のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

冬に害虫を懲らしめるためのペットボトル

2010年01月30日 | 梨の虫
乳白色の液体の入ったペットボトルがわが家の新兵器。

栽培指導機関による防除暦によると、
春先あるいは晩秋にハーベストオイルを散布することで
越冬しているハダニ類、カイガラムシを防除するとあります。

ハーベストオイルの有効成分はマシン油。
害虫を油皮膜で覆い物理的に窒息させようというもので、
天敵におよぼす悪影響、薬剤抵抗性、作物残留性問題などの
薬害の心配が少ない薬剤なんですが、
周辺に住宅地や葉物野菜畑などがあってまわりに飛散した場合には
油剤であるがゆえの困ったことが。
ナシ園の立地条件によっては使えない状況もあります。



ハーベストオイルを使わなくなったためだけではないでしょうが、
最近、カイガラムシの被害があちこちで見られるようになっています。
夏季に使える薬剤もあるのはあるのですが、
タイミングが合わないと効果が期待できません。
やっぱりマシン油が必要ということで
剪定作業中に被害を見つけた時に小さな背負い散布機で
散布しているナシ仲間が出てきました。

わが家では背負い散布機でも面倒だなということで、
スプレーでやってみようと採用したのが
ペットボトルの空きボトル+100円ショップのスプレー口。

手先で散布するので風が吹いていると自分も油剤がかかってしまうこともあり、
100円ショップのスプレー口では霧状に噴出しにくいという欠点が…

<蜘の子はみなちりぢりの身すぎ哉> 一茶

2009年05月20日 | 梨の虫
ナシの実を摘果していて久しぶりに違う畑に入ると、
たくさんの蜘蛛の網に引っ掛かります。
益虫ですから、良い現象です。

そして、時にはこんな場面に出くわすことも。
みんながんばって立派なハンターになっておくれ。

ところで、あの糸で編んだ網は専門家にいわせると、
「クモの巣」ではなく、本当は「クモの捕獲網」なのだそうで。

枝ぶりで虫をも騙すシャクトリよ

2009年05月03日 | 梨の虫
ナシ畑で摘果作業をしていると
見事な枝に化けているシャクトリムシや
まわりの幼葉の萌黄色とまったく同化している幼虫など
幼果や葉を食害する虫たちと出くわします。

写真を撮ってやろうと摘まみだして紙の上に乗せたら
萌黄色の幼虫が枝に扮したシャクトリにとりついてしまいました。

今年は温暖な春のせいか、食葉害虫も多いようです。
次の農薬散布ではりんし目の食葉害虫を防除するBT剤という
種類の殺虫剤を加える予定です。
これは微生物農薬と呼ばれ、
特定の害虫のみをターゲットにし、
ほかの環境への負荷のかからないものです。

幸い、まだアブラムシは出てきていません。
といいますか、
前回のネオニコチネイド系の殺虫剤が効いていると思われます。

最近は「ネオニコチネイド系」という言葉が一般マスコミでも
ミツバチの大量死の原因として流されるようになりました。
ウイルス説とか環境変化説とか
他にも原因が取りざたされているのですが、
実際のところはまだはっきりとは解明されていないようです。

農業の現場からの視点でいいますと
ネオニコチネイド系殺虫剤というのは
それまでの主流の「有機リン系」殺虫剤に替わり、
環境への負荷の少ない、
防除対象を絞り込んだ殺虫剤として登場してきたものです。

「有機リン系」は殺虫効果も高く、幅広く使われてきたのですが、
一方で、まわりの環境や人体への影響も大きく、
一部では使用制限も行われているようです。
現在、ネオニコチネイド系に替わる新薬も開発されつつもあるようですが、
まだ時間がかかりそうです。

ネオニコチネイド系も問題があるのかもしれません。
しかし現状では、ネオニコチネイド系が悪者にされて
ふたたび有機リン系が出回るようなことになる方がより問題でしょう。

「農薬が原因」といえば話としてよく見えますし、
悪者を決めることで安心もできますが、
安易に情報を流すマスコミには不安が募ります。

若さゆえ背丈以上の夢がある

2009年04月18日 | 梨の虫
この春は交配用ミツバチが足りないことが社会ニュースになっていますが、
開花中、上天気だった割にはハエや小さな甲虫も
例年より少なかったように思えます。

そういう益虫だけでなく害虫もまたここにきて
ようやく姿が見えるようになってきました。

生まれたて?のシャクトリムシはまだ1cmほど。
これから何回、脱皮すれば5cmクラスになるのかしらん。
でもシャクトリムシは蛾の仲間。
ちょうちょにはなれません。

夏来れば君が瞳に解きがたき謎のやうなる光さへ見ゆ(吉井勇)

2008年07月30日 | 梨の虫
梅雨が明けて見えてきたのは「謎のような光」ではなく
ナシ畑の嫌われ者の「ハダニ」。
(写真の右の方に見られる赤い点のようにみえるもの)

空梅雨だったので危ないかもとは考えていたのですが、
ほとんどの場所では見られず、
今年も天敵のハダニが活躍してくれてありがとうという
ところでしたが、
唯一、この場所?品種?だけで見られます。

幸水の後の糖度の高い新品種「秋麗」だけで見られます。

10本弱の苗木育成中の品種ですから、
場としてたまたま「秋麗」で出てきたのか、
それとも「秋麗」が特異的にハダニに好まれるのか。
品種特性としてハダニに好かれるということになると大変です。

澄む月や髭をたてたるきりぎりす(其角)

2008年06月23日 | 梨の虫
この虫がキリギリスかどうかはわかりません。

キリギリスとしても秋の虫ですから
梅雨時の話題に適当とは思われません。

でも、これまでに、今頃、
こんなふうにこんな虫を見たことがあっただろうか
と思ったものですから。

何が欲しくて木の上にまで跳んできたのか。
まさか青い実をかじっているのではありますまい。

満目の緑に坐る主かな(高浜虚子)

2008年05月24日 | 梨の虫
今年は雨が多いので
ナシのアブラムシが出てくるのが遅れていましたが、
気温の高い日もあるためか、そろそろ出てきました。

普通のアブラムシならナシ畑で
いつも飼っているようなもので特別驚かないのですが、
今回は初めてみる害虫です。



見た目はアブラムシのようですが、
よぉーくみると
(細かいので目の焦点が合わなくなっているもので)
虫の形状が違うような…

取り付いている場所(葉)も違います。
普通のアブラムシはその植物の最も弱い部分、
生長点付近の茎や幼葉に取り付き、
その周りをおこぼれをもらおうとアリがうろついています。



写真のムシは幼葉とはいえないようなしっかりとした葉にいました。
アリは見られません。
つぶしてみると赤い体液が出てきます。
その元のほうの茎にはカイガラムシいたような跡がみられます。
葉の位置は園の外周部で農薬のかかりにくいところです。

でもカイガラムシのように貝殻を被っているような様子はなく、
蝋のようなものに包まれているのでもなく、
さてさて、わかりません。

やっぱりアブラムシの仲間なんでしょうねえ。

うどんげ陽炎稲妻水の月

2007年07月27日 | 梨の虫
写真はクサカゲロウの卵だろうと思います。「うどんげの花」という別名もあるとか。「うどんげ」とはインドの想像上の植物で、三千年に一度その花の咲くときは転輪聖王が出現するといいます。

吉兆とも凶兆ともいわれるそうですが、いずれにせよ捕らえがたいもの。梅雨が明けたのか、明けないのか。暑い夏になるのか、ならないのか。今年の夏を象徴しているようです。

再びカミキリムシ幼虫

2007年02月11日 | 梨の虫
また枝に孔をあけているカミキリムシ?の幼虫を見つけました。例年も見られているのですが、今年はその数がとくに多いように思います。収穫中以降、殺虫剤が散布されない結果でしょうか。それとも暖冬の影響で活動時期が長かったということでもあるのでしょうか。

          

孔の入り口がこんな感じで、木屑がついています。芽の後ろ側や紐の影になるようなところで、実際には誘引しようとして枝を持ったときに折れてはじめて被害に気がつきます。

          

孔に沿って枝を割ってみると、この幼虫は5cmも食べ進んでいました。5cm以上の孔もあります。

          

幼虫は孔の一番奥で寝ているわけではなく、冬の間も食べ続けているのでしょうか。

尺取も堅芽かじるか日永なり

2007年02月09日 | 梨の虫
まだ新葉もない時期なのに、梨畑にシャクトリムシが出ていました。卵の形で越冬するのでないかと単純に考えていましたので、びっくり。まだ堅い芽でもかじっているのでしょうか。

暖かい今年はムシも休んでいないのかもしれません。春になって、害虫被害がたいへん?そうかもしれませんし、逆に天敵もいっぱい残っていて被害がかえって少ないかもしれません。はてさて、どうなりますか。

冬のシンクイムシ?

2007年02月04日 | 梨の虫
立春を迎えて、裸ムシも外に出てきた…ってわけではありません。

ときどき一年枝の中ほどに1mmぐらいの穴が開いていて、何が入っているのかとどんどん刻んでいくと、時には5cm以上も空洞があって、その突き当たりにこんな裸ムシが越冬しています。

夏に果実に穴を開けるシンクイムシでしょうか。体がちょっ大きいし、色も赤みが強い感じです。シンクイムシの仲間ではあるのでしょうが、こんな枝の奥に潜んでいたなら農薬では防除できませんねえ。