自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

天安門

2009年06月04日 | その他 others
私は今年の12月で還暦を迎えます。なんだか実感がありませんが。今日のニュースによると、20年前にあの天安門事件が起きたとのことです。実は私は1985年にアメリカに行き、86年に帰国しましたが、そのとき学会でゴリラやパンダの研究で有名なシャラー博士に会い、それがきっかけでジャイアントパンダの調査に参加する機会に恵まれました。先日、四川省大地震のことでそのことに少し触れました。まだ30代だったので、張り切っていました。中国ではいやな思いもしましたが、どんな田舎に行っても、おだやかで知的な老人がいました。世の中がまちがった方向に流れたとき、口には出さないでも、それを客観的に見るような人です。「大地の子」などにみる「日本軍はまちがっていたが、子供に罪はない」と考え、周囲の諫めを無視して信じるところを行う人です。「これが中国なんだ」と感じたことです。
 当時、私といっしょに山を歩いて調査した若者は自由が近づいた中国に期待し、夢を語っていました。私は87年、88年と四川省に行きました。中国の若者と友情も生まれました。その翌年、「今年も」、と調査の構想を練り、準備していた矢先に天安門事件が起きました。とてもショックでした。そして、よくよく考えて中国に行かないことにしました。研究上の魅力は感じていましたが、自分たちの権力保持のために人民を殺す者が支配するような国に協力していはいけないと考えたからです。その後、その若者たちに再会しましたが、政治の話はまったくしなくなり、表情も暗くなっていました。
 中国は見違えるように豊かになり、人々はおしゃれで、贅沢になったようです。社会主義はどこへやら。何を正義とし、何を規範に生きようとしているのか。
 貧困の中にあってお天道様に正邪を聞きながら生きているという感じの中国の好々爺は、豊かな社会にあってどのような在り方をしているのか。乏しい私の想像力ではイメージできません。
 「人民解放軍が中国人民を撃つはずがない」と信じて軍の前に立ち、射殺された人々の冥福を祈りたいと思います。
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