リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

Easy Baroque Pieces (2)

2020年12月06日 14時01分24秒 | 音楽系
まず当たってみた写本はニューヨークにあるLord Danby's Lute Bookです。アメリカの東部にはリアルタイムでヨーロッパからもたらされた写本がいくつかあります。17世紀初頭にもたらされたと思われるダウランドゆかりの写本がワシントンDCにありますし、このDanbyも多分17世紀の後半にアメリカに入ってきたものかも知れません。

この写本にはComte Logy(ロジー伯)とタイトルに書いてある作品が何曲か収められています。タイトルのない曲でも作風からロジー伯のような感じがするのもあります。他にはコレッリやヘンデルの編曲も収められていますので、この写本の成立は17世紀後半から18世紀初頭にかけてでしょう。本写本から1曲選んでみました。作者は不明ですが、すぐ前の曲が同じ調で、ロード公のジグというタイトルがついていますので、同じ人が書いたのかもしれません。この写本はとてもいい曲が多いのですが、ちょっと難易度が高めです。

次に見てみたのがBaltic Lutebookです。とても丁寧な字で書かれた写本で初級者から中級くらいのレベルの作品が多いです。作曲者は書かれていませんが、増6度の和音が出てくる曲もあるので、18世紀の第2四半期以降頃に書かれた感じがします。この写本からは技術的にあまり無理がなく聴き映えのする6曲を選んでみました。

最近手に入れている写本はすべてPDFで、購入先はサブスクのScribdが多いです。あとTree Editionとか無料で手に入るロンドン、ドレスデン、ブザンソンの写本もみなPDFで持っています。ロンドン、ドレスデン、ブザンソンの写本は昔は手に入れるのは結構手間でしたが。曲を選ぶのはアクロバットで次から次へと見ていきます。このとき楽器は使わず頭の中でサウンドを再現しながらタブを読んでいくととても効率的です。楽器をいちいち弾きながらだと三倍も四倍も時間がかかることでしょう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿