のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

甘酸っぱい昭和の香り名も「新興」

2009年10月05日 | 梨の品種
またかよって突っ込みが入りそうな画像です。
今年何回目かの糖度計です。
あとから出てくる品種の「王秋」の試し糖度を
先に報告してしまいましたので、
じゃあ、その前の「新興」はどうなのということで、ぶちゅっ。

恥ずかしくない数値です。
他の実でやってみたら13.6という数値も出ました。
他の品種で14度代がでているのでそれほどでもないのかと
思われるかもしれませんが、どうして、どうして、
もしかしたらこれまでで一番おいしい部類の「新興」かもしれません。

甘さに酸味が加味され、
糖度だけでは測れないおいしさの幅のようなものが感じられます。

今年はどの品種も「おいしい」というしかないような状況ですが、
天候が不順な夏だったのに不思議という問いかけに
熱帯夜が少なく、昼夜の温度差があったためでないか
という仮説をたてている方がいました。

なるほど。
では、米もおいしくできているのかもしれません。



「新興」ですが、品種自体は比較的古いナシです。
昭和7年に新潟県農事試験場において二十世紀の種子から選抜・育成し、
昭和16年に命名されたといいます。
「王秋」とか「あきづき」とかの最近の命名とは
違う時代性をなんとなく感じます。

「果実は約500㌘の大玉となり、果肉は緻密で軟らかく、
果汁も多く甘みも強い」といわれますが、
こういう特徴は新しい品種は皆備わっています。
むしろ、
「貯蔵性もあって、2月頃まで出回ります。
食後、家族団らんのコタツの中や酒宴の後に食べるのは最高」
という売りが「新興」らしいかもしれません。

「時間がたつと酸味が抜ける」という説明もあります。
わが家ではそんなに遅くまで貯蔵したことはありません。
そんなに日持ちしなくとも完熟させて
甘酸っぱい味を楽しんだ方がよいような気がします。
貯蔵するナシは、また別にありますから。

あるいは、積算温度が足りず糖度が上がらないまま収穫し、
保存して酸味を抜いてから食べるということかもしれません。
ちょうど以前のこのあたりの温州みかんがそうであったように。

70年以上も生き残っている「新興」です。
それなりの良さがある品種です。
これからも熱心なお客さまに支持されていくのではないでしょうか。