(6)。
1) 2) 3) 4) 5) 6)

写真は左クリックで拡大されますが、4は向きを修正してありますが、ここではこんな向きです。拡大すると正しい向きになります。ごめんなさい! 

 

 4月11日(金)は、まつたけ山復活させ隊第434回活動日です.
午前10時に京都市左京区岩倉 村松 香川山(自称:下記の§活動拠点へのアクセスを御参照下さい)にお集まり下さい.本日の活動の様子は、榎本 輝彦さんが報告します.
 
 
マツタケ山づくりの話10
 
  前回は、マツタケの生息地、アカマツ林(里山林)の減少要因は、社会のいろんなシステムの近代化で人が不要と切り捨てたことによるが、自然保全の高まりの中にあっても、残念ながら取り残されているのが里山再生である。里山再生は森林ボランティアにゆだねられているが、それには限界があり、課題を克服するには政治がしっかりする必要があることなどを書いてきた。

今回も、高文研出版の「まつたけやま復活させ隊の仲間たち」を引用しながら、マツタケのパートナーであるアカマツ林(里山林)について書き進めよう!

■マツノザイセンチュウ病が事態悪化に拍車

 アカマツとマツタケの相利共生関係が維持できなくなると、いつからかは定かでなくとも、長い間そんな関係を維持してきたのだから、アカマツにも「問題なし」とはいかない運命が待っている。栄養豊かな林内土壌では、アカマツよりも広葉樹など他の種類の樹木のほうが競争力が強く優勢になり、次第にアカマツの樹勢は弱って勢力を失っていく。

すると、病害虫などに対するアカマツの抵抗力が落ちてきて枯損率が高まるものと思われる。これは、マツタケのような菌根性キノコの生活が成り立たない土壌では、アカマツも健全な生活が営めないということなのか、あるいは両者の相利共生関係にはまだ解明されていない機能があるからなのかもしれない。

 遷移林といわれるようにアカマツ林は、人が手を入れなければそのままずっとアカマツ林として維持されることはない。放置すればアカマツ林は必ずなくなり、もうそれ以上山の樹種が変化しない極相林になってしまう。もちろん岩場のようなところには、マツ科植物が極相林なのであるが。マツノザイセンチュウ病による枯損は、その遷移するスピードを速めている現象であり、被害が全国各地に広がっている。里山問題の深刻化が加速しているということだ。

 マツノザイセンチュウの被害は1905年(明治38年)に、長崎県で最初に確認された。今日のアカマツ大量枯損の始まりである。米国から輸入した木材の中に体長わずか1㍉ 足らずの線虫が潜んでいたのだ。後に、マツノザイセンチュウという名をもらう新種の害虫の侵入だった。

 この外来害虫の侵入と、その後の蔓延につながる「巧妙な出来事」について、二井一禎さんに話を聞いた。今、マツノザイセンチュウを媒介している運び屋(伝播昆虫)は体長2.5㌢内外の日本産のマツノマダラカミキリだが、最初の線虫はこれと同属で別種の米国のカミキリ虫と共に材に潜んで入ってきたと思われる。

 線虫を体内に持ったそのカミキリ虫が輸入材を抜け出して日本のマツ(おそらく海岸のクロマツ)に飛来し、そのマツを摂食した時に線虫が材内に侵入し増殖してマツを枯らし、さらにその枯れたマツに飛来した日本のマツノマダラカミキリが産卵し、翌年羽化する際に新たな運び屋となって線虫を運び出した。米国の運び屋から日本の運び屋に伝播昆虫の「乗り換え」が起こったことによって、この害虫は広がっていく手段を獲得したのだ。

 以来109年、被害は年々日本列島を北上し、日本海側ではすでに青森県に到達している恐れもある。太平洋側では、岩手県最北部に近いところで被害が発見された。要観察となっている。マツノマダラカミキリの蛹とセンチュウを持ったマツ材の輸送が被害を拡大しているといわれている。また、急斜面の上部にあるため処理の難しいザイセンチュウ病枯損木の放置が新たな感染を生んでいる。

 この被害で、京都市内でも周りの北山、東山、西山の景色が変わってきたことは、皆さんもご存じの通りである。茶色く枯死したアカマツの目立つ山並みは、やがてヒノキやスギかシイ林に代わるだろう。「京」の景観にとっても大きなマイナスだ。それだけではない。京都の伝統的行事であるお盆の五山の送り火の薪はアカマツを用いているが、このままでは、その薪の確保が難しくなってくるのではないか。

 まつたけ山復活させ隊(まつたけ十字軍)運動は、アカマツの薪を確保するためにもアカマツ林再生活動を主導している。まつたけ産地といわれる地域でのアカマツの枯損被害は、まつたけ産業、秋を味わう食文化にとっては致命的である。外国産「まつたけ」では代替できないところである。香、形が、どことなく違うのである。

 里山再生・マツタケ山再生は生物多様性を維持するうえで必要である。とにかく忘れてならないのは、人間の活動(生活)も里山という生態系に組み込まれ、一定の役割を果たしつつ営々と営まれてきた歴史があるということ。その結果、里山は多様な生き物が棲む豊かな生態系になったのだ。

 この人の活動と役割が途絶えた時代に、元の豊かな里山の復活をめざして全くの素人である市民たちが決して絶望せず、腰を据え、楽しみながら積極的にかかわっている。
それが私たちの「まつたけ十字軍運動」であり、まつたけ山復活させ隊だ。

■激減を続ける国産まつたけ

かつてのわずか115分の1以下に!
 農林水産省の外局・林野庁のまつたけ生産量についての統計は1905年(明治38年)から始まるが、明治以降、それまでハゲ山だったところに治山治水工事が行われるようになるとアカマツ林が増加をみせ、それにつれてまつたけの生産量も増えている。

 1905年は3015㌧、1900年代は年間平均2726㌧だったが、1910年代(1910-1919)は3863㌧、1920年代には5531㌧、1930年代は最高で7582㌧の生産量を記録している。1941年には単年度で史上最高1万2222㌧になっている。

 戦後になると、戦災復興のため木材の需要が高まり、1950年にはアカマツがパルプ材として用いられるようになった。チェーンソーがアメリカから導入されると木材需要増大と相俟って、造林の拡大が加速し、今では日本の森林の4割が人工林になっている。これによりアカマツ林は減少、つまりマツタケの生息地の減少は、1940年代の年間平均生産量5806㌧が、1950年代には4985㌧と大きく落ち込む結果となって現れている。

 高度経済成長期に突入後、里山放置による質の低下はとどまることはなく、しかも急速に進んだ。これは生息地(面積)の減少と異なり、ボクシングのボディブローのようにじわじわと時の経過とともに生産減少に効いてきた。開発によるさらなるアカマツ林面積減少も止まらず、両者相まって60年代後半になると生産量は一気に落ち込んでしまい、年2000㌧を上回ることは最早なくなってしまった。70年代には1000㌧台を切って722㌧となり、以後減少の一途をたどってきた。

 人口は増え、さらなる経済成長が続き、紙の需要増による樹木の伐採、ゴルフ場や宅地造成などの開発は止むことを知らずという状態でマツタケの生息地の減少は進み、加えて放棄アカマツ林の劣化の程度はすざましく、1990年代には年平均が267㌧となった。2000年代には66㌧と、1930年代の0.9%という大激減である。

発生時期の秋の暑さに弱いマツタケ!
 21世紀になると、今度は地球規模の気候変動がマツタケの生育に一層のダメージを与えるようになってきた。マツタケの発生期に、京都でいうと10月の第2週頃に「えっ、まだ夏」とか、「激しい残暑のぶり返しだ」といったことが常態化しているように思える。

 これは、マツタケの子実体(きのこ)発生や成長の条件として大ピンチ。夏の終わりまで順調にマツタケのシロは育ち、秋の朝の凛とした冷え込みが訪れる頃、地下のシロはきのこの芽(子実体原基)を作る。とにかく夏が終わらないことには、低温による刺激がないため原基ができないのだ。

 この温暖化の原因はともかく、気温上昇に伴って地温も確かに上昇する。そして、さらに悪いことには一度秋の冷え込みが訪れた後に再び厳しい残暑がやってくることが多くなった。しかも、気温が高いと概ね天気が良い、雨もない。マツタケの生長には、雨が必要である。

 すると、最初の冷え込みで作られた子実体原基は大きくなれずに土の中で腐り、そこに栄養を送っていた菌根も消耗してしまう。その後、たとえ気温が下がって再びマツタケ発生の好条件に恵まれても、シロの先端部の子実体原基をつくった部分にはすでに元気な菌根がほとんど残っていないから、もう新たなきのこの芽はできない。これがマツタケ発生の高温障害である。

 秋にキノコの発生が終わって冬になるまでの間、もうアカマツの細根は伸びないが、シロの先端部の子実体原基の形成に関与しない菌根は弱ってはいるものの休眠するまでの間に新しい菌糸を伸ばす。その菌糸が、翌年の春先になって、アカマツの細根が近くまで伸びてくると、それに感染して新しい菌根を作る。菌糸はそれまで生き残り、ジッと耐えながら新たな出合いを待っている。シロはそうやって成長し、広がっていくのだ。

 発生期の気候変動は、マツタケ主産地の北上を招き、広島県、岡山県、兵庫県、京都府など西日本にあったマツタケの主産地の多くは今、長野県高地に移ったように見える。これからと期待される岩手など東北の産地でも残暑のぶり返しは発生量の低下や凶作を招いている。  続く  

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§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山 (京都バス停留所「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分) 
 活動開始は午前10時頃から、終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.
このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側)40分
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番)約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.メンバー参加者には、現在、食材費+消耗品費として400円を徴収.登録外参加者・見学者などは要500円(施設利用代などを含む).

§参加や見学希望の方は、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?

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まつたけ山復活させ隊活動

予定日  2014年4月~6月
回  開催日  報告担当者  男厨シェフ

434 4月11日 金 榎本
435 4月19日 土 宮崎
436 4月25日 金 三輪
437 5月03日 土 池内   内田
438 5月09日 金 内田
439 5月17日 土 榎本
440 5月23日 金 三輪
441 5月31日 土 宮崎
442 6月06日 金 内田
443 6月14日 土 池内   川崎
444 6月20日 金 榎本
445 6月28日 土 三輪

    11月7日(土)  京都造形芸術大学 環境学受講生 マツタケ山づくり体験 
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§カンパありがとう!  

§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

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§主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305 redpinemushroom@gmail.com

香川理化学研究所
代表 香川 晴男

§共 催
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典

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まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 899

2014年04月05日 |  マツタケの林地栽培 

 今日は涼しくはありましたがいい天気でした。

 今日の参加は、TAKE、中広、大島、前田、小原、榎本、大久保、松浦、上林、ホリイ、有山、阿閉(仁)、阿閉(眞)、女坂、三輪、三品、多田、池内、川崎、橋本、藤井、川本、宮崎、山田、斎藤、猫田、吉村、中野 の28名が汗をかきました。

 本日の作業です。

玉城山では、

伐採した木の整理を行いました。

沢田山Ⅴでは、

整備範囲を増やしています。

沢田山Ⅰでは、

木の整理を行っています。

沢田山Ⅱでは、

見守る先に 

作業の終わった整備地と

の合体が、

4月24日木曜5時、合体記念の宴会が行われます。すき焼き飲み放題4500円。参加の場合、4月⒒日次回作業日に、参加をお知らせください。

沢田山Ⅲでは、

広範な作業場を抱え、

伐採作業が行われています。

沢田山Ⅵでは、

足場をつくりながら作業を進めています。

香川山のシイタケ畑の移転が行われました。

食事は、

タケノコご飯に、

ボリュームのあるおかずは、健康的な

なものです。

ところで、

作業場に行く道が崩れています。

気を付けて、作業場に。

連絡があります。

来週⒒日金曜9時に、田んぼ用のモミを蒔く作業をするそうです。

参加できる方は、榎本さんにご連絡ください。

来週もよろしく。(文責:池内)

 

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まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 898

2014年04月01日 |  マツタケの林地栽培 

春です。新学期です。小中学校生のころは、浮き浮きしたものを覚えたものです。だが、今は「こりゃあ変だぜ」とばかり、ついつい酷税の春なんて思うのです(関連内容がマツタケの話9の前半にあります.お読み下されば幸いです)。

 春らしい話題から始めます。写真1は、鹿に食われて消失したかと心配されたササユリです。ニホンジカの食害法を褒めないといけないなんて思ってもみませんでしたが、かれらは、根こそぎ食わないようだ。人なら、根っこからほり取るので絶滅してしまう。ヤマザクラも、今週はもっと膨らんでいるだろう。もしくは1輪2輪咲いているかも。
 
ニホンミツバチもよちよちと巣箱の外をはっている(2)。植栽しているギョウジャニンニク、ワサビ、ウルイ(オオバギボウシ)、スイセンの花も鮮やかだ( 3,4,5,6)。
 
 新鞘を食われているが、アカマツの葉も緑を増して目に鮮やか(7)。地衣(下記参照)の仲間であるアカミゴケの子器の赤が目立つこと(8)。
 
 ヤマガラ班の山づくりを久方ぶりに見に行きました。C地区の作業がA地区との境界に接し、両区がめでたくつながったのである。開通式といって、1杯やろうということになっている(9,10)。
1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 10)
 
 すべての写真は、左クリックで拡大できますが、写真1,2などはピンぼけです。お許しあれ!

地衣類とは
 菌類(主に子嚢菌類)と藻類(藍藻類か緑藻)からなる相利共生体。菌糸でつくられた構造の内部に藻類が生活しており、藻類の光合成産物を菌類がエネルギー源としている。
 

 4月5日(土)は、まつたけ山復活させ隊第433回活動日です.本日の昼食は、松浦輝雄さんがメインシェフを務めます.参加者に春を感じて戴こうと材料集めに東奔西走(実際は南北だそうです)されています.もちろん昼食代に上限があるためで、金を出せば集めることは簡単なんです.何でしょうね、大変楽しみです.

 午前10時に京都市左京区岩倉 村松 香川山(自称:下記の§活動拠点へのアクセスを御参照下さい)にお集まり下さい.本日の活動の様子は、池内 正憲さんが報告します.
 
 皆さん!前回のメールでお知らせしましたように、隣の山主の要求でシイタケ栽培ホダ木等の移動をせねばなりません.一般的に、人工林、自然林を問わず林の中にホダ木をおいています.杉林が多いらしいですが、生産者に言わせると松林(マツタケ栽培用松林は明るくて乾燥しすぎ)に置いたホダ木からは量は少々劣るものの質の良いシイタケが出るそうです.昼食の材料であることを考えると、香川山BC内に置くことが望ましいと思われます.さて、どこが良いでしょう!
!移動候補地のアイディアをひねり出して下さい.

マツタケ山づくりの話9
 
 今回も、高文研出版の「まつたけやま復活させ隊の仲間たち」を引用しながら、マツタケのパートナーであるアカマツ林(里山林)について書き進めよう!

里山問題は貧困政治のしわ寄せだ-全森連よ 眠りから覚めよ!-

 人間生活の近代化、社会経済活動の大きな変化の中で、里山を価値のないもの、また価値の低いもののように考える人が多くなっている。ほとんどの所有者も無用の長物で固定資産税(実際は極めて安い)を取られているだけという認識だ。
 豊かさを求め、経済最優先で化石燃料など新エネルギー源(高度経済成長時)、工業製品の利用が急激に進んだためだが、放棄の影響が最も激しく現れた生態系が里山のシンボル的存在のアカマツ林とコナラ林といえるだろう。両者で全国の里山林面積の60%を占めている。
 
 多くの生き物が棲めなくなったという深刻な実態にもかかわらず、見た目の緑の多さに喜び、私たちは日本の自然が豊かであるかのように誤った思い込みや評価をしている。世界では、年に4万種もの生物が絶滅している。これは13分に1種類の生物が地球上から消えていることになる。その原因はいろいろあるが、生息地の破壊が大きな要因となっている。環境省の調査では、絶滅が心配される種群の5割が、里山の生き物である。

 今、老若男女を問わず、じつに多くの人たちが曜日を問わず山歩きに出かけているが、桜や新緑や紅葉を愛で、景観に見とれるとき、その背後で確実に進んでいる「緑の劣化」「生態系の崩壊」を意識したりするだろうか。ちらっと思ったりするが、明日になれば忘れてしまうのが現状でしょう。
 森林ボランティアは、全国に20万人いるともいわれる。その実態は不明だが、この山の状態は捨て置けないと活動する人の数ということになる。決して多くない。

 個人の自宅の庭が荒れ放題であるときには、近所の目は間違いなく厳しい。悪臭でも出そうものなら、待ってましたと警察沙汰になる。しかし山が荒れ放題で不法投棄の巣になっていても、憂う人はすくない。僕の目には変に映る。両者、荒れているなら正すべきと思う。

 山の荒廃、実は、これも政治の貧困から来ているが、その一義的責任がある山主はというと、良心派林家と無自覚派林家がいて、当然無自覚派が多い。無自覚派山主の意識をたまたま伺う羽目になったが、ただただ所有権を主張するのみで林の荒廃の責任が自分にあることすら全くに気づいていない。我々の提案も受け付けない。
 
 土地は個人の所有で山の機能は公益のものという思いくらい持ってもらいたいのだが。無知な山主の意識改革が必要だ。しかし全く進んでいない。全森連よ!しっかりせよ。

 消費税増税に対する国民の意識は「お上のいうことだから、仕方がない」が6割を占める。60年代70年代と比べて驚きだ。当時は国会を取りまくデモがあったのに。財政赤字は、裁判所、警察庁、検察庁、内閣などの裏金や無駄な予算とその執行に本格的メスを入れずに放置してきたからに過ぎない。要は、政治の舵取りの失敗ではないのか!多くの国民は、愚弄されていることをよしとしている。

 最近、一家の主が白い犬であるコマーシャルに不快感を覚える人たちがいると知った。なるほど犬とは言い得て妙であると思う。今の我々は、ご主人様に忠実なんだから。おまえらは犬並みと教えているのではないか。だから不快なのかな。「CS放送のNational Geographic局のカリスマドッグトレーナーという番組を見ると、反抗する犬が多いのに驚く。残念ながら(?)シーザー ミランというトレーナーのしつけでその反抗性を失う。やっぱり犬は犬なんだ。

 政治家の生活には痛みが無く国民の生活にのみしわ寄せが来るにもかかわらず、こんなレベルだ。連合の果たした役割は、ブルジュアジーにとっては拍手喝采ものであろう。限定的賃上げを勝ち取ったと「喜ぶな!」。連合の指導層は、労働貴族といわれるゆえんだ。働く者の組織率の低下がそれを物語っている。

 しかし、4月以降円安も加味され諸物価高騰を目の当たりにし、また、行方が定かでないがTPPが結ばれて、多くの事業をアメリカ資本が次々と受注する事態に面して慌てふためいても、もう遅すぎるのである。その時、日本には展望がないことになる。「若者達に無気力になるな」と誰が言えるのか!

 しかし、国民の生活は上下の波があり、必ず揺り戻しがある。意識は過激に変わる可能性を持っているが、里山問題では揺り戻しは、結果が見えるのに100年位の時間が掛かり、一個の人にはよほどの目的意識性を持って見なければ一生気づかずに終わってしまう危険性がある。だって、無自覚山主は、自分の持ち物が壊れているにもかかわらず、気にしていない。森林ボランティアに貸すこともいやがる。

 話を里山に戻すと、これらの林は今、樹木の病気であるマツノザイセンチュウ病とナラ枯れ病に喘いでいる。生息地の劣化によって、マツタケやホンシメジなど菌根性のキノコが住めなくなったことがそれらのホスト樹木の樹勢を弱め、抵抗力を低下させたに違いない。

 里山が置かれている厳しい現状を理解していただくためにも、一度ぜひアカマツ林やコナラ林など里山林に足を踏み入れてみてほしい。全国各地のアカマツ林を見て回ると、センチュウ病の被害で立ち枯れて〝白骨化〟し、倒れたアカマツの大木が累々とある様には心が痛む。そんな痛々しく悲しい里山の風景が年々、この国の各地で広がっている。   

私たちは里山崩壊にどう向き合っていくのか
 このまま問題を放置しておけば、必ず里山はなくなってしまうだろう。同時に、里山保全というテーマも私たちの前から消えると考えられる。国が、我々が、そこに棲んでいる生き物のことや日本人の原風景の果たす役割など、里山の機能を本気で考えてくれるように願うばかりだ。

 しかし、この問題にどう向き合っていくのか。大変な労苦と犠牲抜きには解決できない大きなテーマである。もし仮に、かつての豊かさに満ちた里山に戻すことが大切だと国民的合意がなされたとしても、おそらく、費用は誰が出すのかといった議論に終始することになるだろう。そんな時間はもはやないと思うべきだ。
 
 森林ボランティアの活動だけでは、全国に770万㌶ある里山再生は、荷が勝ちすぎる。 一刻も早く、里山の資源を活用する事業に助成金をつけ、新林業を育成しなければならない。再び、全森連よ! 眠りから覚めよ。森林ボランティアとタッグを組め! 放棄林の手入れを進めよ!

里山土壌の富栄養化はマツタケの大敵
 マツタケとアカマツの関係をさらに危うくし、アカマツ林を脅かしているのが里山の土壌の富栄養化だ。かつて里山のシンボルだったアカマツ林からは春先、水田に肥料や土壌改良用として鋤き込む刈敷を採取するので、当然、刈り取られたアカマツ以外の木は大きくなれない。言い換えれば、アカマツの競争相手を人が押さえ込んでしまうわけだから、他の木が被い茂ることもなかった。それに、農閑期には集落こぞって山に入り、林内に溜まった落葉を集めていた。
 
 すると、陽樹といわれ「日光大好き」のアカマツは〝我が世の春〟である。しかし一方で、毎年、落ち葉を掻き取られるのだから林全体の土壌は貧栄養の状態が続く。マツタケもアカマツもこのような環境を好む生きものである。このため、アカマツは必要なミネラルを提供してくれるパートナーをほしがる。その相手となる菌根性のキノコとして、アカマツはマツタケを選ぶことが多い。

 「多い」と曖昧なのは、アカマツと相利共生関係を営むキノコにはホンシメジ、ハツタケ、テングタケ、コツブタケ、ヌメリイグチ、ハリタケ類、クロカワなどたくさんあり、マツタケだけでないからだ。絶対ではないのである。当然、競争に負けることも多い。

 とにかく、栄養分が少ない土壌環境があって初めて両者にとって真に都合の良い相利共生関係を結ぶことができるのである。マツタケを感染させた場合、アカマツの成長が良いことも研究で分かっている。

 高度経済成長以降、生活方式を変えた私たちは、急速に里山林を利用しなくなった。すると、アカマツ林ではそれまでと逆の変化が生じた。競争相手の樹木が茂り、しかも集める人手もなくなって林床に残された落葉は微生物の活動によって分解され、年とともに腐植として林内に堆積していった。そうなるとアカマツ林の土壌は、人手が入っていた時と反対に富栄養化し、アカマツ・コナラ向きの山でなくなり、質的変化を来すことになる。
 
 栄養たっぷり、ミネラルたっぷりの厚い腐植層があると、アカマツは栄養吸収を担っている細根を腐植層に伸ばしてくる。一方、マツタケの生活帯は、鉱物質層といって腐植層の下にある土壌である。この地表の下わずか30㌢±10㌢の狭い範囲がマツタケの生活できる範囲だから、その上層にアカマツの細根が集まれば 、マツタケの生活帯には感染できる細根が減ることになる。そうなったらマツタケの棲みかがなくなってしまう。

 土地が肥えるとアカマツは相利共生相手がいなくても栄養摂取が容易になり、マツタケは「お役御免のお払い箱」とばかり感染を拒否され、根っこに付けなくなってしまう。実際、実験室では、肥えた土壌や水分を多くして育てたアカマツ苗は、マツタケ菌を接種しても菌根形成率がガクンと落ちてしまう。両者の相利共生関係は微妙なものだ。

 腐植が溜ると、マツタケにとって一層都合の悪いことが起こる。秋、マツタケ子実体はつぼみ状態から成長して大きく開いたマツタケの傘の裏のヒダから落葉の上に胞子を落とす。落ちた胞子がアカマツの細根と出合うためには、腐植層をかいくぐって土の中に潜り込まなければならない。ところが、落ちた胞子には運動能力があるわけではなく、雨水に運ばれると想像されている。落ち葉を通り抜けても下に厚い腐植層があると、そこを通り抜ける際に胞子は腐植に捕捉されてしまう。

 これでは、頼りとする地中の細根と出合うことは許されない。それに腐植の中で胞子が発芽したとしても、アカマツの細根をめぐる他の微生物との競争や戦いにエネルギー不足のマツタケの菌糸が勝てる可能性は低い。偶然感染できたとしても、マツタケは貧栄養の土の中でしか生活できないのだから、あえなく死ぬことになる。
 
 しかも、なんとか無事に生活圏の土中までたどり着き、たとえ細根と出合っても、もうマツタケの助けを必要としなくなったアカマツに感染を拒否される。そして、マツタケ単独ではエネルギーの補給が絶えてしまう。これではマツタケの新しい命は生まれず、世代が途切れることになる。土の富栄養化はマツタケにとっては致命的なのである。こんな様子が今のアカマツ林である。 続く  

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§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山 (京都バス停留所「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分) 
 活動開始は午前10時頃から、終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.
このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側)40分
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番)約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.メンバー参加者には、現在、食材費+消耗品費として400円を徴収.登録外参加者・見学者などは要500円(施設利用代などを含む).

§参加や見学希望の方は、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?

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まつたけ山復活させ隊活動

予定日  2014年4月~6月
回  開催日  報告担当者  男厨シェフ

433 4月05日 土 池内   松浦
434 4月11日 金 榎本
435 4月19日 土 三輪
436 4月25日 金 宮崎
437 5月03日 土 池内   内田
438 5月09日 金 内田
439 5月17日 土 榎本
440 5月23日 金 三輪
441 5月31日 土 宮崎
442 6月06日 金 内田
443 6月14日 土 池内   川崎
444 6月20日 金 榎本
445 6月28日 土 三輪  
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§カンパありがとう!  

§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

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§主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305 redpinemushroom@gmail.com

香川理化学研究所
代表 香川 晴男

§共 催
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典

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