リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ヴィヴァルディのコンチェルト(ギター版)

2020年12月19日 15時48分11秒 | 音楽系
先日四日市に活動拠点を置く某アマチュア・ギターアンサンブルを主宰されている某女史からメールいただきました。ヴィヴァルディの2つのギターのためのコンチェルト(原曲は2つのヴァイオリンのためのコンチェルト)を演奏したいが、この楽譜でどうだろう、という内容でした。メールには楽譜が添付されていました。

恐る恐る添付を開いてみますと、その楽譜には恐れていた光景が繰り広げられていました。三重奏で書かれていたその楽譜、ギター編曲によくありがちなバスのラインが無茶苦茶というのはありませんでしたが、技術的に結構高度でした。ちょっと気になる処理もあちこちにあったし。

「この楽譜を使ったのではコンチェルトとして聴かせるのは大変ですよ。そもそもかなり技術的に難しいのでは」

と返事致しました。こういう返信を書くと多分「じゃぁ、編曲してください」と言われるでしょうから、前もって「私でよければ編曲致しましょうか」と続けて書きましたら、その通りになったので編曲をしてみました。

今は便利な時代になったもので、今回はIMSLPから現代譜になった著作権フリーの楽譜を楽譜読み取りアプリPhotoScoreで読み取り、そのデータをSibeliusに送って、そこからアレンジを始めました。楽譜を読み取ると言っても別に紙に印刷してそれをスキャンするわけではなく、PDFから直接読み取ります。

Sibeliusに持ってきたらまず音でエラーがないか確認します。入力ミスは目で楽譜を見てチェックするより音で聞いた方がはるかに早く正確にチェックできます。PhotoScoreによる読み取りは以前は結構雑で信頼のおけないものでした。(大体90%くらいだったでしょうか)PhotoScoreも改善されてきて、今回の読み取りでは大体99%くらいはOKでした。でもこの1%というのが少ないだけにかえって曲者なんですよね。

某アンサンブルには妙齢のご婦人、殿方も沢山いらっしゃるというので、どなたでもアンサンブルに参加できるよう、各パートのサブパートを作りました。これは本来のパートの内容をくずさない範囲で、簡略化したパートです。ソリスト2人のパートはバリバリ弾く方に弾いてもらうのでサブパートは付けませんでした。ということで全10段のスコアになり、ちょっとした室内オーケストラのスコアみたいになりました。(笑)

この楽譜をNotePerformer3で音にしてみました。実際に10台分のギターを重ねています。

ヴィヴァルディ作曲2つのギターのためのコンチェルトRV522第1楽章

コンチェルトとしての音の広がり、強弱も再現しています。まだちょっと機械的ではありますが、大体こんな感じで弾ければいいのではないでしょうか。テンポは四分音符82です。ドイツのギターアンサンブルで120で演奏しているのを聞いてみましたが、別にそんなに早く演奏しなくてもこの82でも十分ドライブ感はでると思います。音楽的にはむしろ82の方が好ましいと思います。ギターで120で乱れずに弾くのはすごいテクニックですが、まぁそれだけということです。

それにしてもヴィヴァルディの作品が持っている、シンプルなのに豊かな楽想、曲作りの巧みさには今更ながら感心します。先日のコンサートでヴィヴァルディを弾いてそう感じましたが、今回の編曲でもまたそのような思いを強くしました。

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